主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「感情の哲学 入門講義」 源河亨

<「哲学のやり方」を示してくれる本

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

感情の哲学入門講義

感情の哲学入門講義

Amazon

 

内容紹介<amazonより>

私たちの生活の中心にある感情。
私たちは日々うれしくなったり悲しくなったりして過ごしています。
誰もがもつこの「感情」とはいったい何なのでしょうか?
本書は身近な「感情」をテーマにした哲学の入門書です。大学でおこなわれた全15回の講義をまとめたものなので、哲学を知らなくても、感情や人間がどういうものか、哲学がどういうものかわかる一冊となっています。

◆この本は

ボリューム:★★★☆☆(普通)

読みやすさ:★★☆☆☆(じっくり読む必要あり)

気付き学び:★★★★☆(哲学の考え方が身に付く)

考える  :★★★★☆(考えながら読む)

 

「感情」というものを「哲学」する。「感情」について考えが深まったというのもありますが、それよりも、「哲学というものは、どういうふうに考えを進めていくか。」という「哲学のやり方」を教えてもらった印象が強い本でした。

定期的「哲学カフェ(哲学対話)」を行っている自分にとって、とても参考になる本になったことは間違いありません。

 

◆内容紹介・感想

本書は全15回の大学の講義を1冊の本にまとめた、そんな形式になっています。

いくつか印象に残った点を抜粋し、感想とともに描いていきたいと思います。

 

<本質とは>

日常的に「それ、本質をついているね!」などと言うことがありますが、

「本質=それがなくなると○○でなくなるもの」という筆者の説明には「なるほど!」と思わされます。

それがもつ具体的な特徴を挙げていって、それが上記に当てはまるか、取捨していくんですね。

 

本文中の例では、冷蔵庫の本質とは、「中に物が入れられて、冷却機能があるもの」という非常にわかりやすいものにたどり着きます。

 

感情については、本文中ではその本質を

「価値を捉える思考と、価値に対処するための身体的な準備の組み合わせ」

と表現しています。

 

これは、唐突にこう書いてしまうと何のことかよくわかりませんが、身体反応について、思考について、価値判断について、様々な事例を検討したうえで導き出されたものなので、1章~4章まで順番に読んでいけば、なんとか理解できるようになっています。

 

<感情と理性>

よく、感情が勝っているか、理性が勝っているか、という対立軸で人を区別することがありますが、これに疑問を投げかけている場面が印象的でした。

こういう場合、だいたいにおいて、感情が勝っている人=悪、理性が勝っている人=善、という構図になりがちですが、それはどういうことでしょうか。

人間には、ヘビを見た時に考えるより先に避けるような「①とっさの判断」と、選択肢の比較検討をして行動する「②熟慮による判断」の2種類があって、どちらも場面によって必要であり、互いに補い合っているはずです。

でも、②が必要な場面に、①のような直感的な反応を示してしまい、失敗することが悪目立ちしてしまう結果、「理性>感情」の構図が定着しているようだ、と筆者は分析します。

よく考えれば①も②も感情が関係する価値判断であるのに、①=感情、②=理性というイメージ付けが一般的にされてしまっているということが分かります。

 

このように哲学は、日常的に使われている言葉について、自分たちに貼りついている固定観念を引き剥がし、再検討することができます。

結果として否定的だった行動を肯定できることもあれば、「~べき」のような価値観にも距離を置くことができるようになると思いました。

 

<感情と〇〇>

この本では、いったん定義された本質をもとに、様々な具体例を検討し、この場合はどうか?と検討していきます。

例えば、ロボットは感情を持つのか?というような疑問です。

自分は即座に、「いや、それはないだろう。」と言ってしまいますが、今までの講義を踏まえ、他人の感情を私たちはどう判断しているか、を考えていくと、ロボットには感情があるのではないか??と考えてもいいような気になってきます。なんとなんと。

 

また、感情と気分についての関係、感情と道徳について、はたまた、ジェットコースターのように「恐怖を求めにいく」というのはどういうことか、など、後半部分も面白い例とともに分析されており、読んでいて楽しかったです。

 

繰り返しになりますが、この本は、「哲学のやり方」を学ぶにはかなり有用な本ではないかと思いました。

 

感想は以上になります!

 

では、また!