<人間はそれぐらいの存在でいいんじゃないか>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
あの頃、ぼくの頭の中は確かにアラスカのことでいっぱいでした。まるで熱病に浮かされたかのようにアラスカへ行くことしか考えていませんでした――。広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年、26歳でアラスカに初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々が続いた。その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や、開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせとなった生活。それらを静かでかつ味わい深い言葉で綴った。
「新しい旅」「春の知らせ」「オオカミ」「海流」「白夜」「トーテムポールを探して」「キスカ」「カリブーのスープ」「エスキモー・オリンピック」「夜間飛行」など、33編を収録。
◆この本は
ボリューム:★★☆☆☆(エッセイ集)
読みやすさ:★★★★★(とにかく楽しい)
雄大さ :★★★★★(とにかく大自然)
厳しさ :★★★★☆(厳しさと、優しさと)
エピソードごとに、場所、人、季節も様々ですが、ありのままの自然を愛し、周りの人々に慕われ、この人がいつも幸福そうだということがずっと伝わってきます!
頭でっかちの現代社会の中、こんな大自然の中にいくと、自分の身体を取り戻せそうですね。
星野道夫サイトの写真を見ながら、読むのがおすすめです!
ちなみにこの本は、オンライン哲学カフェを一緒にやっている、ひじき氏が推していたので気になっていたのですが、
↓
その数日後、この本を、会社の同僚が偶然読んでいたので、ロングセラーとはいえ流行ではない本が短期間に目の前に2度も現れるなんて、読めという啓示に違いないということで、積読本を横へ除けて読んだのでした。
◆内容紹介・感想
あらゆる情報の海の中で暮らす日本の子どもたちにとって、それはまったく逆の世界。しかし何もないかわりに、そこにはシーンとした宇宙の気配があった。氷河の上で過ごす夜の静けさ、風の冷たさ、星の輝き・・・情報が少ないということはある力を秘めている。それは人間に何かを想像する機会を与えてくれるからだ。
(「ルース大河」より)
それはね、私が東京であわただしく働いている時、その同じ瞬間、もしかするとアラスカの海でクジラが飛び上がっているかもしれない、それを知ったこと・・・
(「もうひとつの時間」より)
印象に残った2つのシーンです。
コンクリートや電子機器に囲まれ、照明や空調がコントロールされ、朝から晩までタイムスケジュールに追われている現代の私たちとは真逆の世界です。
そういうものを抜きにして、大自然の中に置かれてみると、人間ってちっぽけで、周りにいる動物と変わらないか、それに全然負けているやん、と、思い起こさせてくれるんですね。
いくら文明は進んだとしても、同時並行でこういう世界はあり続けている、それを知っただけでも救われます。
友人、ブッシュ・パイロットのドンの話。
もう何人もの知り合いのブッシュ・パイロットが死んでいた。彼らの多くは本当に腕のいいパイロットだった。しかしこの土地では腕の良さが事故を避けられるとは限らない。彼らは毎日のようにアラスカの自然の中で飛び続けているのである。
(「夜間飛行」より)
親友を失い、ドンはそれでも生きていくのですが、次は自分の番だといつも思ってフライトに出ていくのでした。
アラスカでは、死は自分たちが思っているよりもっと身近にあるようです。
星野道夫氏本人も、ヒグマの事故で早世しています。
それはとても悲しいことですが、天職に殉じたとも思え、星野氏にとって「それ込みのアラスカ」だったのだろうと、この本を読み終わった後なら思えます。
本を開けばすぐに、まったく別の世界へ飛ばしてくれる、読書の醍醐味というべき本でした。
以上で、「旅をする木」の記事を終わりたいと思います!
ありがとうございました。
では、また!