私ちくわは関西を中心に活動している読書会、「彩ふ読書会」に、
昨年5月からサポーターとして活動しています。
彩ふ読書会の目的は「本が好きな方の居場所作り」です。
「家庭でもない、職場でもない、第三の場所」をコンセプトに、色んな価値観を持った方々が集まり、意見を交換し合うこと、また空間を共有しあうことで新しく生まれる何かを楽しもう、という集まりです。
ジャンルは問いません、いい意味で、「何でもアリ」なので、男女問わず、また若い方から年配の方まで、気軽にアットホームな雰囲気で、リピーターさんも多数いらっしゃいます。
2/17(日)は第3回京都開催でした。
午前の部:推し本読書会
午後の部:課題本読書会
夕方の部:実験的経験会「漫画読書会」(こちらは私は不参加ですので、レポートは割愛します。)
では午後の部のレポートです。
参加者は11名 男性5名 女性6名(多分)。
2テーブルに分かれてスタート。
今回の課題本は
「幽霊人命救助隊」高野和明 です。
「ジェノサイド」「13階段」で大好きになった高野和明さんです。
内容:AMAZONより
浪人生の高岡裕一は、奇妙な断崖の上で3人の男女に出会った。老ヤクザ、気弱な中年男、アンニュイな若い女。そこへ神が現れ、天国行きの条件に、自殺志願者100人の命を救えと命令する。裕一たちは自殺した幽霊だったのだ。地上に戻った彼らが繰り広げる怒涛の救助作戦。傑作エンタテインメント。
今回も当テーブルでは、「もち子」に登場してもらいました。
以下「もち子」のルール。
・発言者が「もち子」を持つ。
・ほかの人はその人の発言が終わるまでしっかり聞く。
・次に発言したい人は挙手し、「もち子」を受け取る。
まずは、このタイトルと表紙です。
「自分だったら絶対選んでない」(確かに野暮ったい?)
でも読んでみたら、文句なしの傑作!との意見が複数人からありました。
テーマは「自殺を止める」。
そして、「会社」「親子」「男女」「お金」というように、サブテーマが多岐にわたり、その多くに「うつ」が関わってきます。
テーブルに精神科のお仕事をされている方がいらっしゃり、専門的なところも交えて、なかなか深い話ができました。
また、熟年の参加者のからは、過去の貴重な経験談も聴かせていただきました。
心に残ったコメントを下記に記します。
・テーマはとても重いが、漫画のようなタッチで非常に読み進めやすくなっている。もっと多くの人に手に取ってほしい。
・本当によく勉強されて書かれていると思った。
・小さい頃に自己肯定感を育むことが出来なかったら、コミュニケーションに困る大人になりやすいのでは。
→子供のころの環境は本当に重要だと感じます。だからといって、子供の頃がダメだったから一生ダメだ、というわけでなく、いつからでも再スタートできる、という力強い意見もありました。
・自殺は決してカッコよくない、それはひどく、見苦しいものだという描写で、自殺防止効果を狙っている。
→確かに、そのような表現はいくつかありましたね。
・会社では独特の雰囲気や責任感から、自分や家族という大切なものを見失うことはある。
→「会社という魔物」についての議論も白熱しました。ここは価値観の分かれやすいところです。
・おばあちゃんを助けたあとにすぐ、安らかに亡くなるシーンは感動
→この場面も色んな意見が出ました。自分の親・祖父母を亡くした経験を語られ、さらにこれも意見の分かれやすい「延命」の話題にもなりました。
・自殺を思いとどまらせても、その先に待っている苦労も計り知れない。
・でも、「ともかくどんな理由があっても自殺はいけない」という一貫したメッセージがある。
→この本の重要なテーマです。異なる価値観ももちろんあります。でもこのメッセージを貫いたからこそ、この物語は心に刺さってくるのですね。
後半はさながら、経験談を互いに重ねる「哲学カフェ」のような雰囲気となりましたね。
心に残る課題本読書会となりました。
レポートは以上です!