<言葉ってやっぱりおもしろいです>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
陰キャ、根暗、映え、生きづらさ、「気づき」をもらった……あの言葉と言い方はなぜ生まれ、なぜ消えていったのか。「ことば」にまつわるモヤモヤの原因に迫る、ポリコレ時代の日本語論。古典や近代の日本女性の歩みなどに精通した著者が、言葉の変遷をたどり、日本人の意識、社会的背景を掘り下げるエッセイ。以下、章題。
・Jの盛衰・「活動」の功と罪・「卒業」からの卒業・ 「自分らしさ」に疲弊して・「『気づき』をもらいました」・ コロナとの「戦い」・「三」の魔力・「黒人の人」と「白人」と・「陰キャ」と「根暗」の違い・「はえ」たり「ばえ」たり・「OL」は進化するのか・「古っ」への戦慄・「本当」の噓っぽさ・「生きづらさ」のわかりづらさ・「個人的な意見」という免罪符・「ウケ」たくて。・「You」に胸キュン・「ハラスメント」という黒船・「言葉狩り」の獲物と狩人・「寂しさ」というフラジャイル・「ご迷惑」と「ご心配」・「ね」には「ね」を
◆この本は
ボリューム:★★☆☆☆(やや軽め)
読みやすさ:★★★★☆(たいへん楽しく読めます)
言葉の楽しさ:★★★★★(言葉について考えることはやっぱり好きです)
考えのヒント:★★★★☆(よくよく考えてみると、変な言葉だというのはよくある)
○○活動、○○ハラ、ご理解とご協力、、、。流行語って、その言葉を少し問うてみるだけで、社会背景や、国民性とかが見えてきて、やっぱり楽しいですね!おじさん言葉を笑う若者も、いずれ笑われる立場になるっていうのは、真実ですねぇ。
◆内容紹介・感想
最近よく聞く言葉と、聞かなくなった言葉。言葉というのは次から次へと生まれては消えてゆきます。
この本では、新しい言葉を中心に20個ほど取り上げ、その言葉の背景にある社会について筆者なりの独自の切り口で、面白く料理していく、という内容となっています。
印象に残った言葉を、いくつか感想とともに紹介していきたいと思います。
①社会情勢をよく表している「○○活動」
「○○活動(〇活)」なんか、社会情勢を良く表していて面白いですよね。
例えば、「婚活」や「妊活」。
男性でも使える言葉ですが、使うのは女性が多いのではと思います。
以前であれば、「結婚相手募集中」「子作り頑張ってます」という言葉しかなく(他にもあるかとは思いますが)なんかは、それを聞いて、ガツガツしていたり、イヤラシイ感覚を持つ人もいたりするので、使いづらかったのではないでしょうか。
「終活」なんかは、「身辺整理」という言葉ぐらいですかね。自分が死ぬ準備をするというのは、「縁起でもない」と忌み嫌われることもあったでしょうし。
でも、この「○○活動」という言葉で定着してしまった今、それらはすっかり「当たり前のこと」になりました。「〇活」という熟語になれば、もっとポップ感が増します。
ここで筆者は、「○○活動」の定着の背景には、それらの活動は家族や地域コミュニティーがなんとかしてくれていたものであったが、現在は自分で努力しなければならない時代になったこと、という分析をします。
なるほど、自由になったからこそのプレッシャー。ポジティブな雰囲気を持たせながらも、同時にそういった社会変化を感じ取れると考えるとおもしろいですね。
②ネーミングの妙「○○ハラ」
「○○ハラ」に関しては、人々の価値観の変化、人権意識の高まりとセットで考えられますよね。
以前はこのような言葉・行動について問題視されていなかったものが、やっぱりいけないよね、と認識されるようになる。
もちろんこの言葉の元祖は「セクハラ」=「セクシャル・ハラスメント」。人権意識の高まり、男女不均衡是正の行動が一気に浸透したきっかけがこの言葉でした。
そして、筆者はこの「セクハラ」という略がまた秀逸だったことで、この後の大ブレイクにつながったと分析しています。
「課長、セクシャル・ハラスメントです!」とは言いずらいですが、「それ、セクハラちゃいますか」というのは確かに言いやすい。
そして、ここからがすごかったですね。
この語感を転用し、「パワハラ」という言葉が生まれたことです。
さらに、パワハラが浸透するや、モラハラ、アルハラ、、、。
次々と旧来からの不均衡や理不尽が社会問題としてあぶり出され、環境の改善につながっていく例もたくさん出てきます。
最近注目を集めている、「カスハラ」という言葉も、この言葉ができたことにより、お客はいつでも正しいわけではなく、毅然とした態度を取れる人が増えてきたきっかけになっています。
以前、哲学カフェでもこのテーマでやったことがあって、↓↓↓
そこでは、「鬼滅の刃」を観ていない人を疎外する「キメハラ(!)」なんていうのも話題に出てきたり。オリンピックを観ていない人に対する「オリハラ」なんかもありましたね(笑)。
そこまで来ると、あまりに軽くて、元の「セクシャル・ハラスメント」の深刻さが薄れてしまいそうですが、それでも、「おかしい」と思っている人が声を上げやすくなったのは確かではないでしょうか。
③コロナ禍からの新しい言葉
そして、忘れてはならないのが、2020年のコロナ禍から生まれた言葉。コロナ禍は本当に多くの言葉が生まれました。
といったところで、長くなってきたので、続きは日を改めたいと思います。
では、また!