<「エントロピー増大の法則」という万能理論>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本の続きを書いていきたいと思います。
前回の記事はこちら。
◆感想続き
②<知の追求>
第2部の「知の追求」では、
「エネルギーとは何か?」という問いについて、科学的アプローチからの探求の旅になっています。
エネルギーといえば、とりあえず、何かを動かす力、そのための燃料、というものをイメージしますよね。
科学も当初は「エネルギー」=「何かを動かす力」という考え方からスタートしてきましたが、やがて運動だけにとどまらず、「熱」も同等にエネルギーの一形態であり、互いに変換可能であるということが明らかになります。
そして、さらに「電気」です。そして、「電磁波」です。これらもエネルギーです。
電磁波がエネルギーならば、「光」「音」もそうなります。
そうしてついに、アインシュタイン。
彼はあの有名な方程式で、質量さえもエネルギーの一形態であることを明らかにしたことで、世界にあるもののすべてがエネルギーであるということがわかってしまいました。
ということは、物体も光も熱も、私たち人間の存在自体もエネルギーのひとつの形態に過ぎないということです。
これはなかなかに衝撃的ですね、、。
そしてさらに、この世の中を支配している法則である、
「熱力学の第一法則」、「熱力学の第二法則」が出てきます。
中でも、「熱力学の第二法則」は「エントロピー増大の法則」ともいわれ、
とりわけ筆者はこの法則を
「きわめて応用範囲の広い法則なので、是非ここで覚えておいてほしい!」
と熱く語るんですね。
エントロピー増大の法則は、私は知ってはいましたが、これを学ぶことで、ほとんどの自然現象は理解できてしまうような、応用範囲の広い考え方であることは間違いないです。
興味のある方は、インターネットで検索して調べてみてください!
私が名著と思っている「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一)
とあわせて読むことで、「生き物とはどういうものか」ということが、少しは理解できるようになったと思います。
「エントロピー増大の法則」とは、ひと言で言うと、
「秩序あるもの ⇒ 無秩序な状態 への一方通行である」ということなのですが、
人間というものは、よくわからないけど偶然できた「秩序ある状態」であって、外部からエネルギーを補給しながらなんとかかんとか、体という秩序を保ち続けている状態であるといえます。
それはいわば、よくわからないけど生まれて、数日で消えていく台風と似ているようだと表現されています。
人間と台風、なるほど、全然似ていないようで実は同じ法則のもとでできていて、生き物とはどういう存在なのだ、というふうに気付いたこと。
これがこの本を読んで最も驚いたことであり貴重な気付きとなりました。
そして、この構造を筆者は「散逸構造」と呼び、この世のあらゆるものに当てはまると指摘しました。
それは死にゆく生き物や、やがて崩れてゆく構造物だけでなく、抽象概念である「文明」や「経済」でさえも、「散逸構造」の法則を逃れ得ないというのです。
ここが、この本のキーポイントとなるのですが、これは、一体どういうことでしょうか。
人体が無秩序の中に出現した秩序であるならば、維持のためにエネルギーを必要とする、まではわかりますが、その人間が作り出した「文明」もまた、無秩序の中に作り出した秩序であるということです。
基本的にはエネルギー供給がある限り大きくなることを求められ、
そしてそれは、大きくなればなるほど、維持するためのエネルギーが必要になるという法則から逃れ得ないということになります。
やがて大きくなりすぎてエネルギーの供給がままならなくなった時、それはバラバラになってしまう運命にあり、それは逆にはならず一方通行であるということ。
この考え方に立ってみると、たしかに色んな事に応用が利くことがわかります。
・大きくなった会社は、組織を維持するために、多くの間接部門を要する。
・資産が多くなってくると、それを維持するためのコストが多く掛かってくる。
・給料が上がって生活水準を上げてしまうと、その前の状態には戻しづらい。
・家の中のモノが多くなってくると、掃除や片づけに時間がかかる。
これらは卑近な例かもしれませんが、
この第2部での筆者の基本的なメッセージは、
「人間の脳」と「資本主義」というものが「巨大な散逸構造」である
ということになると思います。
人類はその大きな脳のおかげで、際限なく大きく成長することを求めてしまいました。
その結果、資本主義という秩序を作り出し、どこまでも大きくなることを義務付けられ、その維持にとんでもなく大きなエネルギーを要することになってしまった、ということです。
この基本的な考え方に立って、これからの未来の人類の動き方を考えないといけないということですね。
そして、本書は第3部「心の探求」と第4部「旅の目的地」へと入っていきます。
もう少し続きがありますが、続きは日を改めて書いていきたいと思います。
では、また!