主に読書メモ・読書会・哲学カフェについて書いています。

「自分を傷つけずにはいられない~自傷から回復するためのヒント」 松本俊彦

<自傷は本来「アピール」ではない。>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。  

 

内容<amazonより>

長年、自傷の問題に関わってきた著者が、「自傷行為の当事者に向けて、これまで診察室で伝えてきた、あるいは伝えたいと思った事柄」をやさしく語った本。前半では自傷についての考え方、後半では実践編として、どうしたら、回復することができるのか(自分の行為の観察、衝動のコントロール、生活習慣について、精神科にかかるときのアドバイスなど)を具体的に説明。これまでになかった回復の手引き。

本書は、長年、自傷の問題に関わってきた著者が、「自傷行為の当事者に向けて、これまで診察室で伝えてきた、あるいは伝えたいと思った事柄」をやさしく語った本です。自傷行為を誰にも打ち明けられずにひとり悩んでいる人、援助を求めたことはあるけれどもかえって傷つく結果になってしまった、という人に向けて、書かれました。

内容は、「自分を知るため」の前半と、「自傷から回復するため」の後半に分かれており、すぐに役立ててもらえるように、具体的に語っていきます。特に後半では、毎日の生活習慣、衝動におそわれたときのコントロール、精神科にかかる場合のアドバイス、援助してくれる人との関わり方までを、丁寧にわかりやすく説明しています。

◆この本は

 

紹介文にあるように、この本は、自傷行為について多くの人が理解してほしいことをまとめた本であり、自傷行為をしてしまう人が読んだとき、自分を理解し自傷行為から抜け出すためのヒントが書かれています。

専門家が書いたといっても難しい言葉はほとんど使われておらず、読者に語り掛けるように、筆者の「理解してほしい」という強い思いがとても伝わってきます。

 

ボリューム:★★★☆☆

読みやすさ:★★★★★

勉強になる:★★★★☆

自分に活かす:★★★☆☆

 

◆内容と感想

・自傷行為とは、自殺との違いは

自傷行為は、自分を傷つける行為ということで自殺と混同されがちですが、その目的は少し異なります。

自殺とは文字通り困難や苦痛から抜け出す最終出口として自分を終わらせる行為であるいっぽうで、自傷は「生きるために」行う行為であると筆者は言います。じっさいそれを行うことで、死ぬということがない方法を用いています。

 

「自傷している人が弱くてダメな人間だとか、人騒がせな『かまってちゃん』だとか、そんな風には思わない、それどころか、すごく自分に厳しく根性のある存在だと思う」

 という筆者のメッセージが示すように、自傷は「つらい感情を和らげるため」、人に言えない鬱屈した思いから一時的に解放される効果があるといいます。

だから、自傷はひとりで、人に見えない部分を切るもので、人にアピールするため、という目的は本来の目的ではなくあくまで二次的効果であるようです。

 

・狭義の自傷行為、広義の自傷行為

自傷行為とはカッターで腕を切るというのが真っ先にイメージするものですが、そのほかに壁を殴る、タバコを手の甲に押し付けるなども自傷行為です。

そして広義の自傷行為としては、薬物乱用やアルコール依存、摂食障害なども、自分を長期的に痛めつけることがわかっていながらやめられない、という意味ではそういえるようです。

 

確かに、目の前の困難な感情を逃れるためにアルコールを飲む、→和らぐという経験を繰り返すと、その感情と行為が結びついてしまい、なかなか引きはがしにくくなるという点では、自傷行為と似ているといわれると納得できます。

 

・自傷はいけないと叱責・説教してはいけない理由

自傷する人に対し最もしてはいけないことは「自傷はいけない」と叱責することだといいます。その理由としては、これまで書かれていたように、自傷の理由が自分の気持ちを人に伝えられず、助けを求められず一人で抱えてしまった結果の、自衛手段であるからです。

 

目の前の他人が、自傷に至った背景や理由を聞くことなく「自傷はいけない」と頭ごなしに言うと、それが逆効果でますますひどくなってしまう恐れもあることは想像に難くありません。

これは、自分に自己肯定感が低下している時、お説教がまったく逆効果であるのと同じで、そんなときは自分の話を少しでも聞いてもらうことができたらずいぶん気が収まるものです。 

 

・自傷は否定してはいけない、でもどうして危険かは知っておくべき

自傷は自衛手段として有効であるいっぽうで、危険な行為であり結果命を落とすこともあるということは知っておかないといけません。

それは自傷が薬物のような鎮静作用があるとするなら想像できるように、効果は限定的なもので、それはエスカレートするということです。

 

最初は袖で隠れるところをちょっと切っていたものが、露出するところまで切ってしまうとか、人前でも我慢できずに切ってしまうとか、そういう風にエスカレートしてしまったり、もっと危険なのはアルコールや薬物とセットになってしまうと、切りすぎて死に至ってしまうことがあるということです。

 

・自分が当事者になったとき

自分は思い出すと高校生ぐらいの時に、手の甲を試しにカッターで切ってみたり、壁を殴ったりしてみたことはありました。あれは鬱屈した感情があったからなのでしょうか?今思うとそうだったのかもしれません(思春期というやつですかね、、)

※調査では10人に1人ぐらいの割合で1度は「切った」経験があるとわかったそうです、結構な数ですよね。

 

半袖になる夏場、手首に傷のある人を見かけることもあります。最初に書かれているように、そういった人がを見かけても、これからは「この人は弱くてダメな人間」「かまってちゃんなんだ」とは思わないでしょう。

その人なりの事情があったのだろうと思うのでしょう。

 

そんな人が身近な人だった場合、ただ話を聞いてあげるだけならできるかもしれません。

 

いずれにしても、自傷行為についての理解が深まりました。そしてこれから先自分はどうすればよいのか、考えることもできました。

 

筆者の語り掛けはとても優しく、誤解をなくしたい、自傷する人がそれ以上危険な目に遭わないでほしい、という願いが伝わってきます。

読んでよかったな思いました。

 

では、また!