<5年生のとき、骨を埋めたやろ?>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
謎の骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手触りから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。最初は訝しがっていた哲平も、次第に彼の話に首肯し、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息がわからないなか、事態は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。
◆この本は
ボリューム:★★★☆☆(普通の長編)
読みやすさ:★★★★☆(読みやすい)
なつかしさ:★★★★☆(田園風景がいいです)
感動 :★★★☆☆(みんな、前向きになっていくところ)
「五年生の時、骨を埋めたやろ?」から唐突に、幼なじみ達のそれぞれのドラマが始まります。
中年に差し掛かった主人公たち、彼らにとっての「自分探し」が、故郷の田園風景と謎解き探検でした。
ミステリーとしてもよく出来ていて、主人公の豊同様、うまくミスリードさせられました。
◆内容紹介・感想
四国のある田舎の家で、ひとりで家具職人を続ける主人公、豊。
彼が東京で働く幼なじみの哲平に会いに行くところから物語は始まります。
もう、中年になっていた豊が、地元新聞で「河川敷から謎の骨格標本が発掘された」という記事を見つけ、思い出したのが、5年生の時、クラスメイトだった彼ら5人が理科室の骨格標本を一緒に山に埋めに行ったこと。
その時に豊が抱いた感触は、「これは、ほんとうに骨格標本なのだろうか?」。気になりだした時には、哲平と連絡を取っていて、東京に会いに行っていました。
その時覚えている事を話していき、抱いていた違和感について話しているうち、豊には「あの骨は骨格標本ではなかったのでは?」という疑問が確信に変わってきたようでした。
最大の謎は、その時山に埋めたはずの骨格標本がなぜ今になって河川敷から出てきたのか、ということ。そして、その時のリーダー格だった真美子が現在では消息不明であること。
そのため、あの時骨を一緒に埋めた、哲平と、真美子の友人京香と、もう一人、正一に順番に会いに行き、謎を解いていく。
物語はそんな謎解きミステリー仕立てで進んでいきます。
そして最後には真美子に関する謎と、思いもよらないどんでん返しが待っています。
その謎解きも楽しいのですが、この物語のもう一つの楽しみが、豊をはじめ、哲平、京香、正一と、中年に差し掛かった彼らの暮らしをについてのドラマ。
東京で広告代理店に勤める哲平、家具職人に見切りをつけようとしている豊、地元の政治家の妻となったが夫婦仲に問題がある京香、料理人になったが、暮らしていた東北で震災に遭い家族を失ってしまった正一。
それぞれに行き詰まり気味で行く先を決めかねていたところ、突然訪れた豊をきっかけに一度過去を振り返り、立ち止まって、未来に向かい直す、そんなドラマを読んでいくのが楽しかったです。
田舎生まれの私にとって、彼らが思い出す田園風景と自分の地元の景色が重なって、懐かしい気持ちになりました。
感想は以上になります!
では、また!