<時代を変えるのはいつも若者だ>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
ある「日本人」青年の熱き祈りが、混沌の雑踏を駆け抜ける。
若者たちの抵抗と魂の煌めきを描く、革命的青春巨編。
七百万人都市、香港。
一人の少女が、スラムの闇に飲み込まれた。
「ぼくは、彼女の人生を、まだ見届けていない」
日本の大学に通う瀬戸和志は、亡き恋人の幻影に導かれ、
建築学院の交換留学生として、再び香港の地を踏む。
幽霊屋敷に間借りする活動家、ビルの屋上で暮らすボートピープル、
黒社会の住人、〈共産党員〉と噂される大物建築家。
さまざまな出会いを通じて、次第に浮かび上がる都市の実相。
そして、彼女がひた隠しにしていた過去。
「誰も、この街の引力には勝てない」
〈回帰〉の時が刻一刻と近づくなか、
いくつもの謎と、矛盾と、混沌をはらみながら、
和志は、民主化運動の狂騒へ引きずり込まれてゆく。
◆この本は
ボリューム:★★★★☆(やや厚め)
読みやすさ:★★★☆☆(普通)
学び :★★★★☆(香港について)
感動 :★★★★☆(若者の情熱!)
舞台は1997年、香港回帰直前。交換留学生の主人公・和志が抱える個人的な「謎」について調べ回る中で、様々な人に出会い、また同級生たちと共に暮らし語り合う中で「自分はどうしたいのか」を次第に見つけていく。そんな青春ストーリーです。
◆内容紹介・感想
この本を楽しむポイントはいくつかあって、キーワードにすると、「香港という国」、「謎解き」、「自分探し」といったところでしょうか。
それぞれについて、少しだけ紹介と感想を書いていきたいと思います。
・「香港という国」
個人的に、香港には10年余り前に観光で訪れたことがあって、出てくる地名や、半島・島など地理についてはだいたい想像がつきました。
しかしそれより前、香港の大陸回帰についての知識はあまりありませんでしたので、この機会にそれがどのような意味を持っていて、またそこに住む人々にとってどのようなインパクトがあったのか、学ぶことができました。
この物語の舞台の一つに、ボートピープルなど、貧しい階層の人びとの暮らすビルがあり、人口密集のイメージが強い香港でもそんな場所がある(あった)ことを知り、そういった香港の知らなかった側面(裏側)も勉強になりました!
・「謎解き」
主人公の和志は、父親の仕事の関係で中学生の時に一度香港に住んでいました。
その時に九龍城跡で出会った娘・レイヤンのことが好きになりましたが、和志が日本に戻る直前その少女が謎めいた死に方をしてしまいます。
今回、和志が香港に留学した目的のひとつは、このレイヤンの死の謎を解くことだったのです。
レイヤンの周囲に存在したイギリス軍人の存在を追い、レイヤンの兄にも助けられたどり着いた真実の先にあったものは?
裏でマフィアや中国共産党の影がちらついている、というなかなかハードなミステリーとなっています!
・「自分探し」
大学生の和志が学ぶこととなった建築大学は地元や本国だけでなく、イギリスやマレーシア、カナダからの留学生達とグループ課題に取り組んでいったりします。
そのキャラクター達にも、それぞれ抱える国や家族の事情があって、香港が「どこにも属さない辺境の地」であることをより意識させます。
また、和志自身も中国大陸の生まれでありながら、(今では)日本人としてこの地の人たちにさまざまな目を向けられる、という複雑な感情も読みとることができます。
「自分は日本に戻って、なんとなく就職して、」とぼんやりと考えていた和志は実際に香港回帰に反対するデモと、行動する若者のエネルギーに触れ、次第に変化していく心境を想像し、楽しく読み進めることができました!
感想は以上になります!
では、また!