ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

読書・読書会・哲学・哲学カフェが好きな人間のブログ

主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「いつの空にも星が出ていた」 佐藤多佳子 (ネタバレ少なめ)

<何かのために見るんじゃない、見たいから見るんだ>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。 

いつの空にも星が出ていた

いつの空にも星が出ていた

 

 

内容<amazonより>

好きなチームといる喜び。
光輝くスタジアムの幸せ。

本屋大賞受賞作『一瞬の風になれ』の著者が描く
どこまでも熱くて、かぎりなく純粋な、人生と応援の物語!

「愛すべきチームと愛すべき自分の人生。僕がいつも思っていることがこの本に一杯に溢れていました」
クレイジーケンバンド/小野瀬雅生


物静かな高校の先生。
予備校に通う女子高生。
家業の電気店を継いだ若者。
少年野球のピッチャー、洋食店のシェフーー
一見なんのつながりもない人たちを結んでいる、
強くてまっすぐな気持ち!

「何かのために見るんじゃない。見たいから見るんだ」

なにかを心から「好き」でいる、
すべての人へ贈る爽快な感動!

◆この本は

横浜スタジアムを舞台にした4篇の短編小説です。

筆者のベイスターズ愛があふれる1冊。

 

ボリューム:★★★★☆

読みやすさ:★★★★☆

安心感  :★★★★★

ファン共感:★★★★★

 

◆感想

40年来のベイスターズファンである佐藤多佳子さん。

溢れるスタジアム愛、ベイスターズ愛がこの一冊に込められています。

 

私ちくわは何を隠そう、ベイスターズファン歴25年、書店で即買いし大先輩の胸を借りる気持ちで読み始めたのでした。

 

それぞれ4つの短編を簡単に紹介しながら、私の個人的な経験を含めた感想とを書いていきます。

 

<レフトスタンド>

1984年 筆者のベイスターズ(大洋)歴のスタート地点。

神宮球場のレフトスタンドで大洋ホエールズ応援し続ける物静かな高校の先生と、生徒の物語。

 

筆者が女子大生のころ、神宮のレフトスタンドでひとり遠藤一彦投手を応援し続けていたというエピソードがありますので、この本の短いプロローグという存在です。

 

<パレード>

1997年~98年 横浜ベイスターズの38年振りリーグ優勝と日本一。

予備校に通いながら、スタジアムにも通い続けてしまう女子高生の物語。

スタジアムに行ったら、そこにはいつものメンツがいる。すごく共感できます。

 

私は関西生まれの関西育ち、ちょうどその頃時間を持て余す大学生だったので、甲子園に通い続けていました。あの頃は外野席が1200円ぐらいだったと思います。

当時田舎から出てきた私にとってタイガースファンがちょっと怖かったんです(スミマセン!)。そんな時輝いていたのが「マシンガン打線」。ビハインドであろうが何であろうが、あっという間に得点を重ねて勝ってしまう姿に魅了されたものです。

そしてあの頃の甲子園のビジター席は空いていたんです!快適だった(笑)。

小雨の時に、今日はベイスターズファンの人数を数えてみたら、何と87人!

それでも優勝が懸かった試合は甲子園のレフトスタンドの半分近くが埋まっていましたね。それでも特別にチケットを手に入れるでもなく、普通に入っていつもの皆に場所を空けてもらって、、あ、そのころはレフトは自由席でしたね!

優勝の瞬間はみんなで泣いていたから、あんまり覚えてないんです、しかも20年以上前だし、、。

 

<ストラックアウト>

2010年 3年連続90敗という暗黒時代。

家業の電器店を継ぎながら、豪邸の子息と謎の同居生活をする青年の物語。

負けても負けても応援し続けるファン心理。これもわかります!

 

一定数の球団には「暗黒時代」と呼ばれる歴史があるものです。主力選手の流出、大型連敗、投手崩壊、、。

何故そんな弱いチームでも応援し続けられるのか?応援して何になるのか?

 

「そんな質問をするヤツには、答えは永遠に見つからない。何かのために見るんじゃない。見たいから見るんだ。試合をやっているから見るんだ。」 

 

このセリフに凝縮されています。ただ見たいから見る。今この瞬間、死力を尽くしてプレイする選手をただ応援する。勝ち負けは関係ないんです(すみません、嘘つきました)。

 

<ダブルヘッダー>

2016年~2017年 クライマックスシリーズ初進出~夢の日本シリーズ!

横浜の洋食店で生まれ育ち、少年野球をがんばる小学生と、家族をめぐる感動の物語。

 

少年野球でエースを目指す主人公にとって、ベイスターズの左腕トリオはまさに憧れの存在で、どの選手のユニフォームを買ってもらうかを決められないのですが、お父さんはずっと番長三浦の18番のユニフォーム。 

 

現、DeNAベイスターズ監督の番長は、暗黒時代もずっとエースのマウンドを守ってきたレジェンドです。

引退試合では、なんと10点取られましたが、それでも7回まで投げて、ファンも選手も皆そんなのおかまいなしに泣いている、後にも先にもそんなピッチャーはいないでしょう。

 

3位から下克上で日本シリーズに上がってきた2017年。同僚に押さえてもらった幻の第7戦チケット。

カープの選手に「勝てる気がしなかった」と言わせるほどのあの勢い、その前の甲子園でのもはや伝説になりつつある泥んこ試合。 

記憶に新しいですが、もう4シーズン前になるんですね~。

 

ということで、ほとんど自分の思い出話ばかりになってしまいましたが、個人的には、物語を読みながら、自分の過去を追体験して、共感して、涙しての繰り返し。

こういうのを幸福な読書体験というのでしょうね。

すばらしい本をありがとうございました。という言葉が自然に出てきます!

 

とはいえ、ベイスターズファンだけでなく、横浜にお住いの方や、はたまた野球ファンでない方にも、充分楽しめる青春ストーリーになっていると思います!

 

では、また!