<「冷凍睡眠」から覚めたのはこの本でした。>
私ちくわは関西を中心に活動している読書会、「彩ふ読書会」に、
18年5月からサポーターとして活動しています。
18年12月より始まった京都開催のサポーターリーダーとして、日々お手伝いさせていただいています。
彩ふ読書会の目的は「本が好きな方の居場所作り」です。
「家庭でもない、職場でもない、第三の場所」をコンセプトに、色んな価値観を持った方々が集まり、意見を交換し合うこと、また空間を共有しあうことで新しく生まれる何かを楽しもう、という集まりです。
ジャンルは問いません、いい意味でバラけていて、「何でもアリ」なので、男女問わず、また若い方から年配の方まで、気軽にアットホームな雰囲気で、リピーターさんも多数いらっしゃいます。
また、「皆で作っていく読書会」というのも魅力です。私のようなサポーターだけでなく、リピーター参加者の方に進行役や会場セッティングを手伝ってもらいながら、運営しています。
8/18(日)は第9回京都開催でした。
午前の部:推し本読書会
午後の部:課題本読書会 「夏への扉(ロバート・A・ハインライン)」
夕方の部:「ヒミツキチオブサクラカフェ改め大人の学童保育(「夏への扉」上映会)」
今回も「SAKURA CAFE」さんで行われました。いつもありがとうございます!
それでは、午後の部のレポートです。
本日参加は17名。男性7名、女性10名。
初参加の方は2名いらっしゃいました。
テーブルを3つに分けて、スタートしました。
今回の課題本は、 先日のブログでも少し触れましたが、こちら。
「夏への扉」ロバート・A・ハインライン
ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。最愛の恋人に裏切られ、生命から二番目に大切な発明までだましとられたぼくの心は、12月の空同様に凍てついていたのだ。そんな時、「冷凍睡眠保険」のネオンサインにひきよせられて…永遠の名作。
私が受付を担当し、開始時刻の13:40になりますと、司会者より挨拶・案内があります。
その後各テーブルの進行役にバトンタッチし、読書会がスタートです。
私は、Aテーブルに入りました。
テーブルの進行役は、この本を推薦していただいたサポーターの方です。
参加者は6名。最初に簡単な自己紹介をおこないます。
学生さんから、私より年上の男性まで、また本の趣味も様々で面白いメンバーとなっていました。
その後順番に、軽く感想を述べてもらいます。
その後、気になる箇所について、各々が意見を出し合います。
出てきた代表的な感想を列記していきますね。
※ネタバレを多分に含みますので、本書を読みたい方はご注意ください。
◆やっぱりハッピーエンドがいい
1900年代中盤のSF小説には「ディストピア」ものも多く、このような読後感爽やかな青春小説には、ほっとさせられました。
◆テーマは「信じる」こと
仲間に見事に裏切られ、散々な目に遭ってきた主人公ダンでしたが、最後は信じることによって救われるのです。
自分が去る前に、財産であるアイデア全てを託したジョンという人物に対して。
最愛のリッキー。彼女はずっと信じて待っていてくれた。
◆ダンが2人いるのでは問題
タイムトラベルものでは、必ず気になってくるタイムパラドックス問題。
同じ時間に主人公ダンが2人いることになる場面が2度あります。
主人公ダンは時間旅行を都合3度することになるのですが、理解しようとすると非常にややこしいなあとなるのですー。
◆1957年に書かれた小説の舞台が1970年で、タイムトラベル先が2000年、読んでいる私は2019年
ここがまたこの小説の面白さでもあります。
主人公は1970年の段階で「お掃除ロボ」を発明し大ヒット。
そして、現実逃避の手段として、「冷凍睡眠」を使います。
そして、目が覚めた2000年では、自動的にフィットする服や、自分が滑走できる道路、歯磨きをしない技術など、未来の世界が描かれています。
当然現在に読むことができる我々はその答え合わせができてしまいます。
はい、多くは叶っていません。
でも、人口が増えすぎてみんな困っていて、過剰生産でモノが大量に廃棄されているスクラップ場で主人公が働くことになるなど、メッチャリアルではありませんか?
ここで参加者から出てきた本日の名言を冒頭に書かせていただきました。
「当時のままのこの本こそが、冷凍睡眠から覚めてきたのでは?」
◆「夏への扉」のタイトルについて
このタイトルについては、冒頭と最後に象徴的にしか触れられていません。
ストーリーに扉が出てくるわけではないのです。
これも、参加者からでてきた意見ですが、
「たくさんある扉のどれかが、夏へと繋がっている。だからあきらめず前向きに、トライし続けるのだ」と。
冒頭を改めて読み返すと、ああ、おそらくそうなんだなあ、と思います。
この後の演劇上映会でも、扉が象徴的に使われていて、いっそうその思いが強くなりました。
◆翻訳の面白さ、旧訳版と新訳版の違い
こんな面白さを教えてくれたのも今日の会の参加者からでした。
冒頭の写真のハヤカワ文庫が旧訳の福島正実版です。
参加者いわく福島正実氏はSF翻訳界では伝説の大家だそうで、氏の名前を冠したSF賞も存在するとか。
あて語も面白く、「お掃除ロボ(ハイアード・ガール)」は福島訳では「文化女中器」と訳されています。私はそれを見た時、かなりの衝撃を受けました!
「女中」って言葉も古いけど、「文化」もたいがいですねー。「文化包丁」とか「文化住宅」とか、ひと昔前は、近代的(ハイカラ?)なイメージに「文化」を用いていたのでしょうねー。っていう関係ない盛り上がりを見せたりして。
猫のピートは福島訳では「護民官ピート」、新訳では「審判者」となります。
(新訳版はこっちです)
◆最後に、猫のピート
「猫好きにはたまらない」という紹介文があるのですが、そこまで猫が前面に出てきているわけでもない。という意見が複数ありました。
でも、別の方からは、「いや、こう見えていつも主人公を導いているんじゃないですか?」との意見も。
夕方の演劇DVD(劇団キャラメルボックス)鑑賞会では、このピートがなんと!!
これ以上は今日は書けません、、。
夕方の鑑賞会の模様は日を改めて。
1時間少々が経過し、最後に各テーブルの代表が自分のテーブルで出てきた意見をまとめて共有する時間となりました。
全体発表の後、しばしのフリートークタイムとなります。アフタートークも盛り上がりましたよー。
次回の京都開催は9/15(日)となります。
お申し込みは、HPのフォームから予約できます。
料金は¥1,500(当日払い)。
課題本はスウィフトの「ガリバー旅行記」。
是非ご参加ください!!ご予約はHPから。
最後に、同じく京都でサポーターをされている「ひじきさん」のブログでも随時レポートしていますので(しかも私のより2.5倍おもしろいです)是非ご覧くださいませ!
では、また!