こんばんは。ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
「ブログを66日毎日書き続けると習慣化するのか」に挑戦中です。
今日は、表紙が印象的なこの作品です。
<現代版 カフカの『変身』>
内容紹介<Amazonより>
「今年読んだ本の中で、私のベスト3に入る1冊!」――宮部みゆき(帯コメントより抜粋)
話題騒然の傑作! 続々大重版!! 心を揺さぶる衝撃の家族小説。
「家族という病」に苦しむ、息子、娘、母、父、すべての人に届けたい。
ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い、人権の一切を適用外とすることを決めた。十代から二十代の若者、なかでも社会的に弱い立場の人たちばかりに発症する病が蔓延する日本で、異形の「虫」に変わり果てた息子を持つ一人の母親がいた。あなたの子どもが虫になったら。それでも子どもを愛せますか? メフィスト賞受賞作!
◆「引きこもり」の少年が、虫になったら
日本中で、引きこもりの少年少女を中心に突然異形の姿への変異例が続出します。
主人公・美晴の息子である、引きこもりの少年(優一)が、ある朝、とても気持ちの悪い「虫」に変身していました。
そんな中で母親の美晴は、揺れながらも虫になった息子を愛し続けますが、一方で父親は疎ましがり息子を捨てようとします。
孤立した美晴は思い悩みますが、同じ境遇の子供を持つ親の集まり「みずたまの会」に入会し、気の合うママ友と知り合います。
◆異形になった子が問題なのか?それとも家庭が問題なのか?
「みずたまの会」を通して、美晴はさまざまな変異の子やその親を見るにつれ、「変異した子供が問題なのではなく、親や家庭の問題もあるのではないか?」との思いに至ります。
「引きこもり」になる原因は何だったのか?
それを息子と真剣に向き合うことないまま、「どうしてうちの子は普通に進学・就職してくれないのだろう」とばかり嘆く。
引きこもってしまった子供の存在を恥ずかしく思う。
引きこもってしまってからは、更に会話も難しくなるのです。
◆「子供のため」は「自分のため」?
「どうしてうちの子は『普通』にできないのだろう」
嘆くばかりの美晴、厳格にしてきたがもうどうしようもないと子育てを放棄した父親。
優柔不断な息子に「子供のため」を想ってあれこれと決めて道を示してあげるばかりだった子育て。
美晴は息子が物言わぬ「異形」になって初めて、真剣に向き合うことができました。
息子は子供の頃、何を望んでいたのだろうか、小さい頃は存在しているだけで幸せだったのに、いつからこんなに色々なことを望むようになってしまったのだろうか、そんなことを考えるに至ります。
◆そして。
この物語は「現代版カフカの『変身』」らしい意外なエンディングを迎えます。
子育てに「正解」はない。
自分の子供という、唯一の存在に真剣に向き合い、ありのままを受け入れること、親ができることはじっと見守ること。
そんなことを、再認識させられる名作でした!
では、また!