主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「昭和16年夏の敗戦 新版」 猪瀬直樹

<若手のエリートたちが下した結論とは?>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

 

内容<amazonより>

「日本必敗」―これが日米開戦前夜、総力戦研究所の若きエリートからなる模擬内閣が出した結論だった。にもかかわらず、日本が開戦へと突き進んだのはなぜか。客観的な分析を無視し、無謀な戦争へと突入したプロセスを克明に描き、日本的組織の構造的欠陥を衝く。“巻末対談”石破茂×猪瀬直樹。

この本は、初版本が1983年に刊行されています。実に今から37年前!

ノンフィクション作家として活躍される初期の頃です。

私が知っているような政治家になられるのは、もっともっと後のことですね。

 

この本の存在は、読書会のメンバーから紹介されたのですが、なかなか素晴らしい本に出会うこととなりました!

 

昭和16年といえば、12月、太平洋戦争が始まった年。

その夏、秘密裏に進められていた「総力戦研究所」というグループの存在について明らかにするとともに、同時並行で開戦へと進んでいく政治の裏側の動きについて、克明に記しています。

 

◆「総力戦研究所」とは?

初めて聞いた「総力戦研究所」という存在。

 

まず「総力戦」という言葉ですが、これは、戦争は武力だけでなく、政治・経済・思想など、国のあらゆる要素を考慮して戦略をたてていくものである、という当時にしては新しい考えとなります。

 

そのうえで、「総力戦研究所」とは、次世代の日本を背負って立つ30代前半までの若きエリートを選抜し、各自持ち寄った知識を総動員し来たるべく戦争についての研究をするとともに、やがて国の指導的立場となる人材を育成していこうという発想から設立されました。

 

この人材は各省庁から、陸海軍、また実業界から総勢30数名の若者が19年4月に集結し、なんだかよくわからないままスタートするのです。

 

そこでメンバーたちは演習として「模擬内閣」を作り、各人が各省庁のトップを演じて戦争に向かった場合の分析とシミュレーションを始めるのでした。

 

また同時に、満州はじめアジアの国を訪問したり港に行って軍艦に乗ったりと、実地研修も実施されたりしました。

 

その演習の結果は、8月に実際の近衛首相、東條英機(当時陸相)らの前でレポート発表されたのです。

 

そこで出された結論は、「日本必敗」。

石油資源の枯渇とソ連の参戦可能性により、長くは持たないという、これから起こる日本の末路を正確に予測したものでした。

 

◆この研究所と研修のユニークだったところ

「日本必敗」という結論に至るまでの道のりは、かなりユニークなものです。

所員(講師。研究所のスタッフ)たちが、<統監部>となって、実際の大本営を模したように<模擬内閣>に干渉し、次々と演習指示を出してくるのです。

 

<模擬内閣>が開戦反対の決議をしても、<統監部>はしびれを切らして南方に軍を進めてしまったりするんですね。

この辺が実際に政府が大本営をコントロールできなかった憲法制度上の表していたんですね。この辺の歴史背景に無学な私にとっても、非常に勉強になりました。

 

また実際の官庁職員が集まったこと事で、関係者にしか知りえないような生々しいデータを持ち寄れ、正確なシミュレーションができた、というのもユニークな点ですね。

 

例えば、南方油田を確保したとして、そこから輸送するタンカーのキャパと、敵に攻撃された際どれぐらい損耗し、どこまで持つかについて、実際輸送タンカーが壊滅した結果と照合しても驚くほど正確に予測しているんですね。

 

また、農業・鉱工業生産力や、外国の動向予測など、あらゆる面から分析され、そのいずれもが「開戦しても勝てない」と予測されていきます。

 

◆敗戦濃厚の予測のなか、何故開戦に踏み切ったのか?

では、何故そのような事実が明らかになりつつも、開戦に踏み切ることになったのでしょうか?

その感想を述べるためには、16年夏から開戦までの実際の政治がどう動いたのかについて知る必要があります。

その「政治の表側・裏側」についても、猪瀬氏は並行して詳細に記しています。すごいです。

 

もうちょっと書いていきたいですが、時間となりましたので、続きは後日にしたいと思います。

 

では、また!