みんなの日常哲学カフェ ~哲学カフェとか読書とか

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旧:ちくわのぴょんぴょん読書日記

「邂逅の森」 熊谷達也(ネタバレ:少)

<やっぱり人間は自然の一部だなぁ>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

 

内容<amazonより>

山の民「マタギ」に生まれた青年・松橋富治は、身分違いの恋が災いして秋田の山村を追われ、その波乱の人生がはじまる。何といっても圧倒されるのは、山のヌシ・巨大熊とマタギの壮絶な対決。そして抑えつけられた男女の交情の色濃さ。当時の狩猟文化はもちろんのこと、夜這い、遊郭、炭鉱、男色、不倫など、近代化しつつある大正年間の「裏日本史」としても楽しめる冒険時代小説です。長篇小説ならではの面白さに溢れた、第131回直木賞受賞作!

◆この本は

ボリューム:★★★★☆(そこそこ)

読みやすさ:★★★☆☆(難しいことはない)

臨場感  :★★★★☆(すごい)

新しい見聞:★★★★★(タイムスリップした)

 

大正から昭和にかけての東北、主人公・富治のマタギと鉱山をめぐる物語。冬山のクマやカモシカとの格闘シーン、描写がとにかく荘厳で美しく、身震いがしてきました。そんな男たちの仕事だけでなく、当時の文化風俗、強い女性の姿とかも読めて面白かったです!

 

◆内容紹介・感想

舞台は明治37年、主人公の富治14歳がマタギとして初めて山で獲物を追うところから、物語は始まります。

 

マタギの世界には様々な掟や言い伝えがありますね。

水垢離(みずごり)や女断ちなど、身を清める行動にも代表されますね。冬場の水、寒そう!

山の神を敬うことで、人間は地上の支配者などではなく、大いなる自然の中の一部に過ぎないことを感じさせられますね。

そして、クマやカモシカを追い込む描写の臨場感が凄いです!

当時のライフルは精度も低かったでしょうから、とにかく敵を引き付けないと、当たらない。

だから、追い込む班と、隠れて待つ班、当時のマタギはチームプレイだということがよくわかります。

それを、雪深い東北の山あいでやるんだから、すごいですね。そんな山にいて、死なないだけでもすごいことなのに。

 

マタギとして成長しつつあった時、主人公の富治はある事件から突然、マタギ仕事から追われ、炭鉱に入ることになりました。

同じ山でも未知の世界は、折からの世界大戦の影響から、盛況を極めて大忙しでした。

炭鉱の仕事は、こちらも徒弟制度が残っていて、チームプレイであることは同じなのですが、しかしマタギの世界と正反対の、資本や機械が支配する人工的な世界。

そして、毎日地中深く、暗闇に潜っていく仕事。

そんな閉鎖された世界で起こるいじめや事故、あるいは同性愛。

 

そこでまた、富治の人生を揺るがす大事件(大事故)が起こってしまうんです。

 

大正~昭和にかけて、時代を駆け抜けていく主人公の富治とともに、私もタイムスリップして、あまり知らなかったマタギや炭鉱の世界だけでなく、当時の文化・風俗をリアルに体験できました!

 

歴史小説というのとは少し違うかもしれませんが、これは読書でしか得られない体験ですね!

 

感想は以上になります!

 

では、また!