主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「know」 野崎まど (ネタバレ:少な目)

<「知る」とは?>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。 

know (ハヤカワ文庫JA)

know (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:野崎 まど
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: 文庫
 

 

内容<amazonより>

超情報化対策として、人造の脳葉〈電子葉〉の移植が義務化された2081年の日本・京都。
情報庁で働く官僚の御野・連レルは、
情報素子のコードのなかに恩師であり現在は行方不明の研究者、
道終・常イチが残した暗号を発見する。
その“啓示"に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった。
道終の真意もわからぬまま、御野は「すべてを知る」ため彼女と行動をともにする。
それは、世界が変わる4日間の始まりだった――
アニメ『バビロン』『HELLO WORLD』で日本を震撼させた
鬼才野﨑まどが令和に放つ、前代未聞の超巨大エンターテイメント。

◆この本は

 

時は2080年代。処理量増加・機能拡張のため、人々の脳に「電子葉」が埋め込まれるようになっていました。その中で生まれた一人の天才少女。彼女とともに「知る」とは何かを探す謎の旅に出ることになります。

 

ボリューム:★★☆☆☆

読みやすさ:★★★★☆

ハラハラドキドキ感:★★★★★

考えさせられる:★★★★★

 

◆感想

先日、野崎まど著「タイタン」についての感想を書きましたが、続いて読んだ作品がこの作品です。

<タイタンの感想はこちら。> 

chikuwamonaka.hatenablog.com

 

「タイタン」はAIを搭載したロボット達が公共インフラとして立ち働く世界を描いているものでしたが、「know」においては、「コンピュータそのものを脳に埋め込んでしまう」という別な角度から のアプローチとなります。

 

電子葉によって補完された脳は、どうなるかというと、普段自分たちがやっていること、スマートフォンを用いて検索したり、他人とコミュニケーションを図るため通信したり、そんなことを脳内で、やってしまいます。

目の前に「啓示世界」というウインドウが広がって、そこに命令していく、っていう感じですね。

 

それであれば、今の自分たちとあんまり変わらないんじゃないの、と思うのですが、それだけじゃないんです。

その電子葉で得られる情報のレベルが人によって差をつけているんです。国が情報の格差を作ることで、階級社会を作りだしているんです。

 

しかしここで、電子葉のもともとの開発者である天才科学者は、もっと情報を自由にするための使者として、ひとりの少女を生み出します。

実は彼女、電子葉をはるかにしのぐ、とてつもない能力を持っていたのです。

 

あらゆることをとてつもないスピードで知ってしまえる世の中において、「知る」ということは果たしてどのような価値を持つのでしょうか?

「知る」ということは、「知らない」の対比なので、「知らない」ということが無くなってしまうと、「知る」は価値のないものになってしまいはしないでしょうかね。

 

でもどうして人は「知りたがる」のでしょうか?生存に有利だから?では生存に有利な「知る」とはどういうこと?未来を予測し、有利な決断ができること?

 

そもそも、脳に電子葉を入れて拡張したところで、「自分」というのをどこまで保つことができるのでしょう?どこまでが「自分」で、どこからが「拡張」だという区別はあるのでしょうか?

 

次々と問いが生まれてくる、自分にとってなんとも楽しい読書でした。

そして、そんな問いもすべて読まれていたかのような、ラストシーンです。

「タイタン」と同じく、このラストのために、それまでの物語の全てが存在するかのような見事な構成でした。

 

ハラハラドキドキのアクションシーンもあり、映画のような読書体験でした!(同じこと言ってるな)

 

では、また!