<死ぬ前は美味しいものを食べて、楽しくいられたら>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。
◆この本は
この本は「ホスピス」が舞台となっており、主人公の「雫」さんがそこで過ごした、それほど長くない、幸福な日々の物語となっています。
そのホスピスの名は「ライオンの家」。 百獣の王ライオンのように、周りのことを気にせず好きなことを好きなだけできる場所であるという意味から付けられてるよう。
瀬戸内の自然豊かな島にあるリゾートホテルのようなところ(多分)で、雫さんは毎日素晴らしい景色を眺め、おいしい食べ物に囲まれ、ゆったりと過ごすことができましたのでしょう。
そこでは、毎週日曜日の午後3時に「おやつの時間」があり、ゲストが「最後にもう一度食べたいおやつ」リクエストできます。
その時に、そのおやつにまつわるエピソードの手紙が読み上げられ、これがほんと泣けます、、。
雫さんもまだ生きたいという本心との葛藤はまだ消えることはありません。
でもここはホスピスなので、時々ゲストの誰かが旅立っていきます。
仲間の穏やかな死に触れつつ、自分も明るくその時を迎えることができたら、と、徐々に受け入れられるようになっていくんですね。
◆感想
とても穏やかで心温まる物語です。そして文章の美しさから、瀬戸内の穏やかな海と緑が目に浮かんできます。
そして、何よりも食べ物が美味しそう!
毎朝でてくる「おかゆ」。読んでから、無性に食べたくなって作ってしまいました。
ホスピスでは食べることと寝ること(と、少し散歩)ぐらいしかないから、おのずと食べ物に対する集中力がアップしますよね。
死ぬ間際になって、初めて食べ物をしみじみ味わうことになるってのも、なんか自分にも当てはまるだろうなぁ。
確かに人は次々に亡くなっていきます。中には若くして不治の病になり死ななければならなった子もいたりして悲しいんです。
でも、ここのゲストは、みなその苦しみを乗り越えたように、穏やかに旅立って行くんですね。
「もうすぐ死ぬ」というその人生最大の苦しみを乗り越えられる瞬間というのがあるというのも、確かなようです。
以前読んだ「死ぬ瞬間~死とその過程について」
の中でも、末期の患者が最期を迎えるまでに、経ることの多いプロセスが紹介されていることを思い出しました。
「否認 → 怒り → 取り引き → 抑うつ → 受容 → 虚脱」です。
「ライオンの家」に入る前の雫さんにも、「否認」や「怒り」という時期がありました。その激しく、悲しいエピソードがあるからこど、ライオンの家での感謝の日々につながっているのだろうと思いました。
そして、いちばん素晴らしい表現だなぁと思ったのが、雫さんがもう動くことが出来なくなり、いくつもの夢(幻覚?)を見るようになるところ。
死を受け入れる瞬間というのは、ただ理性的というわけでもなく、体の衰弱からくるあきらめやおっくうさなんかも、セットなのかなぁと思ったりもしましたね。
あ、薬が効いているというのもありますね。
まぁ、あまりアカデミックに分析してもつまらないですし、
これ以上書くとネタバレにもなってしまうので、このへんにしておきます。
自分にも来る「その時」は、このような場所で迎えられたらいいな、という気持ちになりました!
では、また!