みんなの日常哲学カフェ ~哲学カフェとか読書とか

哲学カフェの記録を中心に、読書記事も書いています

旧:ちくわのぴょんぴょん読書日記

こうべふらんす哲学カフェ6月「道徳は政治的なものの中で最良であるか」

<ふだんと違う頭の使い方を、楽しめました>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、先日参加した「こうべふらんす哲学カフェ」の模様を書いていきたいと思います。

 

◆「哲学カフェ」とは?

哲学カフェとは、おもに身近なことがらについてテーマを1つ決め、それについてみんなで自由に意見を出し合う対話の場です。

「哲学」と書いていますが、ソクラテスやプラトン哲学がどうのといった話はほとんどしません。哲学カフェで扱っているテーマは、「『普通』ってどういうこと?」だとか、「『自己責任』って結局何なの?」だとか、身近にありながら、答えがなかったり、人それぞれだったり、ふだんあえて時間をかけて考えたりあまりしない話題について、じっくり語り合っています。

 

◆「こうべふらんす哲学カフェ」とは?

ameblo.jp

 

「こうべふらんす哲学カフェ」は、

そもそも、哲学カフェって何をするところ?

ひとことで言うとゆっくり「考えるところ」です。 
一つのテーマについて、
辞書に定義が載っていたとしても、あえて既知を外して、ほんとうにそうだろうか?と疑い、ゼロから、もう一度いっしょにゆっくり対話しながらその疑いを吟味していきます。
他者の視点からあらたなものがみえてくるサプライズのお土産付き♪

 

というコンセプトで、主催者のjuperyさんにより月1ペースで続けられている、神戸の哲学カフェです。

私も何度か参加させてもらっており、今回は今年4月以来の参加となりました。

 

◆この日のテーマはバカロレア過去問「道徳は政治的なものの中で最良であるか」

この日集まったのは途中参加も含めて10名程度だったと思います。

初参加の方は今回はいらっしゃらなかったかと思います。

 

今回も、テーマはあらかじめ用意されていて、事前告知されていました。

今回のテーマはいつもと趣を変えて、「バカロレア過去問をやってみよう」という実験的取り組みでした。

 

バカロレアというのは、フランスにおけるセンター試験のような入試問題で、ひとつの問いが与えられ、それに対して持てる知識を論理的に展開させ、論文を書いていくというものなのですが、本当の過去問からお題を2題、選択し、用意されていました。

 

A:「道徳は政治的なものの中で最良であるか」

B:「あらゆる生物を尊重することは倫理的な義務であるか」

 

開始早々、じゃんけん的方法でお題は

A:「道徳は政治的なものの中で最良であるか」

 

に決まったのですが、そこから、今回の「バカロレア特別ルール」についての説明がありました。

 

いつもの哲学カフェであれば、単語に対する意味の確認から入りたくなるものですが、今回はそれに時間を費やさないため、「道徳」、「政治的なもの」、「最良」について、最初から限定的な辞書定義が示されます。

 

「道徳」=「社会生活を営む上で、ひとりひとりが守るべき行動の基準(の総体)。自分の良心によって、善を行い悪を行わないこと。」

「政治」=「国を治める活動。権力を使って集団を動かしたり、権力を得たり、保ったりすることに関係ある、現象。」

「最良」=「質、価値が最も優れていること。」

 

語句の限定的な意味が示されたうえで、次は、発言のやり方について進行より説明がありました。

 

設問が「道徳は政治的なものの中で最良であるか?」という問いのため、

①道徳が最良であると思う場合は、最良であると思う理由を述べていく、

②道徳が最良でないと思う場合は、最良だと思う他の要素をあげ、その理由を述べていく

 

なるほど、「バカロレアを解いていく」疑似体験を哲学カフェでやってみるということなんですね。

実際のバカロレア入試は4時間かけてこの問題をやっていくということで、語句の解説も自分で書いていくそうです。確かに、知識を問うのも入試ですしね。

 

いざ、哲学カフェスタート、なんですが、どういう展開になったかというと、いつもと違って、(自分は特にですが)メンバーそれぞれがなかなかに戸惑っていた印象です。

言葉の意味を問い、すり合わせていくのが自分のふだんやっていることの主なので、それを飛ばして前に進めていかなけばいけないというのは、慣れない体験だったと思います。

 

例えば、「道徳が最良のものでない」とすると、「こんな場合はどうだろう?」と、道徳にかんする例外を考えていくものですが、道徳の定義があらかじめ与えられているので、それを読みなおすと道徳は完全無欠のように思えてくる、、。

 

「政治的なもの」について考えていくと、会社の場合や、地域コミュニティの場合について、もっというと友達関係についても考えてしまいますが、「国を治める」と定義されているので、ああそうかそれじゃだめだ、とそこで思考がストップしてしまう。

 

自分が途中からずっと考えていたのは、国を統治することにとって「最良」なのは、統治される国の人々にとって「最良」であることとイコールなのかどうか、ということでした。

現在ある国をイメージして、戦争を起こしがちだが統治は長年されているのは最良といえるのか?という感じで。

 

法律が最良であると思えば、その法律の背景に道徳があるので、それを2個並列で考えてしまえるのか、という意見が、一番印象的でした。

 

ふだんは、自分にとって、「前提を外していく」作業を楽しむという要素が大きい哲学カフェですが、

今回はふだんとは違う頭の使い方ができて、また哲学の別の側面を味わうことが出来たのではないかなぁと思います。楽しかったです。

 

以上で、今回の「こうべふらんす哲学カフェ」の感想を終わりたいと思います。

では、また!