<全編「手紙だけ」。よくできています。>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会う事ができない(「二十年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。
◆この本は
ボリューム:★★★☆☆(普通)
読みやすさ:★★★★☆(対話調で読みやすい)
斬新さ :★★★★☆(すべてが手紙だけ)
意外性 :★★★★★(どんでん返しありあり)
ミステリー作家というのはつくづく凄いなぁと思わせる作品でした。手紙のやり取りだけでミステリー1冊になるのですね。そして手紙のやり取りだけということを逆に利用してそこにトリックを仕掛けています。3篇ともに、凄いどんでん返しが待っていました!
◆内容紹介・感想
この小説は、3つの短編+エピローグで構成されていますが、
最大の特徴は、なんといっても、
「手紙のやり取りだけで構成されている」こと。
手紙のやり取りだけで、ミステリーを構成し、最後にはちゃんとどんでん返しが待っています。
そのどんでん返しは、「顔が見えないやり取り」を逆手に利用して、当事者同士が疑心暗鬼になったり、読者をミスリードさせたり。
なるほどうまいなぁ!と驚かされました。
<1.10年後の卒業文集>
放送部の同級生の結婚式の後、そこに出席していなかった1人の子をめぐる、「10年前に起こったあの事故」について、「あらためて真相を探りたい!」と、友人同士で手紙のやり取りをしているうちに、新たな真実がだんだん見えてきます。
<2.20年後の宿題>
退職した先生が、在職中、印象に残っていた生徒に手紙を出し、「ある生徒に会って話を聞いてほしい」と依頼されるところから手紙の往復はスタートします。
主人公はそこから、次々に関係している生徒に会ううち、「20年前のあの事故」に関わりがあることに気付くことになり、そこから、長い謎解きの旅が始まります。
<3.15年後の補修>
国際ボランティアをしている青年と、遠距離恋愛中の彼女との手紙のやり取りです。
彼らは中学から15年間付き合っていますが、「15年前のあの重大事件」について、彼女はよく覚えていません。
というのも、それはクラスの男子に倉庫に監禁され、乱暴されそうになるという痛ましい事件でした。
彼との手紙のやり取りをとおして、彼女が徐々に記憶を取り戻していくんですが、その先に、さらにどんでん返しが待っていました。
<1年後の連絡帳>
エピローグです。
最初にも書きましたが、すべてが手紙のやり取りなので、読んでいるほうも頭の整理をしながら読んでいかないとミスリードしそうなのですが、それがまたミスリードを誘うという巧妙な仕掛けになっていて、、。
ミステリー作家って、すごいですねぇ。
※そんなにドロドロしたやつじゃないんで、その辺はご安心を。
では、また!