みんなの日常哲学カフェ ~哲学カフェとか読書とか

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旧:ちくわのぴょんぴょん読書日記

彩ふ読書会 ~大阪堂島 1月 ②課題本読書会「優しい死神の飼い方」知念実希人

<直球モノのハートフルドラマ>

私ちくわは関西を中心に活動している読書会、「彩ふ読書会」に、

18年5月からサポーターとして活動しています。

18年12月より始まった京都開催のサポーターリーダーとして、日々お手伝いさせていただいています。

 

彩ふ読書会の目的は「本が好きな方の居場所作り」です。

「家庭でもない、職場でもない、第三の場所」をコンセプトに、色んな価値観を持った方々が集まり、意見を交換し合うこと、また空間を共有しあうことで新しく生まれる何かを楽しもう、という集まりです。

ジャンルは問いません、いい意味でバラけていて、「何でもアリ」なので、男女問わず、また若い方から年配の方まで、気軽にアットホームな雰囲気で、リピーターさんも多数いらっしゃいます。

また、「皆で作っていく読書会」というのも魅力です。私のようなサポーターだけでなく、リピーター参加者の方に進行役や会場セッティングを手伝ってもらいながら、運営しています。

 

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1/5(日)は3か月ぶりに大阪開催にお邪魔させていただきました。

 

午前の部:推し本読書会

午後の部:課題本読書会「優しい死神の飼い方」知念実希人

夕方の部:哲学カフェ イロソフィア「あぁ、忙しい!」

 

昨日の午前の部に引き続き、今日は午後の部のレポートをさせていただきます。

午後の部参加は21名。男性12名、女性9名。

初参加の方は4名いらっしゃいました。

今回はテーブルを3つに分けました。

 

開始時刻の13:40になりますと、司会者より挨拶・案内があります。

その後各テーブルの進行役にバトンタッチし、読書会がスタートです。

最初に順番に簡単な自己紹介をおこないます。

そして、いよいよ課題本読書会のスタートです。 

 

この日の課題本は、知念実希人さんの「優しい死神の飼い方」です。 

 

<内容紹介:bookデータベースより>

犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた―。天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。

 

課題本読書会では読んできた課題本の感想を自由に話し合う場です。 

まず、順番に大まかな感想を言っていきます。

その後、気になったトピックについて思い思いに話し合っていく感じになりました。

その中で、どんな話題が出たか、ご紹介させていただきます。

(※以下にはネタバレも含みますのでご注意ください。)

 

◆作者について

知念実希人さんはお医者さん出身の作家だけあって、登場人物に必ずといっていいほど医者と病人が出てきます。

 

医療トリビアがトリックの種になっていたりするので、医療関係に縁のある方は特に共感することがあるようですね。

 

なので、不治の病や、別れのシーンが多く登場します、涙を誘う物語が多いんですよね。

 

◆テーマは「生と死」

主人公は自称「高貴な霊的存在」という、死神が乗り移った犬「レオ」(レトリバー)。

この世に未練を抱えたまま死を迎えようとしている緩和病棟の患者達と犬との対話(!)の中で、その未練に秘められた謎を解き明かし、心安らかになっていく、そんなハートフルな連作短編ミステリーです。

 

「テーマが重いにもかかわらず、読み口が軽く、読後感も悪くない。」

「しかもそれでいて、しっかり読んでみると、とても深い。」

そんな意見が、この本の特徴を表していますね。

 

◆死ぬことばっかり考えててもしょうがない

「レオの格言が心に沁みる。」こんな意見がありました。

 

確かに、迷う患者達にレオが一喝するシーンは印象的です。

死ぬことばっかり考えても、いつ死ぬかは自分が決めることじゃない。だからもっと今何ができるかを考えろよ、と。

たとえ余命短い人であっても、健康な人であっても、いつ死ぬかなんて自分ではわからない。

ましてや死んだ瞬間にはもう自分はそこにはいなくなるのだから、極論すると自分は死ぬかどうか、それすらよくわからない。

だから、生きている今日のことだけを考えたらいいじゃないか。

 

医者として過ごした日々もある作者の思いがここに込められているような気がします。

 

◆現代の日本では失敗が多いんだ

死神レオの仕事は、魂を昇天させるための手助けをすること。

でも、現代という時代では、未練が多く地縛霊化することが多くて失敗が多いんだ、とぼやきます。

 

「現代は死が『遠くの存在』になってしまっている」っていう意見がありました。

 

確かに、日常的に死者を見る機会はほとんどありません。

さらに、一般的に健康的になり寿命も延びました。高齢になっても元気で「死」を意識することが少なくなってきているように思います。

 

「生」の対極にある「死」を意識しないことで、いま生きていることの有り難みを忘れてしまうよね、っていう話になりました。

 

◆ミステリー要素としては、、

「ミステリー好きな読者からしたら、物足りない」

私を含め複数の人から出た意見でした。

 

ミステリーと言えば、どんでん返し。

ミステリーと言えば、伏線の回収。

 

いくつかミステリー的には怪しい文脈があったのですが、伏線の回収もどんでん返しもなく、まったくもって直球な決着になります。

 

筆者の別の作品では、どんでん返しが2度3度あったので、期待を裏切られた感はあったのですが、ある方のこんなコメントで落ちが付きました。

「純粋に感動モノということで、謎解き要素にはパラメータ振っていないのでしょう、、。」

 

◆そんなこんなで

主人公レオが人間を理解していくさまを、言葉の変化とともに追って行ったり、ラストシーンのその後について想像してみたり。

あっと言う間に15時になりました。

 

15時になったら、各テーブルの代表者がそれぞれのテーブルで出てきたトピックを共有し合う全体発表の時間となります。

 

ここでいったん終了となりますが、しばらく残っておしゃべりをしていく方もたくさんいらっしゃいます、この和やかな時間が私は大好きです。

ありがとうございました。


次回の大阪開催は2/2(日)となります。

2月の課題本は俵万智さんの「トリアングル」。

お申し込みは、HPのフォームから予約できます。

料金は¥1,500(事前決済、当日払い両方可)。

 

大阪開催は埋まるのが早いので、要チェック、お申し込みはお早めに!

是非ご参加ください!!

 

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次はいよいよ、夕方の「イロソフィア」。日を改めてご紹介しますね。

 

では、また!