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「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」  (ネタバレ度:小)

<最近、大泉洋ばっかりですね>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

新しい事、楽しい事は、何でも試して、失敗して、楽しんで。

 

今日は、この本。

[渡辺 一史・原案]のこんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 (文春文庫)

 

内容<amazonより>

鹿野靖明、34歳。筋ジストロフィー患者で、一人では寝返りも打てない。だけど、自由に生きたい!自ら集めたボランティアに支えられての自宅暮らしはわがまま放題。バナナが食べたくなったら、たとえ真夜中でも我慢しない。病院で、ただ生きているだけなんて、意味がない。そのわがままは命がけだった。実話から生まれた映画のノベライズ。

この本は、まずノンフィクションライター渡辺一史さん原作のノンフィクション「こんな夜更けにバナナかよ」が基にあって、それを映画化するにあたり、橋本裕志さんが脚本を書かれました。

そして、この本は、その映画のシナリオから、前川奈緒さんがノベライズしたということで、いわば3人の合作ともいえる作品となっています。

私は、原作も読んでいないし、映画も観ておらず、いきなりこの小説から入ってしまいます。

 

主な登場人物は、カバー写真にもあるように、大泉洋さん演じる筋ジストロフィー患者の鹿野さんと、それを支えるボランティアの皆さん。

 

「こんな夜更けにバナナかよ」というタイトルは、初めて来た美咲さんに向かって、深夜にバナナを買いに行かせる、という象徴的なシーンなのですが、この「深夜にバナナを買いに行かせる」という、まあ、鹿野さんのわがままが、果たして許されないほどわがままなのか?ということがひとつのテーマとして描かれています。

 

特に筋ジストロフィーの方は、手足のほとんどを動かすことができません。できないことを、人に頼むのはわがままではありません。それは、身長の低い方が高い所にあるものを誰かに取ってもらうように、当たり前のことなんですが、頼む方に申し訳なさが、頼まれる方には憐憫や「やってあげる」という感情が生じてしまいます。しかしこれも障がいのあるなし関係なく人として当然なことでしょう。

そうやって、どうしても、一般的な患者・介護者という役割を演じてしまうことになってしまいます。

しかし、鹿野さんはこの「演じてしまう」枠を取っ払ってしまおうとするのです。

 

まぁ、深夜にバナナを買いに行ってもらって、食べて、「おいしかった、もう1本買って来て!」っていうのは怒っていいわがままなんですけどね(笑)

 

こうやって考えると、ここで描かれている鹿野さんのわがままは、そこまで言うかっていうようなわがままもあるんですが、キャラクターのひとつなんでしょうね。

 

障がいのあるなしに関係なく、わがままな人はいくらでもいるし、わがままでも、すごく優しくて正直で頼りがいがある、というように、わがままだけを切り取るのではなくて、だいたいほかの要素も総合的に見て好き嫌いを決めているものだから、鹿野さんは付き合ってみてわかる、わがままだけど、どうしても好きになってしまうキャラクターなんだと思います。

 

そして、「自立」というテーマについても考えさせられます。「自立」というと、自分でお金を稼いで、自分の身の回りの世話は自分でする、っていう意味に普通はとらえるんですが、ここでは、「自分ですることは自分で決めたい」っていう捉え方をします。

 

なるほどと思いました。

 

障がいがあるので、自分の身の回りのことをするには限界があります。でも、それを病院や施設で、ただ決められた生活をするんじゃなくて、もっと自分がしたいことをするために、積極的に人の手を借りながら(自分でボランティアを集めて)、自宅で生活をする、そんな暮らしは、やっぱり「自立」といえるのでしょう。

 

実際に自立生活を始められたのは30年以上前のことなので、現在のようにバリアフリーなど理解が進んでいない中、このように暮らしておられたことは単純にすごいと思いましたね。

 

まあ、あんまり難しいことを考えないでも、笑いあり涙あり、ドラマとしてとても楽しい小説になっていますので、是非読んでみてください!

 

では、また!