主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「反省させると犯罪者になります」 岡本茂樹

<話を聞くことの大切さということ>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。 

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

  • 作者:岡本 茂樹
  • 発売日: 2013/05/17
  • メディア: 単行本
 

 

内容<amazonより>

犯罪者に反省させるな―。「そんなバカな」と思うだろう。しかし、犯罪者に即時に「反省」を求めると、彼らは「世間向けの偽善」ばかりを身に付けてしまう。犯罪者を本当に反省に導くのならば、まずは「被害者の心情を考えさせない」「反省は求めない」「加害者の視点で考えさせる」方が、実はずっと効果的なのである。「厳罰主義」の視点では欠落している「不都合な真実」を、更生の現場の豊富な実例とともに語る。

◆この本は

「反省させる」ということが、再犯率をむしろ高めているのではないか。少年更生の現場から学ぶ、問題行動に対して効果のある接し方とは?今まで日常的に使っていた「反省」という言葉について、改めて考えることができる本でした。

 

ボリューム:★★☆☆☆

読みやすさ:★★★★☆

納得感  :★★★★★

今後の役に立つ:★★★★★

 

◆内容と感想

・どうして反省させてはいけないのか?

罪を犯した少年が施設で行うこと、それは「反省文を書く」。被害者に対して思いを巡らし謝罪の言葉を述べていくこと。

筆者はこれを「意味がなく、むしろ逆効果である」といいます。どうしてなのでしょうか?

 

それは、たいていその場で行われている反省は「うわべだけ」であるからだといいます。

 

自分たちも犯罪とはいかないまでも人を傷つけてしまったときは謝罪の言葉(とりあえずごめんなさい)が出てきます。しかし心の中にあるのは「後悔」であって「反省」ではありません。

相手のことが気に入らなくて傷つけてしまったときはなおさらです。相手に対して怒りの感情があるのに反省しろと言われても、その前に片づけなければならない問題があるからです。

 

そのような段階で「反省文」を書いて、そののち懲役労働を「まじめにこなす」だけの矯正はむしろ「抑圧」を増幅し、出所後に溜まったものが噴出して、、。となるからです。

 

・反省より大切なこと

筆者は、ただ抑圧を生むだけの「反省させる」行為は意味がなく、むしろ再犯を助長するものである、と何度も主張しています。

 

そしてそれよりも大切なことについて言及します。

それは、「自分と向き合うこと」。自分が犯した罪について、自分の中の理由についてきちんと吐き出してみることだといいます。

 

例えば暴力的なものの原因が、子供のころ受けた親からの虐待かもしれません。被害者に対し、知らずのうちに嫉妬心が積もっていたのかもしれません。

そして自分の理由にしっかり向き合えた時、やっと真の意味での「反省」が始まるのだといいます。 

 

・子育てについて 

ここに述べられていることは、子育てに関しても多くの示唆を与えてくれます。

 

子どもが問題行動を起こしたら、とりあえず𠮟りつける、反省させるために謝罪の手紙を書かせる、とにかく親と一緒に謝りに行く、押し入れに閉じ込める(古いか)、などいろんな方法があると思いますが、これらの方法が子どもの今後のために不適切なやり方である可能性があるということです。

 

何度も筆者が述べているように、大切なことは子ども自身自分の言い分を吐き出させること。聞くこと。そして背景に対してしっかり理解しあうこと。

それだけでむしろ反省文などの行為はほとんど必要ないかもしれません。

そして、身近な大人が個別の事情に向き合わずに表面的な「正しさ」を振りかざしていると、子どもが「言いたいことを抑える」ように育ってしまうということになります。

 

子どもの話を聞くこと、理解しようと努めること、子どもが言いたいことが言える信頼関係を築くこと、それが問題行動を減らすために大切なことであると思いました。

 

筆者の矯正施設での実体験をもとに書かれているので、非常に説得力のある文章で、いちいち納得しながら、読み進めることができました。

 

では、また!