主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「水中の哲学者たち」 永井玲衣 ②

<哲学は、永遠にボケ続ける世界に対するツッコミである>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、昨日に引き続きこの本の感想を書いていきたいと思います。

 

昨日の内容はこちら。

chikuwamonaka.hatenablog.com

 

 

◆昨日の内容と続き

昨日は、哲学対話の醍醐味の1つは、「なんで」と問うてみることで、「じぶんにぴったりと寄り添っている」ことを引き剥がすことで、新しいものの見方が生まれてくる、ということを書いてきました。

さらに、そこに他者の見方が加わることで、なお一層刺激的になるということです。

 

ということで、引き続き、印象に残った言葉を引用し、感想の続きを書いていきます。

 

 

哲学は、永遠にボケ続ける世界に対するツッコミなのである。「なんでやねん」は理由を問い、「どういうことだよ」は意味を問う。

 

この言葉は、この本で私の最も印象に残った言葉です。

 

哲学対話は、日常の身近な事柄に、あえて「問い」を立てることで新たな発見を得ようとする行為です。

そこに「ツッコミ」というパワーワードを当てはめたところが、私にとっては感動的ですらありました。

繰り返しになりますが、哲学対話において「なんで?」は王道の問いです。

ダウンタウン浜ちゃんの「なんでやねん。」です。日常あらゆる場面に「なんでやねん。」とツッコんでみることで、哲学対話が始まります。

 

宗教行事や年中行事なんかは、振る舞いのひとつひとつを冷静にみると、もう、「なんでやねん」のオンパレードです。恵方巻のまるかぶりとかね。目の前のそんなものに対して、「なんでやねん」と切り出せば、哲学対話がはじまります。

 

「なんでやねん」に次ぐツッコミワードは、「なんやねん」です。ブラックマヨネーズ小杉の「なんやねん」です。

「で」が一文字無いだけで、だいぶ違いますね。「なんでやねん」は理由を問いますが、「なんやねん」は存在そのものを問います。

「社会」って、なんやねん。「いのち」って、なんやねん。「プライド」って、なんやねん。はい、哲学対話のはじまりです。

 

そして、この本ではナイツ土屋と表現されている「どういうことだよ」です。関西弁ではないので、私はあまり使いませんが。

意味を問う、ということですね。どう使いましょうか。「働く」って、どういうことだよ。「信じる」って、どういうことだよ。「死ぬ」って、どういうことだよ。どうやら、動詞と相性が良さそうですね。

 

 

哲学対話は闘技場ではない。だからといって、共感の共同体でもない。弁証法は異なる意見を引き受けて、更に考えを刷新するものだ。中間をとるものでもない、妥協でもない。対立を、高次に向けて引き上げていくことだ。

 

これも大切なことです。哲学対話は各自の持論を闘わせどれが正しいかを決めるものではありません。だからといって、「みんなちがって、みんないい」でもありません。

哲学対話はむしろ、批判を歓迎します。批判が無いと、議論は深まっていかないからです。「これはこういうことかな?」とだれかが違う言葉で言い換えれば、「いやでも、こういう場合はどうかな?」という別意見が出てきます。

だからやっぱり、他者の意見が重要なのです。哲学対話では他者の意見を聴くこと、聴く姿勢がとりわけ重要となる理由です。

確かに、私も哲学カフェに参加して対話を繰り返していくうちに、自分の「しゃべりたい!わかってほしい!」をぐっとこらえて、他人の話を聴く、ということが鍛えられているように、最近思いますので。

 

 

質問:偉いとはどういうことか?

回答:どうしてこういうことが気になるのですか?

哲学とはこういうことなのだ、と痛感させられた。

 

このエピソードは、駒場祭で一般の方の質問に哲学者が答えるという企画において、哲学者の梶谷真司さんがこたえた、なんともパンクな回答でした。

しかしここに、哲学対話の真髄が詰まっているように思えてなりません。問いに対して専門家が答えらしいことを示すだけより、問いで返すほうが、そこから、より深めていけるように思います。

 

 

以上、いろいろと書いてきましたが、哲学対話というものを少しは理解いただけたのではないかと思いますし、興味を持っていただいた方は是非この本を手に取っていただきたいと思います。

 

この本では、中高生を対象にした哲学対話のエピソードもいくつか紹介されていて、子どもたちが発する言葉たちが、それは興味深いものなので、これも必読ですよ。

 

ついつい長くなってしまいましたが、そろそろ感想を終えたいと思います。ありがとうございました。

 

では、また!