みんなの日常哲学カフェ ~哲学カフェとか読書とか

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旧:ちくわのぴょんぴょん読書日記

「ホモ・デウス」 ユヴァル・ノア・ハラリ①

<人類はどこに向かっていくのか?>

 

おはようございます!ちくわです。

読書・読書会・哲学カフェが好きです。

この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。

 

今日は、この本。

 

内容<amazonより>

世界1200万部突破の『サピエンス全史』著者が戦慄の未来を予言する! 『サピエンス全史』は私たちがどこからやってきたのかを示した。『ホモ・デウス』は私たちがどこへ向かうのかを示す。

全世界1200万部突破の『サピエンス全史』の著者が描く、衝撃の未来!

我々は不死と幸福、神性を目指し、
ホモ・デウス(神のヒト)へと自らをアップグレードする。
そのとき、格差は想像を絶するものとなる。
35カ国以上で刊行され、600万部突破のベストセラー!

ニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙、
ワシントン・ポスト紙、ガーディアン紙ほか、各紙大絶賛!


「優れた作品である『サピエンス全史』よりも面白く読める、より重要な作品である。」
──カズオ・イシグロ(ノーベル文学賞受賞者)

「人類にとって何が待ち受けているのか、思慮深い考察を著している。」
──ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)

「あなたに衝撃を与え、楽しませ、そしてなによりも
以前は考えたこともないような方法であなたを考えさせる。」
──ダニエル・カーネマン(ノーベル経済学賞受賞者)

◆この本は

ボリューム:★★★★★(かなり)

読みやすさ:★★☆☆☆(自分には難しい部分も)

気付き学び:★★★★★(なるほど感はすごいです)

考えるきっかけ:★★★★★(だから、どうするというのは自分で考えないと)

 

<上>

人類は大規模な課題をほぼ克服した今、どこを目指し、その先には何が待っているのでしょう?そんな問いから壮大な思想の旅が始まります。まずは科学により信じるものが「神々」から「自分自身」への変化したことを考察していきます。

<下>

神に代わって思想の中心になった人間至上主義がついに転換点を迎え、代わりにアルゴリズムが席巻しそうですね。しかし考えようによっては、狩猟採集時代の、「人間は自然の一部」という健全な思想に戻るということかもしれません。

 

◆内容紹介・感想

全11章。とても長いので、内容は目次だけの紹介にとどめ、あとは印象に残った部分の紹介と、感想に費やしたいと思います。

 

【上巻目次】
第1章 人類が新たに取り組むべきこと
生物学的貧困線/見えない大軍団/ジャングルの法則を打破する/死の末日/幸福に対する権利/地球という惑星の神々/誰かブレーキを踏んでもらえませんか?/知識のパラドックス/芝生小史/第一幕の銃

第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する

第2章 人新世
ヘビの子供たち/祖先の欲求/生き物はアルゴリズム/農耕の取り決め/五〇〇年の孤独

第3章 人間の輝き
チャールズ・ダーウィンを怖がるのは誰か?/証券取引所には意識がない理由/生命の方程式/実験室のラットたちの憂鬱な生活/自己意識のあるチンパンジー/賢い馬/革命万歳!/セックスとバイオレンスを超えて/意味のウェブ/夢と虚構が支配する世界

第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える

第4章 物語の語り手
紙の上に生きる/聖典/システムはうまくいくが……

第5章 科学と宗教というおかしな夫婦
病原菌と魔物/もしブッダに出会ったら/神を偽造する/聖なる教義/魔女狩り

【下巻目次】

第6章 現代の契約
銀行家はなぜチスイコウモリと違うのか?/ミラクルパイ/方舟シンドローム/激しい生存競争

第7章 人間至上主義
内面を見よ/黄色いレンガの道をたどる/戦争についての真実/人間至上主義の分裂/ベートーヴェンはチャック・ベリーよりも上か?/人間至上主義の宗教戦争/電気と遺伝学とイスラム過激派

第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える

第8章 研究室の時限爆弾
どの自己が私なのか?/人生の意味

第9章 知能と意識の大いなる分離
無用者階級/八七パーセントの確率/巫女から君主へ/不平等をアップグレードする

第10章 意識の大海
心のスペクトル/恐れの匂いがする/宇宙がぶら下がっている釘

第11章 データ教
権力はみな、どこへ行ったのか?/歴史を要約すれば/情報は自由になりたがっている/記録し、アップロードし、シェアしよう!/汝自身を知れ/データフローの中の小波

 

かなり乱暴ですが、ざっくりいうと、

人類は21世紀を迎え、人類にとっての脅威である大規模な飢饉・疫病・戦争をほぼ克服した今、どこを目指すのか?という、未来予想図を長い歴史をもとに描いて行く本になっています。

 

まず、古代~近代までの長い間(人類史の99%は)、人類は大いなる自然の一部、その中でも動物というジャンルのごく一部にすぎませんでした。

人々は何だかよくわからないまま生まれ、よくわからないまま死んでいきく。そのなかで細々と代を継いでいく、そんな存在でした。

 

しかし今、その大いなる自然(神ともよばれます)は、農業革命以降、人類にとっての「制御可能なもの」と位置付けられ、すっかり人間は地球の支配者に君臨し、地球上の生物の大部分が人と家畜と食料ばかりになってしまいました。

 

それぞれの人が生きていくにあたっての「価値観」というものが確立され、それは簡単にいえば「人類による支配が明日も続くことに、寄与するかどうか」という価値観になったということでしょう。

 

前著の「サピエンス全史」でも述べられていましたが、人類が地球の支配者になりえた原因が、「大勢で柔軟に協力できる」能力であり、そのおおもととなる「共同主観的なもの(=国やお金などの抽象概念)」を共有できること、でした。

 

そうやって地球の支配者へとのし上がった人類ですが、そもそも大自然のその中の動物のただ一種に過ぎない、なんで生きているのかすらよくわからない存在であったことをすっかり忘れてしまいました。

 

ただ「明日も継続させる価値観」(=強力な物語)をより強く追及していった結果、著者の言う「これまでよりはるかに強力な虚構と全体主義的な宗教」を生み出しました。

「強力な物語」はあくまでも物語=虚構であるにもかかわらず、それが人類を縛っていく、という現実と未来予想図が著者には見えているようです。

 

飢饉・疫病・戦争を克服した人類が次に目指すのは、不死と幸福、そして神性の獲得になるだろう、とこの本では論が続いていきます。

 

という感じで、つらつらと書いていってしまいましたが、今日はそろそろ終わりにします。続きは日を改めて。

 

では、また!