<逃げてもいいんじゃない。>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
◆この本は
今まで読んだ角田作品とは一線を画す、親子3代放浪記とでもいえるでしょうか。
昭和史を追体験できるようなスケールがあって、それでいてこの家族だけの閉じられた不思議な感覚の物語となっています。
ボリューム:★★★★☆
読みやすさ:★★★★☆
なつかしさ:★★★★★
もどかしさ:★★★★★
◆感想
主人公良嗣の祖父と祖母は満州で出会い、物語はそこから始まります。
祖父と祖母の満州での放浪記を通し、長春の当時の街並みや活気がまさに今見ていたように追体験できます。
満州ってこんな感じだったんですね。歴史では学んでいただけで、中身はほとんど知らなかったので。
そして戦争で亡くなってしまった友たちと、生き残った祖父(と祖母)。この大きな分け目が、「逃げたか逃げなかったか」。
この「逃げる」というテーマが、祖父と祖母の子供たち、また孫たちにさもDNAであるかのように受け継がれていくんですね。
祖父と祖母が新宿に構えた「翡翠飯店」という中華料理屋でその後を任される義継の父
や兄弟も、学生運動に参加したり、漫画を書いたり、宗教にハマったり、働かずに逃げてばっかりで、周囲の人に迷惑をかけてしまうダメっぷり。
笑えるんですが、イタさが笑えない。
美智子様ご成婚、学生運動、あさま山荘事件、なんかは体験していませんので、やっとオウム真理教のところで物語が私の記憶に追いつきます。
そういった昭和のできごとが、翡翠飯店の日常や非日常の場面に随所に登場し、一家に多少の影響を与えていくため、読者の年齢層によっても共感する場面が違ってくるのも、この物語の面白さといえるかもしれません。
戦争時代の大変さはわかるとしても、平和になってからも大変で、単純に比較はできませんがいつも時代も何かしら思い悩んで苦労しているところが、見どころでもあります。
面白かったです!
では、また!