<衝撃のエッセイ集。村田さんの脳世界まる見え!>
こんばんは。ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
新しい事、楽しい事は、何でも試して、失敗して、楽しんで。
今日は、2018年一番好きになった作家さんです。
「コンビニ人間」、文庫化されましたね~。
◆「うん、だいたい右側を応援している。」
ある人が、「村田さんって、スポーツとか観るの?」という質問をした時、村田さんがこう答えました。
誰でも、「はい??」ってなりますよね。
で、理由を聞いてみると、
「子供の頃お兄ちゃんがスーパーマリオとか、グラディウスとかやってて、主人公は左側で、敵はいつも右からやってくる。みんな左側を応援するから、私くらい右側を応援してもいいかなって。だって右の人もいろいろ事情があるかもしれないし。」
この回答、ツッコミどころが複数ありますよね。
でも、これぞ村田さんだと思います。
若い世代の方はいざ知らず、ファミコン世代の人間は、左から右へスクロールし、敵は右から来るのはは「標準」なのです。
(ちなみに上下に分かれているときは上を応援するそうです。分かりますよね!)
「標準」に「右にならえ」することに、違和感を覚えるんですよね。
◆「電車で窓の外に人を走らせているじゃん。」
これもけっこう衝撃です。
「電車やバスに乗っていて、窓の外を流れる景色に併せて、イメージで人を走らせている人、いるよね。」
これは「走らせない人」には、さっぱり理解できません。
そもそも「走らせる」の意味が分からない。
でも、「走らせている人」は一定数います。
何を隠そう、私も「走らせた」ことあります。私は「忍者ハットリくん」でした。
流れる家々の上をピョンピョン跳ねて、時には消えて、どこまでも付いてくるんです。
そして、このエッセイでは、それと同じ経験をする人がそれを言い出して、さらに同調する何人かを発見して喜ぶ、という内容なのですが。
私も村田さんの脳世界を少し覗けた気がして嬉しかったです。
◆「こそそめスープ」
これは、村田さんが昔「コンソメスープ」を「こそそめスープ」と間違えて読んで以来、そう思い込んでいて、他の皆が「こんそめスープ」と呼ぶのが、パチモンだ、と思っていたという話です。
そして、「こそそめスープ」こそが本物で、世の中でほとんどお目にかかれないんだ、と信じていました。(説明がうまくできずにすみません)
自分がそう思い込んでしまっていると、他人に忠告されてもにわかに信じることができない、という人間心理が働いていると思います。
村田さんの脳世界には、こういった不思議な小部屋がたくさんあるんだと思います。
それが大人になるにつれ、自分を少し上のほうから見られたことで、その小部屋を客観視することが出来るようになったのかなと考えます。
だからこれほど(いい意味で)普通じゃない物語を書いて私を喜ばせてくれるのかな、と思ったりもしました。
◆そして、名作たちが生まれる
このエッセイ集、70ぐらいのエピソードが集められていて、その中に、これが「コンビニ人間」の素だ、これが「消滅世界」の素だ、といった具合に分かるものがあり、ほんとうに彼女の脳世界を覗くことが出来ます。
ファンの方は必読ですよ!
では、また!