みんなの日常哲学カフェ ~哲学カフェとか読書とか

哲学カフェの記録を中心に、読書記事も書いています

旧:ちくわのぴょんぴょん読書日記

「夫のちんぽが入らない」 こだま ネタバレ度(大)

<ちんぽが入らない以外は普通?>

こんばんは。ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

新しい事、楽しい事は、何でも試して、失敗して、楽しんで。

 

今日は、audiobookでの感想です。

 audiobookで移動中に1週間かけて聴きました。

 

夫のちんぽが入らない(扶桑社単行本版)

 

<内容紹介 amazonより>

ドラマ化決定。話題沸騰!

“夫のちんぽが入らない"衝撃の実話――彼女の生きてきたその道が物語になる。

2014年5月に開催された「文学フリマ」では、同人誌『なし水』を求める人々が異例の大行列を成し、同書は即完売。その中に収録され、大反響を呼んだのが主婦こだまの自 伝『夫のちんぽが入らない』だ。

同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きた。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も二人 は「入らない」一方で精神的な結びつきを強くしていき、結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく……。

交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴った“愛と堕落"の半生。“衝撃の実話"が大幅加筆修正のうえ、 完全版としてついに書籍化!

 

◆「入らない問題」

まず、このタイトルと冒頭です。

いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて二十余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間 に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。
何も知らない母は「結婚して何年も経つのに子供ができないのはおかしい。一度病院で診てもらいなさい。そういう夫婦は珍しくないし、恥ずかしいことじゃないんだから 」と言う。けれど、私は「ちんぽが入らないのです」と嘆く夫婦をいまだかつて見たことがない。医師は私に言うのだろうか。「ちんぽが入らない? 奥さん、よくあること ですよ」と。そんなことを相談するくらいなら、押し黙ったまま老いていきたい。子供もいらない。ちんぽが入らない私たちは、兄妹のように、あるいは植物のように、ひ っそりと生きていくことを選んだ。

 

ユーモラスを交えながらも、内容は一貫して辛いものです。

 

夫婦そろって教師という立場において、一生懸命やって子供に支持される夫。

一方で、一生懸命やっても、うまくいかず学級崩壊を招いてしまう妻。

次第に精神的に追い詰められ、ついには体調をくずしてしまいます。 

 

◆みんな普通にできていること?

まともに男性とも付き合ったこともなく、超が付くほどの田舎育ちの彼女、いきなり出来た彼氏(のちの夫)が、「入らない」のです。

 

どういうことなのか、全く理解できないでしょうね。

 

どうして「入らない」のか、同じ悩みを持っている人はいないのか、と彼女は手当たり次第に雑誌を調べます。

 

でも、そこにあるのは、「入ること」が前提で書かれている悩みばかりなのです。

 

入ることは「普通」。入らないのは「普通じゃない」。

 

子供が出来ないことを、恥じる母。

「夫の実家に謝りに行こう」と言い出します。

 

子供が出来ることは「普通」。出来ないのは「普通じゃない」。

夫は教師として「普通」。私は「普通じゃない」。

 

「普通」への問いかけが、「入らない問題」だけでなく、主人公こだまさんの周りにはいくつも存在するのです。

 

◆夫婦の愛

夫と協力しながら、「入らない問題」に継続して取り組み続けます。

この本の中では、夫に問題があったのか、妻に問題があったのかまではわかりません。

 

「入らない問題」は夫婦生活の根幹を揺るがしかねない問題です。

でも、この夫婦は、結婚する前からそれは分かっていたのです。

 

そのうえで、お互い愛想を尽かすこともなく、慈しみをもって過ごしていることは間違いありません。

 

 

◆賛否両論あるけれども

私は好きな小説でした。

 

では、また!