ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

読書・読書会・哲学・哲学カフェが好きな人間のブログ

主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

彩ふ読書会 ~京都梅小路 11月 ②課題本読書会 「渦-妹背山婦女庭訓 魂結び」大島真寿美

<読む人の数だけ『渦』の解釈がある>

 

私ちくわは関西を中心に活動している読書会、「彩ふ読書会」に、

18年5月からサポーターとして活動しています。

18年12月より始まった京都開催のサポーターリーダーとして、日々お手伝いさせていただいています。

 

彩ふ読書会の目的は「本が好きな方の居場所作り」です。

「家庭でもない、職場でもない、第三の場所」をコンセプトに、色んな価値観を持った方々が集まり、意見を交換し合うこと、また空間を共有しあうことで新しく生まれる何かを楽しもう、という集まりです。

ジャンルは問いません、いい意味でバラけていて、「何でもアリ」なので、男女問わず、また若い方から年配の方まで、気軽にアットホームな雰囲気で、リピーターさんも多数いらっしゃいます。

また、「皆で作っていく読書会」というのも魅力です。私のようなサポーターだけでなく、リピーター参加者の方に進行役や会場セッティングを手伝ってもらいながら、運営しています。

 

iro-doku.com

 

11/17(日)は京都開催でした。

 

午前の部:推し本読書会

午後の部:課題本読書会 「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」

夕方の部:哲学カフェイロソフィア 「『自信』はどうやったらつくの?」

 

昨日の続き、今日は午後の部のレポートを書かせていただきます。

午前の部のレポートはこちらです。

 

chikuwamonaka.hatenablog.com

 

 

本日午後の部にお集まりいただいたのは9名。男性4名、女性5名。

 

今回は9名ということもあり、テーブルを1つにしました。

大テーブルのこの感じ、結構久しぶりで、初期の頃を思い出してちょっと嬉しくなりました。

 

開始時刻の13:40になりますと、司会者より挨拶・案内があります。

その後、進行役にバトンタッチし、読書会がスタートです。

 

今回の課題本はこちら。

「渦 ー妹背山婦女庭訓 魂結び」大島真寿美

 

<内容紹介:amazonより>

第161回直木賞受賞作。

「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ
人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作!

江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。
大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(のちの半二)。
末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、竹本座に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。
父からもらった近松門左衛門の硯に導かれるように物書きの世界に入ったが、
弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった……。
著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した奇蹟の芸術小説。

筆の先から墨がしたたる。
やがて、わしが文字になって溶けていく──

 

◆まずは、それぞれの感想から。

では、読書会スタートです。

 

最初に簡単な自己紹介をおこないます。

今回は人形浄瑠璃が主題ということで、「私の浄瑠璃体験」について、語ってくれる方も。操りの体験をされたことのある方もいらっしゃいました!

 

まずは一人ひとり、順番に大まかな感想を言っていきます。

 

★「物語の舞台、道頓堀は我々にとってもなじみの場所、そこで登場人物がワイワイやっているところを、実際目に浮かぶように読めた」

ーそうなんです、この本の最大の特徴が「ドラマを見ているようなおもしろさ」だと思います。関西弁のテンポの良い語り口、次々と進む場面。

 

★「浄瑠璃の作品を作っていく主人公の生きざまそのものが、ひとつの舞台のよう」

ーうまい表現!

 

★「歌舞伎で成功する正三との差がリアル」

ー弟分ながら、歌舞伎作家として大成した並木正三の家を訪れた時のショックといったら。

現代にいたっても、浄瑠璃(文楽)は伝統芸能でかなりコアなジャンルにとどまっており、TVタレントも多くいる歌舞伎とは規模が大きく離れてしまっています。

浮世絵でもみられるように、あの時代、歌舞伎俳優はアイドルでしたね。

 

◆タイトルの「渦」について

最も盛り上がったのが、タイトルの「渦」について。

この小説のメインテーマです。

  

★「ひとつの作品は、過去から積み重なってきたアイディアのツギハギであり、浄瑠璃でつくられたそれも、歌舞伎がパクリ、話芸がパクリ、パクリ返され、、」

ーちょっと語弊はあるかもしれませんが、イメージとしてはそんな感じでしょうか。 

 

過去から連綿と続く「大いなる流れ」を「渦」と表現し、文化も芸術も、人間そのものさえもそこから出てきてそこに帰っていく。

 

そのあいまいな虚実の境を表現するのが、これまたあいまいな存在である「人形」であって、変化する舞台がまた客と演者の境もあいまいにしていって、それを作る主人公たちもまた虚と実のはざまを彷徨います。

 

★「読んでいるうちに、なんか不思議な感覚になってくる」

ーまさにそんな感想が私にもしっくりきましたね。読みながら哲学的な事を考えずにはいられませんでした。

 

◆人形浄瑠璃・歌舞伎はディズニーランド

交通手段が歩きか舟ぐらいしかなかった江戸時代では、「難波に行く」ってのは、かなりの旅行となったでしょう。

 

「ちょっとお芝居見てくる」ってのは、現在の感覚と全く違ったものだったでしょうね。

 

ひと幕が4時間、それを午前・午後。さらに2日続きでやることも。それは宿泊して観ていく、ってことです。

 

誰かが、「今だったら、ディズニーランドに行くようなもの?」と言いましたが、あーそうそう、それですね!

 

そこから、ちょっと脱線して現代は「エンターテイメントの時間がどんどん短くなってる」って話で盛り上がったのですけど。

 

◆プチ文楽勉強会

今日の進行役の方が、この本を課題本に推薦していただいたのですが、文楽(人形浄瑠璃)の資料や公演ガイドを持ってきていただいていて、みんなでちょっとした勉強会となりました。

 

私は一度も観たことが無かったので、今回の読書と、読書会を通して、是非いちど行ってみたい!と思うのでした。

 

あっと言う間の1時間あまり。いままでとは一風変わった、カルチャーセンターのようでいて、お茶会のような、課題本読書会となりました(笑)

 
次回の京都開催は12/15(日)となります。

お申し込みは、HPのフォームから予約できます。

料金は¥1,500(事前決済、当日払い両方可)。

 

京都は、比較的予約がとりやすく、初参加の方も多く参加いただいていますよ。

興味持たれた方は、是非一度覗いてみてください!!

 

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そして、今回初開催となる、夕方の部(哲学カフェ)は、さらに日を改めて。

 

では、また!