<まさに名作と言える。>
私ちくわは関西を中心に活動している読書会、「彩ふ読書会」に、
18年5月からサポーターとして活動しています。
18年12月より始まった京都開催のサポーターリーダーとして、日々お手伝いさせていただいています。
彩ふ読書会の目的は「本が好きな方の居場所作り」です。
「家庭でもない、職場でもない、第三の場所」をコンセプトに、色んな価値観を持った方々が集まり、意見を交換し合うこと、また空間を共有しあうことで新しく生まれる何かを楽しもう、という集まりです。
ジャンルは問いません、いい意味でバラけていて、「何でもアリ」なので、男女問わず、また若い方から年配の方まで、気軽にアットホームな雰囲気で、リピーターさんも多数いらっしゃいます。
また、「皆で作っていく読書会」というのも魅力です。私のようなサポーターだけでなく、リピーター参加者の方に進行役や会場セッティングを手伝ってもらいながら、運営しています。
2/16(日)は京都開催でした。
午前の部:推し本読書会
午後の部:課題本読書会「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ
夕方の部:大人の学童保育(ヒミツキチ)T7.5
今日は昨日に引き続き、午後の部のレポートを書いていきたいと思います。
午前の部のレポートはこちら。
それでは、午後の部のレポートです。
本日参加は24名。男性15名、女性9名。
初参加の方は5名いらっしゃいました。
今回はテーブルを3つに分けました。
開始時刻の13:40になりますと、司会者より挨拶・案内があります。
その後各テーブルの進行役にバトンタッチし、読書会がスタートです。
最初に順番に簡単な自己紹介をおこないます。
そして、いよいよ課題本読書会のスタートです。
この日の課題本は、カズオ・イシグロさんの「わたしを離さないで」です。
<内容紹介 amazonより>
自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――英米で絶賛の嵐を巻き起こし、代表作『日の名残り』を凌駕する評されたイシグロ文学の最高到達点
課題本読書会では読んできた課題本の感想を自由に話し合う場です。
まず、順番に大まかな感想を言っていきます。
その後、気になったトピックについて思い思いに話し合っていく感じになりました。
その中で、どんな話題が出たか、ご紹介させていただきます。
※以下にはネタバレも含みますのでご注意ください。
この作品は、謎が解けていくところが重要な楽しみの要素になっていますので、これから読みたい方は注意ください。
私は、Aテーブルに入らせていただきました。
Aテーブルの参加者は8名。
内容について触れるとともに私の感想を述べさせていただきたいと思います。
◆作品について
この作品は一応、恋愛小説でありながら、「ヘールシャム」という将来臓器移植をするためにクローンとして生まれ、育てられた子供たちの学校という特殊な設定になっています。
そのため、登場人物について語り合うだけでなく自然と臓器移植やクローン人間に対しての個々人の考え方についても話し合われました。
◆恋愛ドラマとして
主人公のキャシーと、同級生のルースとトミーは三角関係となります。
キャシーとトミーは小さい頃からずっとお互い惹かれあっていたのですが、それをルースが略奪する=ルースは嫌なやつ、という構図なのですが、ふとキャシー&トミー/ルースの2対1になる場面に、ほっとする気持ちにもなるのです。
しかし、三角関係ゆえの駆け引きや裏切り行為が繰り返されるにもかかわらず、この三人はずっとつながり続け、最後は散り散りになっても、心ではずっとお互いのことを考えています。
このような心境について話題に上がりましたが、やはり、避けられない運命を共有する同志という心境があったからなのでしょうか。
◆提供する当事者とそれに対峙する先生、はたまた提供を受ける外側の人
ヘールシャムの子供に対する先生達の接し方についても話し合われました。
校長のエミリ先生と、意見の対立から途中で辞めさせられるルーシー先生について、どこまで子供に踏み込んで真実を話すべきなのか。
それは、将来の運命は同じとしても、子どもの頃だけははのびのびと過ごしてほしいと考えるか、そんなことは考えなくてもいい、といってしまうのか。
例えは悪いかもしれないですが、私たちが普段食べている肉、その動物を育てたのち肉として処理される過程を見ないようにしているのであって、当事者になってみると動物たちに対する気持ちは全然違うだろうと思うからです。
この物語では「ヘールシャム以外の施設」という表現も出てきますが、敢えてもっと人権のない環境におかれている子供たちを読者に想像させることで、ヘールシャムをどうとらえるかの意見が広がっていくので、良くできていると思いました。
◆運命を受け入れて生きていく
主人公の3人はじめ、提供者の子供たちは自分たちの運命に恐れながらもある程度受け入れている、というスタンスを取り続けていることについても、話しが及びました。
一種の諦念というか、達観したような気持ちで「早く役割を終えたい」と言う提供者たち。
戦時中の「いずれは自分も戦場に行って死ぬんだから」、っていうような若者の例えを思い浮かべたのですが、似ているでしょうか。
提供を受けて生き長らえる者も、遠からず死ぬ運命にあります。そういった大きな運命のもとでは、ちっぽけな人間的な発想であるともいえます。
◆終わりです。
あっと言う間に1時間あまりが過ぎ、、
15時になったら、各テーブルの代表者がそれぞれのテーブルで出てきたトピックを共有し合う全体発表の時間となります。
ここでいったん終了となりますが、しばらく残っておしゃべりをしていく方もたくさんいらっしゃいます、この和やかな時間が私は大好きです。
今回は話題が尽きない作品であり、もっともっと話したいことがあったのか終了後もしばらく話が続いているテーブルもありました。
次回の開催なんですが、新型肺炎ウィルスの影響で、しばらく見合わせが決まりました。
再開が決まり次第、HPで案内があるようです。
ありがとうございました。
このあと、夕方の部として「映画鑑賞会」を実施しました。その模様はおまけとして日を改めて書かせていただきます。
では、また!