<子どもから、大人へ。>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地から発見された子どもの白骨死体。弁護士の法子は、遺体が自分の知る少女のものではないかと胸騒ぎをおぼえる。小学生の頃に参加した〈ミライの学校〉の夏合宿。そこには自主性を育てるために親と離れて共同生活を送る子どもたちがいて、学校ではうまくやれない法子も、合宿では「ずっと友達」と言ってくれる少女に出会えたのだった。もし、あの子が死んでいたのだとしたら……。
30年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と罪があふれだす。
圧巻の最終章に涙が込み上げる、辻村深月の新たなる代表作。
◆この本は
ボリューム:★★★★☆(厚め)
読みやすさ:★★★★☆(読みやすい)
切ない :★★★★☆(女の子の描写が。)
感動 :★★★★☆(ラスト、救われます)
「ミライの学校」の夏合宿に体験参加した主人公、ノリコ。。
ノリコにとってそれは子供心に瑞々しい思い出だったはずなのに、のちに知ることとなる「カルト団体」と呼ばれる側面。弁護士となった主人公が、白骨死体発見を機に、かつての団体に見たものは何だったのか?
◆内容紹介・感想
この本は、主人公である「ノリコ」が少女時代に経験した「ミライの学校」での「夏合宿」体験において、団体内部に属する少女「ミカ」との思い出を中心とした過去のパートと、
現在パートでは、大人になった法子(ノリコ)が団体内で発見された白骨死体についての謎を解くミステリーに変化していきます。
<「ミライの学校」と「問答」>
自分が印象に残った一番のポイントは、やはり「ミライの学校」においての「問答」ですね。
先生が子どもたちに問いかけ、子どもたちの話をよく聞く。自発的な言動を促し、よく考えさせる。
詰め込み型と違って、理想的な教育のように思いますが、「閉じられた空間」で行われているが故の問題もありますね。
どうしてもこれを読んでいるうちに、モチーフとなったであろう団体のことをイメージしてしまいますが、それはその団体について聞き知ったことをイメージに追加してしまうからで、純粋にこの物語の描写だけで想像するなら、そんな悪いところでもないような気がするんですが、。
でも、それが子ども目線に「楽しかった」と思わせる仕組みかもしれないし、、。それを狙って描いてあるとするならば、自分も同じように騙されているだけなのかもしれません。
<子供の頃と、大人になって>
辻村さんの他作品についてもそうなんですが、子ども、特に女の子の心情描写が細かくて、うまいなぁと思います。
「夏合宿」での、夜は誰の近くで寝るか、というような友達同士の微妙な牽制の投げ合いシーンなんかは、読みごたえがありますね。
子ども時代の主人公やその友達が、大人になってどう変化しているか、それもこの物語の面白さのひとつになります。
180度雰囲気が変わってしまった子、昔のまんまの子。団体に残る子。出ていった子。
読みながら主人公と一緒になって、だんだん団体の種明かしを聞いていくようで、なんだか騙されたような、複雑な気分になったのは私だけでしょうか?
繰り返しとなりますが、これが狙いだとしたら、やっぱりすごいですね。
感想は以上になります!
では、また!