主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「残月記」 小田雅久仁(ネタバレ:少)

<圧倒的な没入感。

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

残月記

 

内容紹介<amazonより>

近未来の日本、悪名高き独裁政治下。
世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。
「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。
足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れない――。
最も新刊が待たれた作家、飛躍の一作!

◆この本は

ボリューム:★★★★☆(3話あるのでそこそこ)

読みやすさ:★★★★☆(難しくはないです)

ファンタジー:★★★★☆(それぞれに異なる世界観)

没入感:★★★★★(描写力がすごい、別世界に飛んでいきます)

 

表題作「残月記」はじめ、「そして月がふり返る」、「月景石」の全3話が収録されています。そのいずれもが「月」にまつわるお話。ファンタジーであり、SFであり、ちょっと怖い感じであり、どれも不思議な世界観がある作品になっています。

もちろんメインは表題作の「残月記」なのですが、私は、1話めの「そして月がふり返る」の異様な雰囲気が好きでしたね。

 

◆内容紹介・感想

1話目:<そして月がふり返る>

主人公の大槻高志は大学教員。本も出版し最近はテレビにもコメンテータとして呼んでもらうほどの売れっ子に、そして聡明な妻と可愛い2人の子ども、まさに幸せの絶頂と呼べる高志。

そんな大槻一家がファミレスで食事をしています。高志がトイレに立ったとき、ふと窓から夜空を見上げると、「尊大なまでに際立った満月」が見えました。

その月が、何とも不思議で不気味に見えたその瞬時、店内は静まり返り、客たちは止まったように見え、どこか異様な空気が流れています。

暫くして前と変わりのない店内の喧騒が戻った時、何も変わっていないようで高志の身にほんの少しだけ、しかし彼にとってはとんでもない変化が起こってしまうのです、、。

自分が思っている自分、他人が思っている自分、自分って、いったい、、。

 

2話目:<月景石>

主人公の澄香は32歳。最近マンションに引っ越し、男と2人で暮らしはじめました。

澄香には子供の頃死別した叔母がいて、その叔母から遺品としてもらい受けた「月景石」がこの物語の中心になります。

模様が月夜のようになっていてとても美しい「月景石」。

「これを枕の下に置いて寝ると、月に行ける。でも悪い夢を見るから、澄香ちゃんは絶対やったらダメだからね」という叔母の生前の言葉を聞いていましたが、同棲相手にそそのかされ、試しに寝てみることに。

すると、自分は奴隷のように運搬車に乗せられ、沙漠を移動していました。月世界のちょっと恐ろしいファンタジーの始まりです、、。

 

3話目:<残月記>

2048年、主人公の宇野冬芽は27歳にして、治療法がない「月昂」という感染症に罹患していることが明るみに出てしまい、保護施設という名の刑務所のような隔離場所に監禁されることになりました。

「月昂」に感染し「月昂者」となってしまったら、満月の夜には力や知恵がみなぎるいっぽうで、逆に新月には生気がほとんどなくなり、そこで命を落としてしまう人もいるという、恐ろしい病気です。

おりしも21世紀中盤の日本は、巨大地震があり多くの犠牲者を出し、国家の危機として発出した非常事態宣言によって、一党独裁政権の国が生まれていました。

隔離施設に閉じ込められていた冬芽は、突如係員に呼び出され少しの面接を受けたのち、連れて行かれたのは、山中のスタジアム。

ここで行われていたのは、独裁者が趣味として闇に作り上げた、月昂者どうしが剣で闘いあう、「グラディエーター」の世界でした。

熱いバトルあり、恋愛あり、映画のようなシーンが頭の中にどんどん広がってくる、リアリティーのある描写は凄いの一言です!

 

以上、月にまつわる3話の冒頭部分だけを紹介しましたが、それぞれに異なる世界観で、それぞれに圧倒的な文章力で異世界に連れて行ってくれます!

現実を忘れて、没頭できること、間違いなしです。

 

感想は以上になります!

では、また!