<資本主義は前年比で出来ている?>
こんばんは。ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
新しい事、楽しい事は、何でも試して、失敗して、楽しんで。
今日は当たり前のことを、敢えて考えてみたいと思います。
◆どうして自分の望んでいることと、会社の命令は食い違うのか?
サラリーマンあるあるですね。
仕事が終わらないのに残業するなと言う。
不合理、理不尽と思ってもやらなきゃいけない。
販売予算を達成するために、要らないと言われても無理に売る。
何故でしょう。
それは、企業は資本主義の原則に則って経営されているからです。
資本主義とは、出資者(株主)のお金を使って会社を経営し、利益を上げて株主に配当するとともに、企業を大きくして株の価値を高めることです。
そのためには、毎年安定的な利益を出し続けることと、毎年成長し続けること、が条件となります。
経営者の目的は、たった1つです。
企業の活動を通して、社会に貢献すること。
雇用を確保したり、新しいことへ投資資金を確保したり、企業活動を継続させるためには、安定的に利益を確保することが第一優先となります。
企業として、利益から逃げることは絶対にできないのです。
いっぽう、社員が働く目的は2つです。
①給料をもらいたいが、できればしんどいことはしたくない
②仕事を通して誰かの役に立ちたいし、あわよくば感謝されたい
①は割とシンプルですね。自分の働きを相対的に評価し、それに見合った待遇があるかないか。というところですから。できるだけしんどいことはしたくない、と、できるだけ利益を上げるは、対立しますね。
②の利害と、企業の論理(成長と利益)が対立することは多いと思います。
特に、現場に近い社員ほど感じることが多いでしょう。
経営者は上記のような目的に則って、現場の一部で混乱が起きていても、あまり気にしません。おおまかな目的が達成さえしていれば大丈夫ですから。
しかし、現場を任されている人間はそうはいきません。企業の戦略上、自分の担当顧客に非情な態度を取らなればいけないこともあるし、極端な話、炎上の矢面に立たされたりすることがありますので。
短期的な目標達成も、決算報告が毎年ある以上、避けられません。
捨てるのがもったいないのに、捨てるほど作らないといけないし、売れ残るとわかっていても仕入れないといけない、こういうこともよくあります。
◆欲しくも無いものを買わせようとする企業の論理
企業は広告を駆使して、あの手この手で新製品を買わせようとしてきます。
しかし、近頃の消費者は賢く、なかなかそれに乗ってくれなくなりました。
・最近の物は長持ちするから、新しく買い替える必要は無い。
・そんな何個も要らない。いつでも買えるからストックしなくていい。
・むしろレンタルで充分。
・探せばタダでもらえる。
しかしながら、企業は作り続けます。
ほとんどの企業は成長と利益のために、「前年比」という指標を用います。
株主に配布する決算資料は、基本前年に対してどうだったか、という報告に終始してあります。
「前年比」で成長しないと、出資が得られず企業価値を下げてしまうからです。
だから売れなくても、前年を超えるために、作り続ける。
売れ残って余ったら、捨てる。
まあ、結局何が言いたかったのか、ということなんですが、企業と社員と消費者のそれぞれの利害は対立してることが当たり前であるという前提に立つことで、無用な苛立ちを避けられるのではないかと思うのです。
SF小説にはときどき、行き過ぎた資本主義の末路を風刺した世界が描かれていますが、そろそろ、ほんとうに変わるかもしれないですね。
「前年比」という言葉が、20年後にはもっと優しい表現になっていますように。
では、また!