<この本は絶望なのか、希望となるのか>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本の続きを書いていきたいと思います。
◆感想続き
不正販売の例について、けっこう具体的に書かれていますが、なかなかきついので是非読んでみていただきたいと思います。
ノルマがきついので、仕方なく自爆が増えてしまう。
しかし、もう一つの理由がありました。それは、共済商品(保険)の専門知識を充分に教育しないという点です。
他社の保険商品とどう違うのか、の比較も出来ない。だから、顧客にあった提案ができない。
さらに、そもそも他社商品より内容がむしろ劣っている。
そうなると、どうしても、「押し売り」せざるを得ない、という構図になります。
うーん。実に当然の帰結としか言えないですね。
しかも、共済担当職員ならまだしも、それ以外の管理職等にもノルマがあります。
専門知識のない人たちが他社に共済商品を販売できるわけもなく、自分や身内で加入するしかない。
自動的に、自爆となっていきます。
しかし、強要された「ノルマ」だから、その達成を放棄するという選択肢もあるのでは?という考えもよぎりますが、それはどうも、できないようです。
そこには、「詰め」の面談があって、
「ウチは目標未達だったことはありません、どうするんですか。」という恐ろしい脅迫(?)が待っているようです。
そういえば、郵便局員が年賀状を「自爆」し、その年賀状が金券ショップに大量に流れる、という事件もありましたね。
読んでいると、これは労基的にアウトではないか、と感じるのもあります。
人を大切にしない組織は人が離れていく。それも、デキる社員から順番に離れていく。それにともなってサービスが低下し、さらに顧客も離れていく。
JAはその負のスパイラルにハマっているように思えて、組合員のためにと、残って頑張っている職員の悲痛な声を読んでいると、悲しくなってきます。
ではどうして、こんなことになるかというと、共済販売の手数料頼りになっている、地域JAの利益体質にある、ということは繰り返し述べられていますが、だったら利益体質を改革するしかないように思います。
答えはわかり切っているのに、「それが簡単にいくぐらいやったら既にやっているがな、」ということなのでしょう。
共済や、金融事業も組合員にとって大切ですが、JA(農業協同組合)本来の事業があります。
それは、農産物を農家から買い取って市場に流通させたり、農家に対する肥料や農機具など物資販売をしたり、加工場を作ったりということ。
その事業によって利益が出ていないまたは赤字になっているために、ここを何とかしない限り、職員の給料が出ない=ノルマをなくすことができないという構図になっているようです。
最後に、この本来の事業について、様々な取り組みを行っているJAの事例が紹介されています。
「まともな考え」を持っているJAの事例になっている組合長の言葉は共通して、「JAとはなんのために存在し、誰のためのものか」ということなんですね。
本来は組合員の互助組織のはずなのに、職員の幹部が利益をチューチューするなんてことは、営利目的の会社以上に、絶対あってはならないはず。
この本が「農協の闇(くらやみ)」という絶望感満載の本ではありますが、「組合員のために」と未来に向けての取り組みを始めているJAもありますし、組織の膿を勇気をもって告発してくれる人、さらに実際に圧力をかけられながら本書を執筆した筆者がいて、JAが改革されていったら、この本の意味は大きいのではと思いました。
以上で、感想を終えたいと思います。ありがとうございました。
では、また!