<知らず知らずのうちに、では済まされない>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
差別を考える社会学者が、「ずるい言葉」に言いくるめられないための手がかりを伝授!
「あなたのためを思って」
「もっと早く言ってくれれば」
「友達にいるからわかるよ」
「傷ついたのもいい経験だったね」
「私には偏見ないんで」
「昔はそれが普通だったのに」
よく口にする、または耳にする言葉です。でもこういう言葉を聞くと、なんだかちょっとモヤモヤしませんか?
実は言葉の裏には言う側の自覚なく(あるいは自覚的な場合も)別の意味が隠されていることがあって、
それでなんとなくモヤモヤしたり、イラッとしたりしてしまうのです。
そういった納得のいかない言葉について、なぜそんな言葉が使われるのか、
そこにはどんな意図が隠されているのかを解説していきます。
また、そういった言葉を言われたときにはどのように考え、対処したらいいのかにも触れるとともに、各項目ごとに、より理解を深めるための関連用語を取り上げています。
個性や異文化をどう受け入れていくのかがますます重要になっていく時代、
言葉に隠された意識を見抜けるようになることで、自分らしく生きる強さを身に着けましょう。
◆この本は
ボリューム:★★★☆☆(普通)
読みやすさ:★★☆☆☆(難しい言葉はあまりない)
気付き学び:★★★★★(自省の念。)
役立ち度 :★★★★☆(他人のために、自分のために)
自分でもよく使っている言葉もありましたが、偏見や差別の意を含んでいるとはなかなか気付かないものです。知らず知らずのうちに他人を傷つける可能性と隣り合わせであるという恐ろしさを学ぶとともに、その言葉の裏にある欲望や意図についても、丁寧に解説してあり、自分にとって非常に気づきの多い本となりました。
◆内容紹介・感想
偏見や差別、知らずに相手を傷つけてしまうかもしれない「29個の言葉」がこの本で紹介されています。
特に印象に残った5つのワードを紹介するとともに、感想を書いていきたいと思います。
①「あなたのためを思って言っているんだよ。」
はい。子どもが言われて嫌な言葉ベスト3に入るでしょう。
これは、「あなたは知らないかもしれないけど、私は正しいと知っている」という「価値観の押し付け」になるといいます。
例文の文脈も併せて読むと、相手の反論を全く聞かず、自論の理由も説明せずに、「ダメなものはダメ」と言い切っているところが最悪ですね。
文末に「パターナリズム」の紹介もあり参考になります。
②「もっと早く言ってくれればよかったのに。」
これも良く聞きますね。これはどこがいけないのでしょう。
これは、「言いにくいことに対して、早く言わなかったあなたが悪い」というふうに、「手助けしてやれなかった責任を相手に押し付けている」となるようです。
確かに、「言わなければわからない」のですが、場合によっては気づいてあげられることも必要ですからね。
文末に「申請主義」の紹介もあり参考になります。
③「やってみればその良さがわかるよ。」
相手が気が進まないことに対し、とにかくやってみると良い、といいますよね。
これも、「あなたの言うことより、わたしの言うことが正しいから、従いなさい」という「価値観の押し付け」になります。
これも、上記と同じく文脈の中での判断となりますが、当人が決断していることに対し「みんなが通る道だから、あなたもすべき」という理由だけで押し付けてはいけません。
④「私には偏見ないんで。」
こういう発言をする人に限って偏見を持っている可能性が高いんといいます。
偏見は固定観念などから知らず知らずのうちにしてしまうことも多く、100%偏見のない人なんていません。
またそう言ってしまえば、「私は差別はしたかもしれないが、知らなかったので仕方がない」と後から開き直ってしまう可能性もあります。
⑤「いまはそういう時代じゃないからね。」
この言葉には「昔はよかった」というメッセージが隠れています。
昔は、男は家事をしないだとか、テレビで差別的な発言をしたりだとか、今はそうでなくなったことが多くあります。
それを「やりにくくなった」と言ってしまうのでは、その「変わった」背景や意味を否定していることになりますからね。
◆感想
価値観の押し付けに関しては、「やってみればよさがわかるよ」というように、確かにその言葉には言葉通りの意味もあり、正しく相手に作用することもあります。
しかしながら文脈の中で判断すると、やっぱり価値観の押し付けではないか、と思うんですね。
これは、説明が不十分なために相手に「押し付けられた」と感じられてしまうからではないでしょうか。
「大人だから子どもは従うのが当たり前」という気持ちが、コミュニケーション不足を招いているのではないか、という背景をさらに考えてしまいました。
差別に関しては、自分でも気づいていない間に行ってしまっている、言ってしまっていることも多いことがわかります。
「自分は差別をしない人間だ」という根拠のない自信から、「自分はいつでも差別をする可能性がある」とマインドを切り替えるだけで、だいぶ違うのではないかと感じました。
大人から子供まで、誰でも気軽に読めて気づきの多い本となっていますので、おすすめです。
感想は以上になります!
では、また!