<ルールはどこまで必要なのか?>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容紹介<amazonより>
プロローグ~出会い
1章 自由の原理
2章 思想と言論の自由
3章 半真理と自発性
4章 幸福の要素としての個性
5章 個人に対する社会の権威の限界
6章 原理の適用
エピローーグ~個性あふれる未来へ
◆この本は
ボリューム:★★☆☆☆(軽め)
読みやすさ:★★★★☆(まんがで読みやすい)
学び :★★★★☆(入門書としてよくできている)
考える :★★★★☆(いろんな主義との比較が必要ですね)
「人は、他人を害しない限り自由である」というシンプルな言葉から始まるストーリーですが、その続きには、多様性や個性というものの大切さを説いており、細かいルールや集団真理によって抑圧されている社会への危機感があったように思います。
◆内容紹介・感想
この本は、ストーリー仕立てのフィクションを通して、わかりやすくJ・S・ミルの「自由論」を学んでいける漫画になっています。
登場するのは、学者ミル本人と、ひとりの孤児パトリック。
孤児のパトリックの不幸な生い立ちと、彼を預かることになったミルとの会話を通じて、自由の大切さと、同時に多くの人が幸福追求ができるためには、どうするればよいかを考えたミルの思考を学ぶことができます。
ミルの自由論の中にあるシンプルなメッセージ
「人は、他人を害しない限り自由である」に、ある程度の思いが詰まっていると思います。
多くの人間がひとところで暮らしていくためには、ルールが必要になります。
ルールが必要なのは、殺人や強盗などから個々人の安全を保つために最低限不可欠なものです。
そしてその先、より多くの人が幸福に生きるためにはどういうルール設定がひつようなのか?という問いについての1つの答えがこのメッセージになるかと思いました。
より多くの人が幸福に生きるための政治形態として、独裁体制、民主主義、社会主義など色んな方法が試されてきましたが、いまだにこれが正解というものにたどり着けているとはいえません。
行き過ぎた社会主義は抑圧を生み、行き過ぎた自由主義は格差を生みます。
ミルの自由論は、「自由」というものに対し、どこまで認めどこから制限するかによって、より多くの人が幸福を追求できるのか、そんな話であるとひとまず理解しました。
その中で生まれた「他人に危害を加えない限り」というミニマムルールの考え方は現代の社会でも通用するある意味絶妙の発想であるといえるでしょう。
格差社会、管理社会、同調圧力。現代社会においてもそういった場面に出くわす可能性があり、ごく普通の企業やコミュニティが急に反社会的な行動をとったりすることがあります。
自由を尊重しすぎると多数派が少数意見や個性を切り捨ててしまい、逆にルールを増やしすぎると多数の人のふだんの行動が窮屈になる、そのような葛藤が生じるので、ミルのようなミニマムルールの考え方に立ち返ってみることが必要なのではないかと思いました。
感想は以上になります!
では、また!