<とにかくぶっ飛んだスケールのSFです!>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日は、この本。
内容<amazonより>
激しい雷が鳴り響く、14歳の誕生日。その夜、ぼくは別人に生まれ変わった――両親と食卓を囲んでいた少年・陳(チェン)の前に、それは突然現れた。壁を通り抜けてきた球状の雷(ボール・ライトニング)が、陳の父と母を一瞬で灰に変えてしまったのだ。自分の人生を一変させたこの奇怪な自然現象に魅せられた陳は、憑かれたように球電の研究を始める。その過程で知り合った運命の人が林雲(リン・ユン)。軍高官を父に持つ彼女は、新概念兵器開発センターで雷兵器の開発に邁進する技術者にして若き少佐だった。やがて研究に行き詰まった二人は、世界的に有名な理論物理学者・丁儀(ディン・イー)に助力を求め、球電の真実を解き明かす……。
世界的ベストセラー『三体』連載開始の前年に出た前日譚。三部作でお馴染みの天才物理学者・丁儀が颯爽と登場し、“球状閃電”の謎に挑む。丁儀がたどりついた、現代物理学を根底から揺るがす大発見とは? 《三体》シリーズ幻の"エピソード0(ゼロ)"、ついに刊行。
◆この本は
ボリューム:★★★★☆(やや厚め)
読みやすさ:★★★☆☆(科学用語もあるがSFなので)
ぶっ飛んだ:★★★★★(この構想、やっぱり凄い)
スケール感:★★★★★(三体シリーズとは違った凄さ)
「三体シリーズ」とはほぼ無関係でしたが、これはこれですごく楽しめました。
球電(ボールライトニング)というひとつの自然現象から、ここまでのぶっ飛んだ構想とディテールを創作できる筆者はやっぱり凄いですね!
オカルト現象で伏線を重ねていくところもミステリっぽくてGOODです♪
◆内容紹介・感想
まず最初に、この本のタイトル「三体0(ゼロ)」について。
ベストセラーになった、「三体シリーズⅠ~Ⅲ」とは、ほとんど関係ありません。
あるのは、登場人物に、天才物理学者ディン・イー(丁儀)がいるところ、あと、最後のほうに、次回構想へのほのめかしがある、ぐらいです。
なので、三体シリーズを全く読んでいなくても、単体のSF作品として読んでいって何の問題もありません。
「三体」と名がついていているので読まなきゃいけない、と私は即買いして、まんまと早川書房さんのマーケティングにひっかかったわけですね(笑)
とはいえ、読み終わってみると、こちらも三体シリーズに負けず劣らず素晴らしい内容でして、改めて筆者のすごさを再確認したのでした。
ちょっとだけ、内容に触れておきますね。
主人公のチェン(陳)は、子どもの頃、謎の発行体(球電/ボールライトニング)によって、彼の両親が燃え尽きるのを不幸にも目撃してしまいます。
そこから彼の人生は、両親を葬った「ボール・ライトニング」の謎に迫るために、何かにとりつかれたように、明けても暮れても勉強の日々を送ることになり、ボール・ライトニング研究者になっていきます。
いっぽう、もう一人のメイン・キャラクターとなるリン・ユン(林雲)は軍属「ニュー・コンセプト兵器開発センター」に勤務し、雷兵器の開発も行ってきました。
しかし、通常兵器と比べて雷が扱いにくいこともあり、雷兵器開発は行き詰まっておりほぼ失敗?という位置づけでした。
そんな中、チェンとリンは、泰山の気象研究所で出会い、そこからリンは「ボール・ライトニング兵器」開発のためチェンに協力をお願いすることになります。
自然現象として相当レアなボール・ライトニングを再現させること、試行錯誤の日々が続き、ほとんど挫折しかけていたところに、天才物理学者のディン・イーがチームに加わったことで、新たなブレイクスルーが訪れます。
そこから、ボール・ライトニングの研究が前進し、ついに実用段階に近づいてきます。
そんな折、国際情勢が悪化し、母国は戦争に巻き込まれてしまいます。
劣勢挽回のため、また自分たちの科学への興味から、「なんとか実戦でこのボール・ライトニング兵器を使ってみたい!」と奮闘するリン・ユンとディン・イーのぶっ飛びコンビに、チェンはタジタジ。
そして、いよいよ「ボール・ライトニング兵器が」実戦配備なるか。
また、解明されていなかったボール・ライトニングの真の姿が明らかになった時、彼らは人智を超えたとてつもないスケールの現象と立ち向かうことになっていきます!
と、内容説明はこの辺までにしておきますが、、
この物語のキーとなっているのが言うまでもなく「ボール・ライトニング」なのですが、それともうひとつ、「量子状態」というワードが出てきます。
まぁ、自分は理系ではないので全くこのへんのことを言われてもわからないのですが、わからないなりの勝手なイメージで、この「量子状態」によって説明される力技(!?)がこのストーリーのトリックのキモになってくることがわかります。
気になって、もう一度最初から読み直してみると、それらのトリックがうまくつながっていることがわかり、この構想の凄さに改めて気づき、やっぱりよくできた小説だと思いました。
「三体シリーズ」のとてつもなく圧倒的なスケールも凄かったですが、別の凄さを「球状閃電」でも感じることができました!
まちがいなくおススメです!
というか、ロングランになってしまう「三体シリーズ」着手に二の足を踏んでいる方は、とりあえずこの「0」を読んでみるというのがいいかもしれません。
以上で、「三体0 球状閃電」の記事を終わりたいと思います!
ありがとうございました。
では、また!