ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

読書・読書会・哲学・哲学カフェが好きな人間のブログ

主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「半脆弱性」(上) ナシーム・ニコラス・タレブ ②

<生き残るための正しいリスク管理とは?>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、昨日に引き続き、この本の感想を書いていきたいと思います。

 

 

 

◆昨日書いたこと

・「反脆弱性」とは衝撃を糧にして成長する性質

革命や進歩は「反脆弱性」が担っている

一定量の負荷が、人や組織を却って強くする

というように、「反脆弱性」の特徴を書いてきました。

今日は、その考え方が日々にどう応用されるか、というところを書いていきたいと思います。

 

◆正しいリスク管理

私たちの仕事で、「リスク管理」というものがあります。

日ごろ起こる、業績に支障をきたすような、さまざまなトラブルを回避しようとする動きですね。嫌ですよね、トラブル。

 

計画(ビジネスプランニング)というのも、リスク管理の一種といえます。

日々起こるデコボコを抑制し、毎年安定的に利益を出していく、企業人間としては基本の作業です。

しかしタレブは「過度な計画は脆弱性を招くので危険」といいます。

これはどういうことでしょうか?

 

タレブはこの本の中で、徹底して2つのことを言い続けています。

それは「①すべてを予測することは不可能である」ということと、

「②トラブルが人や組織を強くする」ということです。

 

①に関しては、トラブルというものは原因が一つではなく、いくつもの要因が複雑に絡み合って起こるもので、ある程度以上のことは絶対に予測できないという考えによります。

明日の天気予報は当たっても、1週間後の天気予報はできないということです。

 

②に関しては、反脆弱性に関することで、トラブルを回避しすぎてデコボコを均してしまうと、却って脆くなってしまうということですね。ノウハウも蓄積しないし、チャレンジも生まれにくくなります。

 

だから、正しいリスク管理というのは、戦略はできるだけざっくりと、あとはできるだけボトムアップにて運営、小さなトラブルは現場で都度対応。ということになります。

 

「高度な数学や、AIを駆使して、あらゆるリスクを回避しよう」という、予測や計画へリソースを偏重する考えは、反脆弱性の考えからすると間違っている、ということになります。

 

◆ もう少しリスク管理

リスク管理といえば、身近なものが「お金にまつわること」です。

タレブはこの本の中で「バーベル戦略」「オプション性」というものを提唱します。

 

「バーベル戦略」とは、重量挙げのバーベルの形状をイメージし、

「端と端に重きを置いて真ん中へんのボリュームは大きくしない」

ということです。

 

攻めと守りのバランスに関してですが、簡単に言うと、「リスクが低いところで9割の資産を守り、残りの1割をハイリスクハイリターンに賭けよ、中程度のリスクには賭けるな」ということです。

 

お金の例でいうと、生活費はきっちり守って、余裕資金でギャンブル性の高い投資をすればよい、ということになります。

そうすると、失敗したときのロスは限定的で、成功したときの儲けは青天井、という「ポジティブな不公平」が生まれてきます。

 

これは「保険」の考えにも応用できます。

「確率が高く損害もさほど多くないこと」に対する保険は重要ではなく、本当に必要な保険は「確率が低いのに損害が莫大になること」であるといえます。

入院保険や車両保険は不要で、本当に必要な保険は「対人対物無制限」とか「火災保険」とかそういうたぐいのものになりますよね。

 

この大きな損害に賭ける小さな保険(コスト)が「オプション性」という考え方です。

生き残りたいなら、「リスクは限定的に、リターンは大きく」。

 

これは、最初の話とどうつながるのでしょうか?

日々の試行錯誤や失敗=保険 イノベーションや進歩=大きなリターン

ということになるでしょうかね。

 

◆もうちょっと続けます

書きたいテーマがあと少しだけあるので、もうちょっと続けます。

続きは日を改めて。

 

では、また!