主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「銃・病原菌・鉄」(上)(下) ジャレド・ダイアモンド (ネタバレ:有)②

<すべては、たまたま、そこにあったから。

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、昨日に引き続きこの本について書いていきたいと思います。

 

<内容紹介・感想・続き>

◆昨日の続き

昨日は、この本の趣旨である

「なぜ、現在の人類はユーラシア大陸の人、なかでも欧米人が覇権を握っていて、その他の大陸の人たちではなかったのか?」

について、

直接的な原因「銃・病原菌・鉄」

と究極の原因「農耕に適した動植物種の存在と、東西に広がる大陸の特性」

が導き出されるという結論に至ったというところまで書いてきましたが、

もう少し詳しく書いていきたいのと、それに対する感想までを書いていきたいと思います。

 

◆東西に長かったユーラシア大陸

文明発展というのは、そもそもは農耕が始まったことで、多くの余剰作物が生じ、食料生産に従事しない専門職(政治家や職人)を養うことができたこと、そうすることでさらに多くの人口を抱えられるようになっていき、都市や国ができていく、、というストーリーをたどっています。

 

人口が多くなった国は、文字や鋳造技術、火薬などの発明が起こりやすくなったことも文明発達がスピードアップしていった要因となっています。

そして、忘れちゃいけない病原菌。人口が多くなった都市で、家畜から人間がもらうウイルスに早くから感染し耐性をつけていった人種が、そうでない地域に踏み込むとどういう結果になったか、恐ろしいことです。

 

そうやって、力をつけた国が他の未発達地域を侵略して、国を大きくしていき、やがて帝国へと成長していく、というふうに次第に世界の大部分がどこかの国の領土となっていきました。

 

アメリカ大陸やアフリカ大陸でも、5000年ほど遅れて食糧生産を始めていますが、その時点でユーラシアにすでに差がついてしまっていたというのもありますが、その南北に長い地形によって、気候差により農業が広く伝播しにくかったという要因も指摘されています。

 

◆穀物と家畜の差

「世界で消費されている植物の80%は、わずか10種類の植物で占められている」

これはなかなか衝撃的でした。

 

それは小麦や米、トウモロコシ・エンドウ豆・ジャガイモ等になりますが、これが存在した地域、メソポタミア、中国、中米においては文明が起こり、また伝播しえた周辺地域でもその影響で栄えていくいっぽうで、オーストラリアには栽培化しやすい野生種がひとつもなく、さらに隔離された場所により農耕が定着しませんでした。

オーストラリアでは結果として、欧米列強に征服されるまで、狩猟採集を続けていたことになり、ユーラシアより文明化が実に1万年もの差がついてしまった、ということです。

 

そして、家畜です。これも飼育がしやすいのはたった14種、そしてなんとそのうち13種はユーラシアにしか存在しませんでした。

 

そして、さらにキーポイントになっただろうと思ったのが、「馬」の存在です。馬は第一次世界大戦までずっと軍用車両や運送手段として絶大な威力を発揮してきました。

確かに、遊牧民と呼ばれるチンギス・ハーンが世界を席巻できたのも、ピサロがインカ帝国を征服できたのも、馬がいたことがとてつもなく重要だったと考えられます。

 

メキシコやインカなど中央アメリカには、飼育可能な大型哺乳類は、ラマとテンジクネズミぐらいしかいなかったと書かれています。テンジクネズミって、モルモット♪そりゃ、その差は大きい、、。

 

では、アフリカにはシマウマやキリンなどの大型哺乳類がいるじゃん、それはなんでダメだったの?というのも、詳しく解説されていますが、ここでは割愛します。

 

◆だから、すべてはたまたま、そこにあったから

結論として、著者が言いたかったことは、ユーラシア大陸、欧米人が世界の覇者となれたことは、人種的に優れていたということではなく、栽培可能な動植物がたまたま存在して、地形的に有利であったためである、ということです。

 

◆感想

自分が感想として抱いたこと、それは筆者が言うように、人種により優劣を競うということはナンセンスであるということですね。

 

もっというと、今自分たちが豊かに暮らせているのは、ほとんどこの論理に当てはまるということを感じます。

自分が安全な国に生まれ、現代という快適な社会で暮らし、会社勤めができて大きな問題もなく食べて暮らせている、という状況に、「それは自分の努力の結果だ」と慢心することは実にくだらないということです。

それらはすべて「たまたまそこにそれらが存在して、その中でたまたま自分がそこに生をうけたから」に過ぎないということを感じるのです。

 

1万年の歴史の前にも、700万年という歴史があって、そこにいた人たちは、イノベーションが大事!なんて考えてなくて、粛々と命のバトンを継いでいったんだろうなぁなんてことも考えてしまいました。

 

こういうスケール感で歴史を学ぶにつれ、1万年といっても、自分たちは1万年前の人たちと同じものを栽培して食べていて、同じように国同士で戦争して、なんも変わっていないなぁ、ということをよーく実感します。

 

◆そのほか

この本の後半部分には、前半ほど決定的に重要な示唆はないですが、逆に読み物としてかなり面白いです。

例えば、ポリネシアの島々。人種から考察したところ、そのルーツは東南アジアの民族にあって、大海に乗り出した起点は紀元前3500年ごろ台湾にあったということ。そこから東はイースター島、西はマダガスカルまで、5000年をかけた、途方もない大航海ですね。

また、中国。中国は、文明が始まったころから中国であり、今でも中国であり続けるという世界的に見ても特殊な国で、その閉鎖性によって、欧米列強との競争に勝てなかった要因にもなっている、ということで、これも興味深いケースでした。

 

長々と書いていきましたが、この本がなるほどベストセラーになっている理由がよくわかりました。

メッセージがシンプルであり、論理構造が一貫していて、なおかつ読み物として面白い。さらに読み手に哲学的な考えを促している、私はそう感じました。

 

確かに長いですが、挫折することがなく最後まで行けると思います。また、重要なところが前半に集中しているので、後半挫折しても大丈夫です(笑)

 

感想は以上になります!ありがとうございました。

では、また!