<お金に悩むというより、自分がどう生きたいか>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
「この本は死ぬまで本棚の片隅に置いておき、自分を見失うたびに再び手に取る。そういった価値のある本です」
就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?
知識が深まり、絶対「元」もとれちゃう「節約」家族小説!
◆この本は
ボリューム:★★★☆☆(普通)
読みやすさ:★★★★☆(読みやすい)
お金の勉強:★★★☆☆(専門的なものではない)
人生について:★★★★☆(考えてしまいます)
御厨家の人びとは、「お金」とどう向き合って、そこから「人生」についてどう考えたのでしょうか。年齢や属性が異なる5人の登場人物のそれぞれの事情があり、そのどれもが「あるある」なんです。これを読んだ方は、どれに共感できるでしょうか?
◆内容紹介・感想
この小説は、6話の連作短編という形式になっています。
おもな登場人物は「御厨家」の次女美帆から始まり、美帆の祖母の琴子、美帆の姉の真帆、祖母の友人の安生くん、最後に美帆の母。
美帆はひとり暮らしを始めた社会人。真帆は若いながらも会社を辞め夫の稼ぎだけで育児をしながら節約生活。高齢者の琴子は、死別した夫が遺したお金が減っていく日々。母の智子は、どこにでもいるお母さんに見えますが、でも彼女にも不満や悩みはあります。
そして、異彩を放つ安生くん。彼はご近所さんで祖母のえらく若い友達ですが、定職に就かず気ままな生活を送っているように見えます。
私が一番印象に残ったのは、やっぱり祖母の琴子の「老後とお金のこと」、と真帆の「収入が少なくても、幸せに暮らす」の2点ですね。
「あの世に持っていけないから使いましょう、というのと、お金がどれだけあっても不安だから節約しなくちゃ、という相反した言葉が、同じ口から出てくるのが老人というものだ。」
老人でなくとも、中年の私でもそんなことばかり考えてます(笑)
いざ、老境に入って年金生活になれば、貯金残金と年間どれだけ減っていくかの計算は簡単ですが、肝心のあとどれだけ生きるかがわからない。
財産を子孫に残そうとは思わないけど、逆に迷惑はかけたくない。
どこにでもある、リアルな気持ちです。
「そんなふうに言うもんじゃない。太陽さんはいい人だし、佐帆も良く育っている。真帆は幸せだと思うよ。」
これは、高給取りの男性と結婚した友人を羨んだ真帆が、祖母にたしなめられるシーン。
賢くやりくりして、貯金も作ってきた真帆だって、やっぱり日々がまんしていて、他人を羨むことはあって当たり前です。
そんな御厨家の人々に対し、この小説で訴えたいことの1つだと思うのは、漠然とした不安を、具体的な数字に置き換えてみましょうという提案です。
家計簿が何度か話題に出てきますが、使ったお金を書き出すだけでも、随分違ってくるし、その先の計画を立てるというのができれば、漠然とした不安が随分軽くなるということです。
そして、最後に問いかけてくるのは、「お金がどうこういうより、結局自分はどう生きたいのか、自分で決めなければ始まらない」ということです。
お金はつまるところ、何かと交換する手段にすぎません。その交換したものをどう使って、そこから、どう価値を享受するかということが大切になってきます。
そういう意味でいえば、御厨家の人々は、お金とうまく付き合っていけているんじゃないかなぁ、と思いました。
感想は以上になります!
では、また!