ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

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主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「純粋理性批判(カント)」 講談社まんが学術文庫

<普遍的というより「人としての」。>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

 

 

内容<amazonより>

「恋とはなんだ?」「人間とはなんだ?」「”わかる”とはどういうことなんだ?」
哲学徒のぶち当たる壁に光を与え続ける永遠の名著「純粋理性批判」をまんが化。原著は認識論に”コペルニクス的転回”をもたらし、現在でも大きな影響を与え続けている。難解なことでも有名なこの書をアンドロイドと人間の恋を通して学べる格好の入門書にしました。認識論とは? そして恋とは何か? がちょっぴり分かる本です。

目次
プロローグ
第一章 感性と悟性
第二章 モノ自体と現象ーコペルニクス的転回ー
第三章 理性
エピローグ

◆この本は

 

ボリューム:★★☆☆☆(ライトです)

読みやすさ:★★★☆☆(意外と、手ごわい)

奥深さ  :★★★★★(まだ、ゴールではない)

新たな知見:★★★★☆(発見の連続です)

 

人がモノを認識するということはどういうことか。

それは、そこにあるからモノを認識しているのか、あるいは自分が認識するからモノが存在するのか。

答えのない問いに立ち向かったカントの教えを、美しいアンドロイドに恋する青年という設定の漫画によって、素人の自分にもやさしく教えてくれる、そんな本です。

 

◆内容紹介・感想

素人ながらに、まとめてみます。※作中にも、短くまとめられています。

 

①モノを認識する「感性」と「悟性」

これまでの哲学において、人がモノを認識するにあたり、2つの対立する理論が存在しました。

・合理論(絶対的)

 世の中には普遍の真理というものが存在し、世界を正しく認識することが出来る。

・経験論(相対的)

 世の中には普遍の真理というものは存在せず、それぞれが勝手に解釈しているだけ。

 

カントは、この対立する両者が納得する理論をまとめ、正しい認識へと導きたいと考えました。

 

そこでまず、人がモノを認識するメカニズムを分析しました。

それを、五感によって時間や空間を認識する「感性」と、それらを統合して処理する「悟性」に定義しました。

 

②「人にとっては」普遍的な真理

カントは、感性や悟性によって、「空間や時間は世界が存在するための根本条件ではなく、私たちが世界を認識するための手段に過ぎない」と考えるに至りました。

 

人間の都合でモノを認識しているだけで、「絶対的真理」というものがあるかどうかは、結局のところわかりません。

人間の知覚の範囲内でしか認識が出来ず、永遠にわからないようなモノが多く存在したりしますからね。

しかし、だからといって、世界は全く人それぞれか、というと、決してそういうわけではない。

 

カントは、「人間にとっての普遍的真理」というのは存在して、正しく認識することはできる、とし、合理論・経験論ともに否定しました。

 

③純粋理性批判(『批判』というのは、『考察』のような意味だそうです)

人は推論する力が優れています。そして人にはさらにもっともっと真理や原理にたどり着きたい!という欲望にあふれています。

これをカントは「純粋理性」と名付けました。

 

それによって、検証できない領域にまで推論を進めてしまい、それを客観的真実だと信じこんでしまうところにまで、たどり着きました。

 

しかしどんな事柄も、最終的には答えの出ない領域にたどり着いてしまい、「これ以上は無理!」となってしまいます。

 

しかしカントは、ここで「無理」だからこれ以上考えるのは無意味、だと思考を停止せずに、「それはそれでかまわない、ならば、『人としての』生き方を考えていけばよい」と考えを進めることになります。

 

自分はなんで生きているのか、生きることに意味はあるのか、という問いに答えは無いから、人間としてどう生きれば楽しく幸福に生きられるのか、という実践的なものに発展させていくことになる、ということです。

 

そういえば、私たちは子供の頃「なんで生まれて、死ぬのか?」という問いを抱き恐怖しましたが、大人になると、自然とそれを追及することはやめて、どう生きていくかという現実的思考に終始しています。

 

これは考えてみれば当たり前で、カントはその「当たり前」を、真理認識の限界点と道徳への転換を、300年前に考え道筋を作ったという意味で、とても偉大なことだと思いました。

 

感想は以上になります!

 

では、また!