ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

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主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「かがみの孤城」 辻村深月 ~ネタバレ度(中)

<たったひとりでも味方がいれば>

 

こんばんは。ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

新しい事、楽しい事は、何でも試して、失敗して、楽しんで。

 

今日は、2018年本屋大賞受賞作、この本です。

 

かがみの孤城

 

 <内容紹介 amazonより>

あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。

 

◆誰かひとりでも、味方になってくれる人がいれば。

学校での居場所がなくなった主人公の「こころ」にとって、誰かに出会うかもしれない「外」の世界は恐怖でしかありません。

 

家ではお父さん・お母さんに対し「このままでいいの?」という、不登校に対するプレッシャーを感じます(実際にはそうではなかったのですが、そのように思ってしまいます)。

 

しかし紆余曲折を経て、お母さんにすべてを打ち明けられたことで、お母さんは絶対的な味方になってくれます。

 

そして、「フリースクール」の喜多嶋先生との出会いがあります。

こころちゃんが学校に行けないのは、絶対こころちゃんのせいじゃないです。(中略)だって、こころちゃんは、毎日、闘っているでしょう?

闘わないで、自分がしたいことだけ、考えてみて。もう闘わなくていいよ。

 

喜多嶋先生はどんなときもこころを肯定し 、素直でまじめが災いする部分をフォローする発言で幾度となく助けてくれます。

 

そして、同じように学校に馴染めない「かがみの孤城」の住人たちと出会うことにより、こころは「居場所」を見つけます。

 

このように、ひとりぼっちで闘わざるを得なかったこころは1人、また1人と心の支えを得ていくのですが、一番大きかったのはやはりゼロから1になったこと(1と認識できたこと)。他でもない「お母さん」の存在だったと思います。

 

たった一人であっても、味方がいることで(いると思うことで)、やけになって自傷行為に及んでしまうなどの確率はぐっと減るのではないでしょうか。

 

◆先延ばしの恐怖と闘う

こころの心理描写で私が強く印象に残ったのが、「先延ばしの恐怖」ともいえる心理でした。

学校に1日行かないと億劫になる。行かなきゃと思って、でも行けなくて、更に1日休むと、もっと行けなくなる。

 

これって、すごくよくわかります。

「その瞬間」を逃してしまい、後になればなるほど、やりづらくなる。

「教えてください」「ごめんなさい」「ありがとう」「できません」・・・。

 

その場の雰囲気に呑まれて、ためらわれて、ついつい先延ばしにして、自分の中に溜め込んで、後悔することって、私もよくあります。

 

◆「弱い者」への理解

最後まで理解しあえなかった担任の伊田先生に対する、こころの気持ち。

言葉が通じないのは、子どもだからとか、大人だからとかは関係ない。強い人たちは、何も後ろ暗いところはないから、堂々とこころを責める。理解しなくていい存在だから。

ものすごく心に刺さります。

 

自分は人間として強いわけではないのに、強い分野では、それをできない相手に対し上から目線になってしまいます。自分は昔弱い存在だったことも忘れて。

 

「何でこんなことができないの?」「さっさとやれよ。」

言葉に出さないまでも心の中で思ってしまうこと、あります。

 

自分は伊田先生のようになっていないだろうか、常に思い出すようにしたいと思います、、。

 

◆謎解き部分には、触れませんが、とにかく泣いてしまいます。

そんなこんなで、とりとめもなく感想を書いてきましたが、

この物語はこころが迷い込んだ「かがみの孤城」という不思議な世界を中心にストーリーが進んでいきます。

 

「かがみの孤城」とは何か?謎が解けた時、何が起こるのか?

それは是非読んでみてください。

 

子供を想う気持ちはもちろん、自分が子供の頃を思い出して、また親の愛を感じて、泣いてしまうことでしょう。

 

では、また!