<「働く」とは?>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
人類は≪仕事≫から解放され、自由を謳歌していた。
しかし、心理学を趣味とする内匠成果【ないしょうせいか】のもとを訪れた、
世界でほんの一握りの≪就労者≫ナレインが彼女に告げる。
「貴方に≪仕事≫を頼みたい」
彼女に託された≪仕事≫は、突如として機能不全に陥った
タイタンのカウンセリングだった――。
アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。
◆この本は
もしAIが人間のように精神に不調をきたしたら?
そんな大胆な設定と、映画のようなアクションも楽しい、SFエンターテインメント小説です。
ボリューム:★★☆☆☆
読みやすさ:★★★★★
ハラハラドキドキ感:★★★★☆
考えさせられる:★★★★★
◆感想
「AI(を積んだロボット)が自律的に動いたら、恐ろしいことが起こる」というSF小説は数あれど、この物語では、AIと人間が平和に共存し、AIはちゃんと人間に従う(従わなければならないと認識している)前提になっています。
時は2200年過ぎ、世界は12個の巨大な基幹AIに上手くコントロールされていましたが、
その巨大AIのひとつ「コイオス」が精神的に不調をきたしているような症状を見せ、心理学の専門家である主人公の「内匠成果」がなんと巨大AIのカウンセリングに挑むのです!
そしてどうなっていくか、続きを語るとほとんどネタバレになってしまいますが、この物語の本当の楽しさは、成果さんが行うカウンセリングそのものにありました。
治療はカウンセリングなので「対話」によって行われます。
人格を形成してしまったAIにとって、「人のために働く」とはどういうことか?もっというと「働く」とはどういうことか?働くことがほとんどなくなった世の中において、改めて「問い」を重ねながら、ともに成長していく成果とコイオスが見ものなんです。
AIだって、ただ人間のために働くのが嫌になったんだろうか、サボりたくなったんだろうか、逃げだしたくなったんだろうか?などと考えていたら、物語は急に意外な展開を見せ、そして、どうやら答えを見つけたコイオスは想像もしなかったようなラストシーンに突入します!
このラストシーンはかなり意外でしたが、急速に進化するAIの特徴を上手く表現した、ある意味風刺的なラストで、読後感は「うわー、すごい!」っていう、素人丸出しの感想になってしまいました!
読後、改めてこのうっとりするほど美しい装丁が持つ意味を理解したのでした!
まるで映画を観ているかのような読書体験でした、SF好きの方は読んで損はないはず。
では、また!