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旧:ちくわのぴょんぴょん読書日記

「銃・病原菌・鉄」(上)(下) ジャレド・ダイアモンド (ネタバレ:有)①

<文明の起こりは1万年前。

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

 

内容紹介<amazonより>

アメリカ大陸の先住民はなぜ、旧大陸の住民に征服されたのか。なぜ、その逆は起こらなかったのか。現在の世界に広がる富とパワーの「地域格差」を生み出したものとは。1万3000年にわたる人類史のダイナミズムに隠された壮大な謎を、進化生物学、生物地理学、文化人類学、言語学など、広範な最新知見を縦横に駆使して解き明かす。ピュリッツァー賞、国際コスモス賞、朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位を受賞した名著、待望の文庫化。

◆この本は

ボリューム:★★★★★(上下巻計800頁のボリューム)

読みやすさ:★★★☆☆(難しいということはない)

気付き学び:★★★★★(とても学ぶことが多い)

考える  :★★★★★(ここから何を学ぶかは人それぞれ)

 

かなりのボリュームですが、多くの著名人がこの本を推薦するように、1万年にわたる壮大な人類史であり、読後の世界観が変化することは間違いないです。病原菌の威力など知らなかったことも多かったです。

 

◆内容紹介・感想

「あなた方白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものと言えるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」

フィールドワークの最中、生物学者の筆者が、ニューギニア人にこう問われるところからこの本は始まります。

この本は、この、ひとつの問いについて答えを得るため、1万年、800ページにわたる、壮大な人類史の旅に出るんです。

 

この問いを筆者が別な言葉で言い換えると、

「なぜ、世界の富や権力は、現在あるような形で分配されてしまったのか?」となり、「なぜ、それぞれの大陸にとって異なる発展経路をたどったのか?」ということになります。

 

もっと直接的な言葉で言い換えると、なぜ、現代世界の富のほとんどを握っているのが、欧米の人たちなのか?ということになります。

700万年前から人類が存在し始めたとされるアフリカはどうして、先行者利益を得られなかったのでしょうか。

オーストラリア大陸には4万年前に人類が移住したとされていますが、どうして、他の大陸と比較し、文明が未発達のまま近年まできてしまったのでしょうか。

 

それにはまず、歴史上象徴的な出来事である、1400年代の大航海時代以降、スペインやポルトガル、イギリスやフランス、がアメリカ大陸をはじめ世界の多くの地域を占領していったことを考察していきます。

 

そこから導き出された答えが、タイトルにある「銃・病原菌・鉄」という、地味ながらなかなか意味ありげな3つの単語に表現されています。

 

例えば、ピサロ率いる168人の征服者部隊が、8万人のインカ帝国兵に勝利できた理由が銃であり、剣や鎧であり、騎馬でありました。

 

そして、私もあまり知らなかったのですが、コロンブス以降のスペイン人が持ち込んだ天然痘をはじめとする、病原菌が猛威を振るったといいます。

その威力は抵抗力を持っていない原住民に対して絶大で、人口の9割以上が死に絶えた地域もあったといい、極端な話、アメリカ東南部などは無人の荒野を占領しただけのような状態でもあったようです。

 

ここまでが、全19章のうち、3章までになりますが、いったん、ここで最初の問いに対する直接的な答えが出ています。

「ヨーロッパの人は銃・病原菌・鉄を持ち得たから」ということです。

 

しかしながら、これは、

「どうしてヨーロッパの人はそれを持ち得たのか?それがニューギニア人ではなく、はたまたアフリカ人やオーストラリア人ではなかったのか?」

という答えにはなっていません。

 

ここから、この2つ目の問い(究極の要因)に対する答えを探す長い旅が始まります。

とはいえ、結論は次の第4章であっさり明らかにされています。(笑)

 

それは、

ユーラシア大陸には、カロリーが高く栽培しやすい植物種、有用で飼育しやすい家畜の種がたまたま存在したこと、

ユーラシア大陸がたまたま東西方向に広がっていたため、それが伝播しやすかったこと。

ということになります。

 

それが、どういうふうに、銃や鉄器、はたまた病原菌につながっていくのかが以降に記されていきます。

 

何はさておき、700万年間ずっと狩猟採集し、細々と移動生活をしてきた人類が、文明的に発達し、人口が一気に増えたのはとりもなおさず、農耕・牧畜をするようになったことと言っています。

 

人類で最初に農耕を始めたと考えられているのが、1万年前のメソポタミアで、人類最初の文明もメソポタミアと言われていますよね。

 

小麦や大麦、ヤギや羊の野生種がそこには存在し、メソポタミアの人びとが栽培・飼育に成功、余剰食糧を蓄積することによって、食料生産をしない人(政治家や職人など)を抱えられるようになりました。

それがさらに、多くの人口をひとところに抱えられる要因となり、さらに人口が増加した集団となっていきます。これが文明の起こりです。

 

そして文明を持った人々は、気候が似ていて、近場のエジプトや地中海に移っていき、同じような生活をしていき、多くの都市を作っていきます。

 

その時点で、中国では少し遅れて農耕・牧畜が始まったものの、それ以外の大陸では、まだ狩猟採集をつづけており、ここの5000年ほどの文明ギャップがユーラシアの先行者利益を生んだといえるようです。

 

と、ここまで結論からあらずじをおおざっぱに書いていきましたが、あと、印象に残った内容、他の大陸の状況、自分が抱いた感想について、続きを書いていきたいと思いますが、それは日を改めて書いていきたいと思います。

 

では、また!