ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

読書・読書会・哲学・哲学カフェが好きな人間のブログ

主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「日本のいちばん長い日」半藤一利

<この日があって、今があるとつくづく思う>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

 

内容<amazonより>

あの日、日本で起きた事。起きなかった事──。
30万部突破の傑作ノンフィクション!
昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた…。しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。八月十五日をめぐる二十四時間を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション。
文藝春秋の〈戦史研究会〉の人々が『日本のいちばん長い日』を企画し、手に入る限りの事実を収集し、これを構成した。いわばこれは〝二十四時間の維新〟である。しかもそれは主として国民大衆の目のとどかないところでおこなわれた。──大宅壮一「序」より
2015年映画化。役所広司、本木雅弘、松坂桃李、堤真一、山﨑努 監督・脚本:原田眞人

◆この本は

ボリューム:★★★☆☆(中ぐらい)

読みやすさ:★★★☆☆(臨場感がすごい)

気付き学び:★★★★★(知らなかったことだらけ)

感動   :★★★★★(みんな、命がけ)

 

8月15日正午の玉音放送が無事にラジオから流れた裏で、ここまでのドラマがあったとは。天皇の言葉のもとで「終戦」という目標に向かい、すべての人が私欲を捨て自らの仕事に邁進しています。こういう本はほんと、読んでおかないといけないですね。

 

◆内容紹介・感想

物語は少しの事前情報を序章とし、本編は昭和20年8月14日正午から始まります。

1章が1時間ごとに区切られ、最後は15日正午の玉音放送まで、24章の構成となっています。

ノンフィクションなのに、そんな、1時間おきに小説にできるほどのネタがあるのか?と思いましたが、読んでみると本当にそこらじゅう事件だらけでした。

 

いくつか、感想を挙げるとすると、

・戦争をやめることは難しい

・みんな決死の覚悟で一丸となっている

・この日があったからこその今がある

ということになります。

 

まず、「戦争をやめることは難しい」ですが、この物語の象徴的な出来事でもあり多くページを割かれている、陸軍将校のクーデター未遂になります。

国が一丸となって戦争を闘っていて、その最前線の青年将校は、若くして軍人精神を叩き込まれており、「命を懸けて国を守る」「玉砕しても最後まで戦う」という精神を簡単に降ろすことはもちろんできません。

その陸軍を代表する人物でこの物語の主人公のひとりである阿南陸相が果たした役割です。

いくら自分に思うことがあったとしても、天皇が終戦を決定した以上、自分の命と引き換えに、青年たちに静かに武器を置いてもらわねばならない、そんな覚悟と行動がこの本のハイライトです。

 

そして、「みんな決死の覚悟で一丸となっている」です。

みんな未体験の「敗戦」ですが、しかし「終戦」という未来に向かって、ときの鈴木首相はじめ閣僚、官僚みんなが自分の職務をほとんど寝ずにまっとうしている、というところです。

この物語では、14日までに終戦は決定していて、ここから終戦の詔書案を作って閣僚が署名⇒公布⇒玉音放送という流れを詳細に記していますが、その中でも中心人物となったのが迫水内閣書記官長だったでしょう。

その文言ひとつひとつについて、阿南陸相側と東郷外相側にわかれて長い論争があったり、結果として修正だらけの詔書になったこと、それでもなんとか14日の夜には出来上がったということ、知らなかったことだらけでした。

 

いっぽうで、陸軍将校がおこしたクーデター未遂事件ですが、こちらのほうで活躍したのは、天皇周辺の侍従たちです。玉音放送阻止のために、録音テープを探して奪い取ろうともくろむ反乱軍に対し、なんとか逃れ切るシーンなどは、まさに命がけの映画さながらでした。

 

そして、「この日があったからこその今がある」です。70年あまり前のこの出来事が、現在の日本のもとになっていることがあまりにも多いということに気付かされます。

それは、とりもなおさずアメリカとの関係です。米軍基地もそうですし、日本が「西側諸国」になっていることも。この後マッカーサーの無血上陸につながるのですが、ここで内乱を鎮圧できたことで、早期に降伏文書調印が実現し、これ以上余分な代償を抑えられたのだろうと思います。

 

そしてロシア(旧ソ連)との関係です。終戦直前、ベルリンを陥落させたソ連軍は機に乗じて対日参戦表明、サハリン・千島列島を経て北海道に迫っていた猛攻を、ギリギリ寸前で止めることができたのだろうと思いました。

もし、これ以上、停戦が遅れれば日本の歴史が大きく変わっていただろうと考えるとゾッとする、そんな感想を持ちましたね。

 

自分が今の時代に、日本に住んでいて平和と自由を享受できているのは、この時代を経ているからだということを再認識するためにも、この本を読むことができて良かったと思いました。

 

感想は以上です!ありがとうございました。

では、また!