<「足し算」ではなく「引き算」で考える>
おはようございます!ちくわです。
読書・読書会・哲学カフェが好きです。
この何だかよくわからない人生に問い続け、その「わからなさ」を日々味わって楽しんでいきたいです。
今日も引き続き、この本の続きを書いていきたいと思います。
前回の記事は、こちら。
◆感想つづき
前回は、「古いことは頑健である」、「人力を軽視しない」ということについて書いてきました。
今日は、「過干渉」について書いていきたいと思います。
過干渉について、ページを多く割かれているのが、「医原病」なるものです。
「医原病」というのは、「医療行為が原因になって起こる病気」ということ。
この部分で筆者が言いたいことは、「軽い病気は、医者にかからず、自己回復力に任せよ」ということ。安易に医者に頼って、薬を飲んだりすると、かえって体に良くないということ。
真っ先に思いつくのが、風邪薬とか、抗生物質とか。
細菌にやられているわけでもないのに、抗生物質を飲むと、腸内細菌に悪い影響を与えるというのは最近よく知られていますし、
この本では、塩分と血圧の関係について書かれていますが、過干渉に関することとしていは、コレステロールと食事の関係や、ニキビとアクネ菌の関係など、根本的に見直さないといけなくなった例は数多くあります。
除菌しすぎが却って良くないとか、空調利かせすぎとか、安心・安全、快適を追求することで、人体が弱くなっていく、なんてのもありますよね。
大切なことは「人間本来持っている力に任せよ」ということであり、
これを、抽象的にしていくと、ここでも引き続き筆者が強く言っているのが、
「何かをやる」という足し算の選択ではなく、「何かをやらない」引き算の選択
ということになります。
例えば、「お酒をたくさん飲んで胃腸薬を飲む」のが「足し算」だとすると、「お酒を飲まない」のが「引き算」。
「高カロリーの食事をして、太ったからジムへ行く」のが「足し算」で、「高カロリーの食事を控える」のが「引き算」。
「どっちがいいか迷ったら、動物本来の姿を想像すればよい」
というアドバイスはなるほどと思いました。
一日中座って仕事すること、夜勤の仕事、酒やたばこ、薬、、「不自然」という観点で考えると、その答えはそう難しくないかもしれません。
「朝ごはんは動物的に考えると不自然」という指摘もありましたが、「当たり前」を疑うという意味では良いたとえですね。
筆者は、「過干渉」という観点で、「コンサルティング」や「マーケティング」についても、同様に批判の対象としています。
広告宣伝の必要な商品は、売れない商品で、本当に売れるものは、勝手に売れていく。
という論調なのですが、確かに当てはまる部分もあります。
健康食品の誇大広告(嘘も多いですね)はまさにそんな感じですね。やましいところがあるからこそ、大きな声で宣伝する。
消費者は広告によって混乱させられるので、そういう宣伝文句に飛びつかず、ただ、生き残っている事実とか歴史とかに耳を傾ければよい、と筆者は言います。
これも、「足し算」ではなく「引き算」の発想ですね。
本当にそれは必要なのか?を考えれば、やっぱりそんなに必要なものなんてあまりないのかもしれません。
以上で、長かった下巻も終わりとなりました。
筆者の言うことは、基本的に逆張り批判の内容が多く、刺激的でキャッチーな論調なので冷静に受け止める必要があり、彼の論調を100%信じるということではなく(そういうことを彼も望んでいないはず)、大切なのは、「当たり前」を疑っていく姿勢をいつも忘れない、ということだと思います。
3回にわたって書いてきた「反脆弱性(下)」の感想も、この辺で終わりにします。
ありがとうございました。
では、また!