<目の前の一日を、大切に。>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
看護師、清掃員、臨床心理士、医師……。様々な立場の人が交差するこの場所で、小さな命から、そしてともに闘う両親から教えてもらうこと。
新生児仮死の状態で生まれてきた我が子。自分がもっとしっかり気を付けていれば防げたのではないか。初めての出産で不安な中、「普通に生まれてくる」というのがどれだけ難しいことかを知って――。
「騒がしい場所」
NICUにいる赤ちゃんの中には、両親が面会に来ない子もいる。看護師の佐藤朋子は、そんな光景を自分自身の親子関係と重ねてしまう。看護師として頼られる自分は、果たして我が子にとってどんな母親になれているのか――。
「働く場所」
赤ちゃんが健康に育っていくことも、無事に生まれてくることも、すべてが奇跡。
与えられた人生は、1分1秒でも無駄にできない大切なもの。
当たり前すぎて誰もが忘れてしまいそうなことに、NICUという命の場所に身を置いたことで気付かされた7人の物語。
◆この本は
ボリューム:★★☆☆☆(厚くない)
読みやすさ:★★★★☆(読みやすい)
感動 :★★★★☆(けっこう泣ける)
読んでよかった:★★★★☆(自分について考える)
いのちの現場をのぞくことで、自分について、自分の親について、自分の子どもについて、いろいろ考えてしまいました。
◆内容紹介・感想
この本は7つの連作短編で構成されており、同じひとつのNICUの中で、出会う人々の誰かが主人公になっています。
<騒がしい場所>
新生児仮死で生まれてきた赤ちゃんと、その両親。
NICUを紹介するプロローグにもなっています。
<名付ける場所>
母親があまり会いに来てくれない赤ちゃんを気に掛ける、若手看護師さん。
それぞれの家庭に抱える事情と、NICU内部の人間模様が垣間見えます。
<働く場所>
多くの人に慕われながら、家庭では別の問題を抱えているベテラン看護師さん。
これほど慕われていても、日々いろんなことに苦悩しながら生きています。
<願う場所>
18トリソミーを持って生まれた赤ちゃんと、両親、支える周りのみんな。
この物語のメインとなるエピソードです。
<守る場所>
清掃作業の女性。
せわしなく働く人たちを温かく見守ります。
<向いている場所>
NICUを訪れる臨床心理士の女性。
自分に合っている仕事だと自覚しながらも、立場の違いから疎外感も感じてしまいます。
<笑う場所>
NICUのイケメン先生。
仕事はしっかりしてますが、しかし熱血でもなく、どこか冷めたところのある若者です。自分の仕事の意味、どうしてこんなしんどい職場で毎日やっているの?という自問もあったり。
とまぁ、簡単に紹介しましたが、なんといっても「願う場所」です。
18トリソミー(染色体疾患)をもって生まれてきた女の子は、長くは生きられません。
最初は信じたくないという気持ちから否定的なところのあった両親も、やがて覚悟を決め、短い生命に全霊で立ち向かい、それを全力でサポートする病院スタッフ。
涙なくしては読み進められないです。ほんと。
この物語の主人公は、NICUで働く人と、おもにお母さんがメインとなっていますが、もう一つの主題が、とりもなおさず患者本人である、物も言えずひとりで闘う赤ちゃんなんです。
とにかく可愛い赤ちゃん。その可愛さと困難のギャップがまた堪らなく、胸に刺さってきます。
そして、ふと自分のことを振り返るにあたって、自分が生まれる時はそんなことはなかったのですが、自分にもやっぱり生んでくれたお母さんがいたんだと、当たり前のことを思い感謝するんですね。
そしてまた自分の子どもが生まれた時のことも思い出し、可愛い子どもの大切な一日を、二度と帰ってこない一日を、大切にしようと改めて思ったのでありました。
では、また!