主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ (ネタバレ度:中)

<こんな親子って、素敵です>

 

こんばんは。ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

新しい事、楽しい事は、何でも試して、失敗して、楽しんで。

 

今日は、

Yahoo!ニュース|本屋大賞2019 ノンフィクション本大賞受賞!

おめでとうございます、の本です。

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

 

 <内容紹介 amazon より>

大人の凝り固まった常識を、
子どもたちは軽く飛び越えていく。
世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、
落涙必至の等身大ノンフィクション。

優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜの
イカした「元・底辺中学校」だった。
ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。
人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。
時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。
世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子と
パンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。

連載中から熱狂的な感想が飛び交った、私的で普遍的な「親子の成長物語」。

 

この本は、イギリスで暮らす日本生まれの母親(著者)とイギリスで生まれた息子の日常を記したものです。

 

沢山のエピソードとともに、差別や貧困、多様性などをこの親子と一緒になって考えることができる、とても有意義な読書になりました。

 

ここでは、一部ですが印象に残ったワードとともに感想を述べたいと思います。

 

◆「YOUは何しに日本へ?」「YOUは何しに日本へ?」

著者が道端でいきなり汚い言葉を浴びせかけられたり、息子の友達が発する言葉にうんざりしたりと、差別に対するシーンが多く登場します。

 

差別発言というと、スポーツの場で選手や観客が挑発的に行って問題になるシーンが時折報道されますが、それも日本じゃない国で起こっていることが殆どのように思います。

 

しかし我々も意識していないだけで、しかもそれを差別的発言だと思わずに言っている事も多いのではないでしょうか。

 

ジェンダー問題にしてもそうですよね。よっぽど気を付けていないと、日本に40年も暮らしていると、それが骨身に染みていて、無意識に出てしまうこともあるのだろうと思います。

 

冒頭の言葉は、母親が息子と福岡の家に里帰りした際に、居酒屋の酔っぱらいに絡まれたときに浴びせかけられた言葉だったのです。

 

最後のこの言葉がずっと離れないです。

PM2.5が飛んでいることより、日本経済が中国に抜かれることより、自分が生まれた国の人が言った言葉を息子に訳してあげられないことのほうが、わたしにはよっぽど悲しかった。

 

◆「エンパシー」とは何か?

日本で言うと中学1年にあたる息子が受けている「シティズンシップ・エデュケーション(公民のようなもの)」という授業。

見出しはその公民テストの一問です。

 

父親が、「そんなのわかんねぇよ、おまえは何と答えたんだい?」と訊くと、息子は、「『自分で誰かの靴を履いてみること』と答えた。」という。

 

その後の会話は割愛しますが、

解説として 、「エンパシー」と「シンパシー」の違いが書かれていて、

・シンパシー:自分と似た境遇や意見を持った人に対して抱く感情

・エンパシー:自分と違う理念や信念を持つ人や違う立場の人が何を考えているのだろうと想像する力

つまり、シンパシーは「同情」のような感情であり、エンパシーは「能力」なのである

 

と。

 

こんな会話を親子の間でしているのって、なんか素敵だなあと思います。

自分が子供に聞かれても、こうは答えられないし、子どもがそんなことを聞いてくるようになるんか?も疑問ですよね。

 

また、別のパートで、親子で路上生活者の支援施設の手伝いをしてちょっと怖い思いをする場面があるのですが、自分がこういうことをしているところが全然想像できませんでした。

自分の中の世界(常識)って、まだまだ狭いなあって思いましたね。

 

◆「時間をかけて決めればいいよ。焦って決める必要ないよ。」

「でね、僕とティムはたぶん自分はヘテロ(異性愛者)だと思うって言ったら、ダニエルはもう、自分はヘテロ以外ありえないとかムキになってたんだけど、オリバーは自分はまだわからない(クエスチョニング)って言ったんだ」

で、「ヘテロ以外あり得ない」って言ってたダニエルがこのオリバーの発言にショックを受け、小見出しのような発言をするのです。

 

このダニエルという子は、差別発言も多かったのですが根は素直な子で、少しずつ成長していくさまを、温かい目で見守りたくなってしまいます。

 

しかし、中1でそんな会話をしているとは驚きです。私はLGBTQの「Q」というのがあることも知りませんでした。

 

自分が子供の頃にはすでに「ホモ」「レズ」などという言葉はありましたが、それはどこか変態でありからかわれるものとしてとらえていたように思います。

 

それからひと世代を経て、そんな考えを固定する前にきちんと検討できる子供たちがいるって、素晴らしいことだと思います。

一言で言っては元も子もないですが、時代って、すごいなと思います。

 

◆是非読んでみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

一部しか紹介しませんでしたが、本書には全部で16のエピソードがあり、どれもこれもウーンと唸るようなテーマがあって、それを筆者の持ち前の明るさと文調で楽しく読んで学べるように書かれています。

 

読んで一緒に考えましょう。

 

では、また!