主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「サード・キッチン」 白尾悠(ネタバレ:少)

<素直に反省し、成長していくこと>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

サード・キッチン

サード・キッチン

Amazon

 

内容<amazonより>

アメリカの大学に留学した19歳の尚美は、たどたどしい英語で会話もままならず、友人もできずにひとりぼっち。人間関係をあきらめ勉強だけに邁進していたある日、偶然言葉を交わした隣室のアンドレアとともに、さまざまなマイノリティが集まる、ある学生食堂に招かれる。臆病な自分自身と深く向き合ったとき、あふれだした思いと言葉の数々が胸を揺さぶる、希望に満ちた感動作!

◆この本は

 

ボリューム:★★★☆☆(普通)

読みやすさ:★★★☆☆(難しくはないです)

気付き学び:★★★★★(気付きのとても多い物語)

感動   :★★★★☆(温かな気持ちになります)

 

留学して初めて、マイノリティの立場を自覚した主人公の尚美。

そんな学生たちが集まるセーフティー・ネットの「サード・キッチン」で体験したことは、想像以上に彼女を成長させてくれた世界でした。

 

◆内容紹介・感想

物語は、英語がたどたどしくて、ルームメイトやクラスメイトから疎外され、鬱々と暮らしているエピソードから始まります。

ちゃんと会話ができないことで、自尊心が低下し目標を失いかけてしまっていた時、隣室のアンドレアとともに訪れた「サード・キッチン・コープ」。

そこで主人公の尚美はさまざまな出身地やLGBTQの学生たちと出会い、多くのことを学んで成長していきます。

いくつかのエピソードを紹介し、気付いたことを書いていきたいと思います。

 

・ノーマルと、マジョリティ

尚美はレズビアンである友人に向かって、「私はノーマルだから、」と言ってしまったことで、すごく後悔するエピソードがありました。

「ノーマル(普通)」ということは、それ以外を「普通でない」としてしまいます。

それは「正しい」「正しくない」という解釈に飛躍しがちですが、少し考えてみると「ノーマル」というのは正しさでもなんでもなくて、ただ「多数派」であるだけであることに気付きます。

尚美はそのことで激しく悔い、時間はかかりましたが友人に許しを得ることができました。

人間は固定観念をベースに日々生きている以上、無自覚に差別をしてしまうことはいつでもあります。

差別はいけないと知ってはいますが、その自分がいつでも差別をする側に回ってしまう可能性があることを知っておくことはもっと重要です。

このエピソードにおいてもうひとつ重要な点は、間違いは誰にでも起こりえるがそれを素直に悔いて反省していくことで、許しを得ながら人間は成長していく、ということでした。

 

・歴史教育

クラスメイトのジウンと、日韓の歴史問題について語るエピソードがありました。

ここでも、尚美は後悔するような出来事を起こしてしまいます。

「無知も差別」という言葉が出てきますが、歴史教育はどうしても自国寄りの内容になってしまい、そう教えられた子どもが大人になっていきます。

立場が変われば意見が変わる。そんな当たり前のことに対して、「知ろうとする」ことがいかに大切なことか、思い知らされました。

 

・ステレオタイプ

黒人に対するジョークについて語るエピソードがありますが、ステレオタイプ(固定観念)というものは差別を考えるヒントになることに気付きます。

 

「日本人は刀をもってチョンマゲをしている」と考える人はさすがに減ってきたでしょうか。

映画の中ではギャングは黒人が多いし、日本人はオタクっぽく描かれています。

アフリカの国は貧しいだとか、日本の女性はおとなしくて男性を立てるとか、A型の人間はきちょうめんだとか。

根拠をたどればよくわからないステレオタイプ(固定観念)がいくらでもあります。

 

初対面や付き合いのない人間に対してはどう接していいかわからないので、「この人は○○である」と一応のカテゴリーにはめてみないと落ち着かないのでしょうか。私たちはどうしてもカテゴライズしなければ気が済まないようにできているのでしょうか。

 

 

ちょっと堅い話ばかりになってしまいましたが、内容はもう少しドラマチックな展開もあり、そんな主人公を取り巻く友人たちに心が温まってホロリときてしまうところもあります。

辛くて大変なんだけど、それでもこの主人公のことが眩しくて羨ましくもなる、そんな素晴らしいお話でした!

 

感想は以上になります!

 

では、また!