ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

読書・読書会・哲学・哲学カフェが好きな人間のブログ

主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

オンライン哲学カフェ第74回 絵本哲学カフェ「もこ もこもこ」①

<事前の予想に反して、たいへん盛り上がったのです>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

私が参加していたある読書会の知り合い同士で始めた「哲学カフェ」。

2020年より主にオンラインの場に移し、「オンライン哲学カフェ」として楽しんでおります。(※今のところ、クローズドでの開催です)

今回は、第74回開催になります。

 

前回の第73回開催の記事はこちらになります。

chikuwamonaka.hatenablog.com

 

◆「哲学カフェ」とは?

哲学カフェとは、おもに身近なことがらについてテーマを1つ決め、それについてみんなで自由に意見を出し合う対話の場です。

「哲学」と書いていますが、ソクラテスやプラトン哲学がどうのといった話はほとんどしません。

私たちの哲学カフェで扱っているテーマは、「『普通』ってどういうこと?」だとか、「『自己責任』って結局何なの?」だとか、身近にありながら、答えがなかったり、人それぞれだったり、ふだんあえて時間をかけて考えたりあまりしない話題について、じっくり語り合っています。

そうすることによって、「あたりまえ」だったことに新しい側面を発見し、考え方・生き方に変化が起こることを楽しんでいければいいな、と考えています。

当哲学カフェはいわば「日常生活を哲学する」ことを目指しています。

 

◆「Zoom」を使っています

今回も、「Zoom」を使用。

「Zoom」はすっかりおなじみですがとても使いやすいオンライン会議アプリです。

主催が会議を「○○日の●時~●時」とスケジュール設定すると、「会議ID」が発行され、参加者はPCのZoomホームページやスマホアプリから、その「会議ID」を入力するだけで、アカウントを作る必要も無く、簡単に参加できます。

  

◆この日は「絵本哲学カフェ」

この日の参加者は7名(「聞き専」含む)。時間は2時間です。

オンラインにおいても、実際の哲学カフェのように、進行役を決め、1人ずつしゃべる方式にしています。

しかしながら一部の人しか画像を映していないため、挙手が見えないので、発言したい人は「ハイ○○です。」と言い、進行役が指名するという感じにしています。

今回は、いつものごとく、ひじき氏が進行役、私ちくわはいつも通り書記役です。

 

この日は、いつもと違って初めての試みで、

 「絵本哲学カフェ」です。

それぞれ、あらかじめ絵本を読んでおいて、その場では感想や意見を語り合うという形式です。

 

そして、課題絵本は

「もこ もこもこ」谷川俊太郎 元永定正です。

 

 

<amazonより>

「しーん、もこもこ、にょきにょき」とふくれあがったものは、みるまに大きくなってパチンとはじけた。詩人と異色の画家がおりなす不思議でおかしな世界の絵本。

 

今回の絵本哲学カフェは、進行役であるひじき氏が「面白そう」と推薦してきて、自分としては半信半疑のままやってみようという、とりあえずの企画でした。

しかし、やってみると、メンバーの観察力と想像力によって、2時間があっという間に過ぎるという、事前の予想に反してすごく楽しい回となりました。

 

では、実際出てきた意見と感想を簡単に書いていきたいと思います。

 

◆この絵本を読んでみて、気付いた点

まず、このレポートを書くにあたり、どんな絵本であるか、紹介しておく必要があります。

www.ehonnavi.net

↑こちらは「絵本ナビ」のホームページなのですが、この中で、全部読むことができるのと、作者の谷川俊太郎さん自身による朗読動画がありますので、興味のある方はご覧ください。

 

この絵本は、表紙除く全15枚の絵で成り立っており、不思議なキャラクターが出てきて、字は「もこもこ」のようなオノマトペ(擬音語や擬態語)がひとつふたつ入っている、という本当にシンプルな作りになっています。

 

これからの表記は、ページ数は文研出版の絵本に則り、2,4,6,,,~30というふうに絵の左下の数字で表現します。

そして、キャラクターは、見た目イメージから、この日、自然に名付けられた、「もこもこ」「にょきにょき」「ぎらぎら」「ふんわふんわくらげ」の4種類で表現します。

 

この絵本哲学カフェを始める前は、これで2時間話あえるのだろうか?という不安ばかりでした、、。

とりあえず、それぞれが読んでみて気づいた点を言っていこう、というところからスタートしました。

気付いたところは、以下の通り、色んなものがでてきました。

 

・15枚の絵で起承転結になっている

・「無限ループ」「輪廻転生」を予感させる

・キャラクターの色が変化していく

・「ぱちん」とはじけているのは、もこもこなのか、ぎらぎらなのか?

・「ふんわふんわ」は何なのか?その前に飛び散っているものは何なのか?

・声に出して読み聞かせることを前提に、音の響きにも注目したい

・最後の「もこ」の位置が最初の絵と違っている

 

最初にフォーカスされたポイントは、22頁の「ぱちん」、24頁の何かが飛散していくシーンです。

 

まず、弾けたのはなんなのか(もこもこなのかぎらぎらなのか)、飛散していく物体はなんなのか(&あとにでてくるふんわふんわと同じなのか)、ここについて「この部分が一番わからなかった」という声が多かったです。

 

色んな可能性が検討されました。

「ぱちん」の色、24頁の背景色、飛散していくクラゲ状物質の色、、、。

 

その中で、最も印象に残った見解が、

「ぱちん」は「引き映像」である、という意見でした。

その証拠として、このページだけ地面の色が違っていて、どこかスケールを感じるところ、そして、次頁で地面の色が戻っていることで、辻褄が合う、ということでした。

 

ここから、「地球の文明社会のメタファーでは?」という解釈に発展していきました。

「もこもこ」は人類ないしは文明であり、「にょきにょき」は自然やエネルギーとなり、「ぽろり」と落とされ、やがて爆発するのは、廃棄物(核とか含む)などの副産物となります。

 

地球の自然を浪費して肥大化した人類の文明が、やがて生み出された廃棄物や副産物によって絶滅してしまう。そして、地球には何もなくなった、、。

というストーリーが連想されるというものです。

 

この絵本は、キャラクターや文が単純化されていて、解釈が自由で、答えがないように思います。

もちろんこれを描いた元永定正さんには、テーマやストーリーがあったのだとは思いますが、「こういうことかな?」「いや、こういうのもあるから違うのでは?」などと、とても自由に解釈できるという意味で、哲学カフェになりうる要素を多分に含んだ素材であるとは、始まってしばらくして、感じてきたのでした。

 

哲学カフェはまだまだ続きますが、長くなってきましたので、続きは日を改めて書いていきたいと思います。

 

では、また!