<「対話するだけ」で解決する問題は多いと思う>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
ただ対話するだけで、
どうしてこころが癒やされるのか?
オープンダイアローグ発祥の国フィンランドでは、
対話によって、精神面に困難を抱えた人の8割が回復。
学校や職場、家庭、議会でも「対話の場」が開かれ、
大きな効果を上げている。
実践に向けて、オープンダイアローグをハートで感じる書!
「その人のいないところで、その人の話をしない」
「1対1ではなく、3人以上で輪になって話す」
ただそれだけのことで、
どうして人は回復していくのか。
日本人医師として初めて、
オープンダイアローグの国際トレーナー資格を得た一人である筆者が、
自らの壮絶な過去とオープンダイアローグに出会った必然、
そして、フィンランドで受けたトレーニングの様子をつぶさに記すことで、
「オープンダイアローグとは何なのか?」
「ただ対話するだけで、どうしてこころが癒やされるのか?」
「どのようにして対話の場が生まれるのか?」
など、様々な疑問に回答する。
◆この本は
ボリューム:★★☆☆☆(新書サイズ)
読みやすさ:★★★★☆(読みやすい)
気付き学び:★★★★★(「聞き切る」ことの重要性)
考える :★★★★☆(日常に活かせることもありそう)
フィンランド、ケロプダス病院式「対話診療」によって、投薬や入院が劇的に減少。そこに魔法は何もなく、ただ「聞き切る」対話をし、その場で皆考えていくことでした。医療現場だけでなく一般にも応用できそうで学びが多かったです。
◆内容紹介・感想
フィンランド・ケロプダス病院では、「オープンダイアローグ」という対話手法を用いることで、精神の病を抱える患者の多くが薬を使わずに回復し、入院ベッドは160から20に減少したといいます。
その1時間足らずの「診療」と言ってよいかどうかもわからない、「対話」とはどんなものでしょうか?
「オープンダイアローグ」にはいくつかの決まりがあって、その「型」こそが、この病院で培われてきたノウハウということになります。
そのうちのいくつかを紹介すると、
・その人のいないところで、その人のことを話さない
⇒必ず患者本人が色んな決定に参加すること
・1対1で会わない、患者・家族・医師・スタッフが対等な立場で
⇒困りごとを複数のスタッフで聞く
・リフレクティング
⇒「聞く」と「話す」の分離
表紙イラストの通り、わざと椅子を円形に並べ、患者(家族) VS 医師(スタッフ)の構図にならないように、配慮します。そうすることで、「医師が判断し、指示を待つ」という受け身のスタンスから、「皆で一緒になって考えていく」という雰囲気がつくられ、患者が主体性が重視されます。
また、精神の病気は治療に時間がかかりますので、患者だけでなく、家族や医療スタッフの協力が欠かせないので、その人たちからも意見を対等に聞いていく、という効果もあります。
そして重要なのが、「聞き切る」という姿勢。お医者さんというのはとにかく忙しい。いかに「聞き切る」ということが難しい反面、それを実現させることで大きな効果が得られるということがわかります。
また、独特だと思ったのが「リフレクティング」という手法。対話の場で一旦「リフレクティング始めます」と宣言し、医療スタッフ側だけで輪を作り直し、対話を始めるという手法です。
患者サイドはそれを聞いていて、リフレクティングが終わるまでは対話に参加しないんです。
これをすることで、さらに対話を促すことができるということで、とても興味深い手法だと思いました。
筆者がオープンダイアローグの研修としてケロプダス病院で学んでいて、その模様も紹介されています。
とても興味深かったのは、「自分のことについて、話す」トレーニングです。
相手の話を聞くことが大切な対話において、自分が子どもの頃の話や過去の辛かった思い出を他のメンバーに話す、という体験をしています。
そうしたことで湧き起こる感情の変化を学んでいって、患者との距離の取り方を筆者本人が見つめ直し、自分も変えることができた、という体験はとても興味深いものでした。
この本を通して感じたことは、現代では対話の場は少ないということ。即時的に答えが求められることが多く、じっくり聞かずに結論を出していく、むしろそんなトレーニングを繰り返して言っている気がします。
そんな中で、精神の病気だけでなく、こういった「対話」をすること、なかでも「しっかり聞く」ことで解決する問題はかなり多いのではないか、ということです。
学びの多い読書になりました。
以上で、感想を終えたいと思います。
では、また!