ちくわのぴょんぴょん読書日記 ~読書・読書会・哲学カフェ

読書・読書会・哲学・哲学カフェが好きな人間のブログ

主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「無理の構造」 細谷功 ③アドバイスは意味がない?

<アドバイスの三重苦>

 

こんばんは。ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

新しい事、楽しい事は、何でも試して、失敗して、楽しんで。

 

一日置いて、三たびこれに戻ってきます。 

 

「無理」の構造――この世の理不尽さを可視化する

 

<内容紹介 amazonnより>

努力が報われず、抵抗が無駄に終わるのはなぜか。
本書では、「世の中」と「頭の中」の関係を解き明かし、
閉塞感や苛立ちの原因に迫ります。

 目指すは「思考のコペルニクス的転回」であり、
 「理不尽なのは〈世の中〉ではなく、私たちの〈頭の中〉である」が
 本書のキーメッセージです。

 

◆アドバイスの三重苦

今日は、普段から気を付けていなければならない、「アドバイス」に関する「非対称性」です。

 

アドバイスというものは、往々にして対象の相手に届きません。

むしろ「余計なお世話!」と逆に迷惑がられることもしばしば。

そして、良かれと思ってアドバイスした当人は、気を悪くします。

 

これが、「アドバイスの三重苦」であると筆者はいいます。

①相手にアドバイスが届かず状況が改善されない

②なおかつ相手が不快な気分なる

③それを見てさらに自分も不快な気分になる

 

 わかるわかる、とてもわかります!

 

◆「非対称性」から説明すると

これを、「非対称性」を用いて私なりに説明しますよ。

 

例えば、カリスマメイク術を持っている(先輩)と、自分は元々可愛くないと思ってちゃんとメイクもしたことない(後輩)がいるとします。

 

メイクでいくらでも美人は作れると「分かっている人(先輩)」と、どうせ自分は素材が良くないからどう頑張ったって美人になれないと思っている「分かっていない人(後輩)」という構図に分かれます。

 

彼氏が欲しいなあーとぼやいている後輩に対し、先輩は良かれと思って、「じゃあ、やっぱまずは、メイクだよ!!」と、あなたにオススメのファンデーションの色や、アイシャドウの角度や、境界線のぼかし方について説明します。そして、メイクで自分を固めることで自信が深まることを力説するのです。

 

でも、後輩はそもそもメイクで自分は美しくなれると思っていないし、加えて急にメイクなんかしたら皆に笑われてしまう、恥ずかしいとすら思うでしょう。

 

そして、変わろうとしない後輩に対し、「あいつは分かってないなあ」と歯がゆい思いをするのです。

 

そういう先輩はというと、中学生の時からメイクに興味があって家でお姉ちゃんとママの化粧品をこっそり試してみたり、高校生でやり過ぎてちょっと好きな男の子に引かれて泣いてみたり、大学生になってアルバイトをして高かった憧れのブランドを買ってみたり、社会人になってデパートでカウンセリングを受けて、自分の顔向き合っていいところをどう際立たせるか、欠点をどうカバーするか、そんなふうにメイクに関しては失敗も成功も経験し、それによって人前での自信がどう変わってくるか、まで経験して知っているのです。

 

真面目で素直な後輩は大好きだから、何とか自分に自信をつけてほしい。そういう気持ちがあったとしてもアドバイスは届きません。先輩は歯がゆい思いでいっぱいです。

 

「わかっている」先輩は「わかっていない」状態には戻れません。

いっぽう「わかっていない」後輩は「わかっている」状態が理解できないのです。

 

ここが「非対称性(不可逆性)」なのです。

 

◆「わかっていない」ことを「わかっている人」

ここで、もし、後輩がたまたま友達に連れられてデパートのカウンセリングに行ってメイクを教えてもらい、次の日に何人かの同僚に「きれいになったね!変わったね!」と言われ、「メイクをしたら美しくなれるんだ、私はこれを知らなかっただけだ。」と思うことが出来たら、その瞬間から後輩は「わかっていない」状態から抜け出せるかもしれません。

 

①「わかっていない」ことを「わかっていない」状態から、②「わかっていない」ことを「わかっている」状態に変わった瞬間です。

 

この①と②の違いは大きいです。

 

 ◆この差って何?

「やる気スイッチ」というCMがありましたが、まさにそんな感じですよね。

何かのきっかけで、やってみて、うまくいって、自信をつけ、またその自信が次のチャレンジに繋がる。こうなれば、もう放っておいても伸びていきます。

 

では、どうやったらやる気スイッチを押すことができるの?

それが難しい問題です。 

人材育成(コーチング)で良く出てくる課題でもありますよね。

 

自分ではなく、他人から変化球できっかけを得ることが多いような気がしますね。子供だったら親じゃなくて、友達や好きな子から影響を受けたり、それは塾の先生だったり。

 

自分はこの非対称性を理解し、「一方的なアドバイスは意味がない」ということを前提に相手に対する方法を考える、これだけでも大きく違ってくると思いますね。

 

◆自分に対する批判精神も忘れずに

人のことばかり書いてきましたが、この構図は、自分にも当てはまりますよ!

「今の若者は・・」と思った瞬間、そう、それです!

自分の範囲でしかものを見れていない自分が「わかっていない人」になっていませんか?

「老害」というやつです!

 

会議中のパソコンやスマホ、気になってません?あなたは知らないだけで仕事効率を飛躍的に高める凄いスキルかもしれないですよ!

 

 人に対して「わかっていない」と思うだけでなく、それを理解しようと努められる人は、多分自分に対しても、「自分がわかっていないだけ?」と思いなおすことが出来るはずです!

 

精進しましょう!

 

長くなってしまいましたが、まだ続きはあると思います!

 

では、また!