私ちくわは関西を中心に活動している読書会、「彩ふ読書会」に、
昨年5月からサポーターとして活動しています。
彩ふ読書会の目的は「本が好きな方の居場所作り」です。
「家庭でもない、職場でもない、第三の場所」をコンセプトに、色んな価値観を持った方々が集まり、意見を交換し合うこと、また空間を共有しあうことで新しく生まれる何かを楽しもう、という集まりです。
ジャンルは問いません、いい意味でバラけていて、「何でもアリ」なので、男女問わず、また若い方から年配の方まで、気軽にアットホームな雰囲気で、リピーターさんも多数いらっしゃいます。
また、「皆で作っていく読書会」というのも魅力です。私のようなサポーターだけでなく、リピーター参加者の方に進行役や会場セッティングを手伝ってもらいながら、運営しています。
5/26(日)は第6回京都開催でした。
午前の部:推し本読書会
午後の部:課題本読書会 「砂の女(安部公房)」
夕方の部:「ヒミツキチオブサクラカフェ(サークル活動など)」
今回も「SAKURA CAFE」さんで行われました。
それでは、午後の部のレポートです。
午後の参加は21名(こちらも集まりました)!
男性11名、女性10名。
初参加の方は3名いらっしゃいました。
今回はテーブルを3つに分けました!
13:40になり、司会者より挨拶・案内のあと、
各テーブルの進行役にバトンタッチし、読書会がスタートです。
私は、Bテーブルの進行役を担当しました。
Bテーブルの参加者は7名。
最初に簡単な自己紹介をおこないます。
今回の課題本は「砂の女」(安部公房)。
<内容:amazonより>
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める部落の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに、人間存在の象徴的な姿を追求した書き下ろし長編。20数ヶ国語に翻訳された名作。
「難しい」との意見もチラホラありましたが、私は、安部作品の中でも、ストーリー性があり楽しく読むことが出来る作品だと思います。
それでは、読書会スタートです!
◆「砂」という存在
まずは、この小説の主題となっている、「砂」についての検討がありました。
しきりに「1/8mmの恐怖」という表現がなされているように、「抗えないもの」の象徴である、といえます。
この「砂」の表現については、人によって色々な意見が出てきて、面白かったです。
◆男と女
どこまでいってもかみ合わない「男と女」という主人公の二人。
「まるで二人劇のよう」と評される方がいました。
そう、この小説の面白さのポイントですね。
男は女に対し「何故こんな罰ゲームのような場所に留まっているのか?脱出したいと思わないのか?」と問います。
でも女は、「外に出たって、別にしたいことなんかないし、、。」と答えるだけ。
むしろ、なぜそんなに外にこだわるのか、が理解できません。
「構造主義」という言葉で表現された方がいらっしゃいました。
「西洋人」と「原住民」のようなもので、西洋人は出会った原住民を未開人とみなし、文明を伝授しようとするが、原住民は余計なお世話として受け入れない。
ーーお互いに気まずくなるだけ。というやつです。
女について、常に見下ろした態度をとる男。
世の中の支配的な男たちに対して、お前の方がわかってないんだよという、皮肉が込められてもいますね。
◆「反復」と「希望」
家の中での作業は、毎日が単調な「砂掻き」と「内職」の繰り返しです。
女はそんな中で、ささやかな希望「ラジオ」「鏡」を買うことを夢見ています。
男の方も、徐々に心境が変化し、カラスを捕る罠という手慰みを見つけます。
元々こだわっていた「仕事」という社会とのつながりや、「昆虫採集」という趣味は、段々どうでもよくなってくるようなのです。
人間慣れれば、どんな生活でもある程度順応できるということ。
「生きがい」なんて、しょせんその程度のものだという、ここでも皮肉的表現がみられましたね。
◆そして、終わり
1時間余りがあっという間に経過しました。
「難しいから大丈夫かなと思ったが、意外と盛り上がった」と参加者の方に言われ、ほっとしました。
各テーブルの代表者が、まとめを発表し、中締めです。
文学作品は、ある程度メッセージが明白なものより、少々意見が分かれるぐらいのが読書会的には面白くなりますね。
その後1時間ほどフリートークタイムです。
いったん「砂の女」は離れて、テーブルをまたいで色々なトークで盛り上がりました!
次回の京都開催は6/16(日)。課題本は「有頂天家族(森見登美彦)」です。
HPの予約フォームより予約できますよ。
参加費は¥1,500 当日払いです。
夕方の部のレポートは、日を改めて。
では、また!!